レアルと今冬の補強の問題。エムバペの獲得失敗劇と揺るがないプラン。
苦しい状況を、乗り越えようとしている。
レアル・マドリーは現在、リーガエスパニョーラで2位につけている。首位バルセロナを勝ち点3差で追走しているところだ。
スペイン・スーパーカップでは、そのバルセロナに決勝で敗れて準優勝に終わった。コパ・デル・レイにおいてはラウンド16のビジャレアル戦で2点ビハインドから逆転する展開で競り勝ち、辛くもベスト8進出を決めた。
「フットボールの問題は日程にある。この問題を解決するため、組織や機構は団結しなければいけない」
「我々は3日毎に試合を抱えている。それぞれの選手が、コミットメントとクオリティを示してくれると思う。W杯があり、どのようにマネジメントするかは様子を見他意。1月の半ばくらいまでW杯に出ていない選手が中心になるかもしれない。W杯に出た選手たちには休養が必要だ」
これはカタール・ワールドカップ(W杯)前のカルロ・アンチェロッティ監督のコメントだ。
■主力の疲労と補強
カタールW杯を終え、マドリーはダビド・アラバ、オウリエン・チュアメニが次々に負傷した。とりわけ、フランス代表として決勝まで戦ったチュアメニは疲労が溜まっていた。
マドリーは、主力選手たちがコンディションを落としている。そう考えると、気になるのは冬の補強だ。
コディー・ガクポ(リヴァプール)、ミハエル・ムドリク(チェルシー)、レアンドロ・トロサール(アーセナル)、メンフィス・デパイ(アトレティコ・マドリー)…。ヨーロッパのビッグクラブは、今冬のマーケットで積極的に補強に動いている。
だが現状、マドリーに動く気配はない。フロレンティーノ・ペレス会長に焦る様子はなく、補強プランを変えるつもりはないのだろう。
近年、マドリーはヤングタレントに目をつけてきた。若き才能に早い段階で触手を伸ばし、ビッグクラブに先んじるというアイデアを明確に持っていた。
ヴィニシウス・ジュニオール、 ロドリゴ・ゴエス、マルコ・アセンシオ、ダニ・セバージョス、フェデリコ・バルベルデ、エドゥアルド・カマヴィンガ、みな20歳以下でマドリーに到着している。
マドリーは今夏、キリアン・エムバペの獲得に失敗した。マドリー移籍を“夢”に掲げていたエムバペだが、パリ・サンジェルマンと2025年夏までの契約延長で合意。移籍の話は水泡に帰すこととなった。
エムバペの獲得失敗は、ある種、ショッキングな出来事だった。だがそれはマドリーの補強プランを変えるには至らなかった。
■16歳のアタッカーに照準
マドリーは今冬、エンドリック・フェリペ・ペレイラの獲得を決めている。パルメイラスに所属する16歳のブラジル人アタッカーを確保するため、移籍金総額6000万ユーロ(約84億円)を準備した。
「ブラジルのフットボールの歴史において、最大のビジネスをまとめることができました。レアル・マドリーのオファーは、エンドリックの才能に見合うものでした。スポーツ的側面、金銭的側面、両方の観点から目標を果たすものでした」とはパルメイラスのレイラ・ペレイラ会長のコメントだ。
エンドリックは2024年夏にマドリーに正式加入する。まさに“現在”ではなく“未来”に賭けた投資だ。
マドリーは、今冬の移籍市場で、基本的には補強を考えていない。エンドリックの獲得に象徴されるように、ペレスの頭の中には未来の図が描かれている。