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200年に一度の天才ボクサーが語る「アッサン・エンダムvs.村田涼太2」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
村田はひたすら倒すスタイルを貫けるか?(写真:アフロスポーツ)

 山中慎介がWBCバンタム級王座を失った。やはり、日本の切り札は同僚の村田諒太かーー。

 

 具志堅用高以上の天才、200年に一度の逸材と謳われた元世界1位(日本ウエルター&ジュニアウエルター級チャンピオン)の亀田昭雄氏に、10.22に再戦が決まった「エンダムvs.村田 II」について語ってもらった。

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 「前回とはジャッジが違うでしょうし、8~9割の確率で村田が勝つでしょう。今回の村田は、絶対にエンダムを倒しにいくべきです。初戦の第1ラウンド、村田はほとんど手を出しませんでした。でも、エンダムの手の内を把握している分、積極性が求められます。

 僕が懸念するのは、周囲が『あれは絶対に勝っていた』『第1戦の判定はおかしい』と言い続けていることで、村田の心の隙が生まれてしまう点です。今度こそ、ふんどしを締め直さなければいけない。何故、あの内容で負けにされたのか? を学んで、対策を立ててほしいですね。

 本当に強いチャンピオンになるのであれば、自分から相手を倒しにいかねばならない。村田には“自分から仕掛けていくボクシング”“自分からベルトを奪いにいく姿勢”を貫いてほしいですね。それが今回も出来ないのであれば、ボクサーとしての村田に期待できなくなります。

 村田は勝てる筈の相手との試合しかやっていません。前回、微妙な判定で負けた理由を敢えて述べるなら、“普通にやっていれば勝てる”という心の隙ですよ。敗戦から、何を学んだのかを示す必要があります。村田がアグレッシブさを身に着ければ、もっともっと強くなれます。エンダムに勝ってWBA正規王者になったところで、スーパー王座や統一王座という上がある。村田には、とにかく上を目指してほしい。

 僕が挑んだアーロン・プライアーは試合開始のゴングが鳴るやいなや、KOを狙って相手に突進していったでしょう。村田が目指すべきは、試合開始から終了まで、闘志を前面に出して獲物を仕留めにいくプライアーのスタイルですよ。本当に村田にはプライアーのようなボクシングを見せてもらいたいですね」

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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