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遠のく、東京の梅雨入り 暑さは本格化

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
6月5日午前9時の地上天気図 梅雨前線が本州から離れ、関東地方は晴れ間が広がった

 なぜ、名古屋は梅雨入りして、東京は梅雨入りしないのか。答えがないまま20日が経った。来週は晴れが続く予想で、東京の梅雨入りは先へ先へと延びる見通し。一方、暑さは本格化、30度以上の真夏日が続く可能性もある。

梅雨入りに理由なし

 東海地方が梅雨入りしたのは先月16日、それから20日が経ちました。東海地方と関東甲信地方の梅雨入りは平年で比べるとわずか1日の差しかなく、これほど間が空いたことはありません。どうしてこうなってしまったのか、もっともらしい理由は思い浮かぶけれど、どれも言い訳のように思えてなりません。

 5月16日以降の天気を、名古屋と東京で比べてみました。6月4日までの20日間で、1ミリ以上の雨が降った日は名古屋が8日だったのに対して東京は11日ありました。一方、20日間の合計雨量は名古屋の方が多く、東京の2倍です。

5月16日以降の天気を名古屋と東京で比較した表(著者作成)
5月16日以降の天気を名古屋と東京で比較した表(著者作成)

 これだけをみると、名古屋と東京の天気に然したる違いはないです。梅雨入りを、名古屋は現状を重視し、東京は暦を意識したのでしょうか。

遠のく、東京の梅雨入り

 6月11日は入梅(雑節)です。暦の上では梅雨の季節を迎えます。この先10日間の天気予報ではあす(6日)は東京、名古屋ともに雨になりますが、その先はしばらく晴れが続く可能性が高いです。そして、再び、天気が下り坂に向かうのは13日頃からとなっています。

6月5日午前11時発表の10日間天気予報:6日~12日は気象庁予報、13日~15日はウェザーマップ予報(著者作画)
6月5日午前11時発表の10日間天気予報:6日~12日は気象庁予報、13日~15日はウェザーマップ予報(著者作画)

 これまで早い梅雨入りかと思われていた関東甲信地方ですが、一転して遅くなることが確実になりました。梅雨入りが14日以降にずれ込んだら、2007年以来のこととなり、今度は記録的に遅くなる可能性もあります。

暑さが本格化

 来週は日本付近で高気圧が強まり、全国的にみても晴れる日が多くなる予想です。夏至(21日)が近づき、日差しは夏の装いです。梅雨入りしている地域も、していない地域でも気温は高く、30度以上の真夏日となるところが多いでしょう。

東京の予想最高気温グラフ(気象庁の週間天気予報より、著者作成)
東京の予想最高気温グラフ(気象庁の週間天気予報より、著者作成)

 東京の予想最高気温も高く、予想の範囲を含めると30度に達する日もありそうです。まだ暑さは序の口ですが、「こう暑くては猫といえどもやり切れない。皮を脱いで、肉を脱いで骨だけで涼みたいものだ(夏目漱石、吾輩は猫である)」と猫がぼやく暑さが来ると思うとうんざりです。

【参考資料】

青空文庫:夏目漱石「吾輩は猫である」

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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