おもちゃにテーマパーク。「スター・ウォーズ」でディズニーが得る収益は250億ドル(3,027億円)
「スター・ウォーズ フォースの覚醒」が、18日、ついに公開になる。
1977年、オリジナルの「スター・ウォーズ」が公開されたハリウッドのチャイニーズ・シアター前には、今月5日からファンが行列を始めた。映画チケットの予約販売サイトFantango.comは、前売り発売日にアクセスが殺到し、一時サーバーがクラッシュする騒ぎになっている。初週末は、午前2時、午前5時の回も特別に設定されたが、これらも売り切れの状態。業界関係者は、アメリカとカナダにおける初公開週末の興行成績を、2億ドルから2億2000万ドルの間と予測しており、この夏、「ジュラシック・ワールド」が確立した2億880万ドルを抜いて史上最高のオープニング記録を築く可能性は、十分だ。12月から年末にかけてのホリデーシーズンは、ハリウッドのスタジオにとって稼ぎ時ではあるが、ホリデーに入るまでの間、人はショッピングで忙しいため、12月上中旬の初公開週末に巨大な数字を挙げることはあまりない。これまでの12月の北米オープニング記録は、「ホビット 思いがけない冒険」(2012)の8400万ドルで、その意味でも、稀な快挙を達成することになる。
前売りは、1月に入ってからの分まで好調に売れており、劇場公開が終わるまでに全世界で売り上げる金額は15億ドルから20億ドルと見込まれる。この推定内で最も高い数字を達成したとしても、現在の史上最高記録である「アバター」の27億8,796万ドルにはかなわないことになるが、「スター・ウォーズ」を配給するディズニーにとって、劇場チケットの売り上げは、このシリーズに期待する収益の、一部にすぎない。映画はあと4本予定されており、おもちゃ、ビデオゲーム、テーマパークのアトラクション、ブルーレイとDVDなどを合わせると、ディズニーには今後5年間に250億ドル(3,027億円)以上の収益があると、アナリストは分析しているのだ。2012年、ディズニーはルーカス・フィルムを40億ドルで買収したが、決して高くはない買い物だったということになる。
そもそも、ジョージ・ルーカスは、最初から、おもちゃや関連商品で稼ぐことを狙いにしていた。1977年、初の「スター・ウォーズ」が公開される前にL.A.TIMESに対して行ったインタビューで、ルーカスは、「この映画を監督することで、僕はあまり儲からない。儲かるとしたら、おもちゃからだ」と語り、おもちゃを意識して考案した映画であることを明かしている。関連商品の展開において、ディズニーはエキスパートだ。2009年にマーベル・スタジオを買収してからは、数々のスーパーヒーロー映画の関連商品を手がけ、さらに実績を高めてきた。「アナと雪の女王」は、世界興収も12億ドル以上と華々しかったが、おもちゃやライセンス商品は、北米公開から2年以上たつ今も売れ続けており、ブロードウェイで舞台化も進められている。
しかし、これからの4作品の公開時にも、「フォースの覚醒」と同じようなフィーバーぶりが毎回起こるかどうかは、今の段階では、はっきりしない。オリジナル三部作は、エピソード4が7億6800万ドル、5が5億3300万ドル、6が4億6900万ドルと、回を重ねるごとに世界興収はダウンした(とは言え、これらはインフレ調整をしない数字で、1983年に4億6900万ドルを上げたというのは、すごいことである。)2002年のエピソード2(6億4700万ドル)も、売り上げは、3年先に公開されたエピソード1(10億200万ドル)に比べて、およそ40%減った。勢いを保っていく上で、重要な鍵となるのは、やはり映画のおもしろさなのだ。「フォース〜」には、それがあるかどうか。答は、あと数日でわかる。