【愛知/一宮】ここにも桃太郎伝説が?一宮市に「鬼ヶ島」という地名が残る理由を調査した!
はらぺこライターの旅人間です。今回は鬼の話について…。
愛知県一宮市三ツ井に「鬼ヶ島」と名が付く公園があります。ユニークな遊具があって、なかなか良い公園。ところで、どうして鬼ヶ島?
そんな事が気になって、ちょっと調べてみました。
鬼ヶ島といえば、まず頭に浮かぶのは桃太郎のお話。
桃太郎と言えば、岡山県が有名ですが、愛知県犬山市も桃太郎伝説地の一つ。犬山市と一宮市、近いと言えば近いが、まぁまぁ距離はある。何か関係があるのだろうか?
犬山市にある桃太郎神社に行ってみると…
社殿に「鬼ヶ島はこの山を越えて八キロ先の可児川にあります」との記載。確かに、犬山周辺には、鬼退治に関する地名が多く残っています。
うーん、どうやら、一宮市の鬼ヶ島とは関係なさそうです。
ちなみに…可児市にある鬼ヶ島はこんな感じのトコロ。
(犬山市に伝わる桃太郎伝説は、改めて紹介します)
一宮市「鬼ヶ島公園」について
話を元に戻すと…
では一体、愛知県一宮市の「鬼ヶ島公園」はなぜ鬼ヶ島と名付けられたのか?
改めて地図を見てみると…
鬼ヶ島公園のある付近に、「鬼ヶ島」という地名が2ヶ所隣接しているのが分かります。公園のある場所は三ツ井で、もう片方は丹陽町。
ここで簡単に整理すると…
「鬼ヶ島公園」とは、鬼ヶ島という地名から名付けられたもの。もしかすると、桃太郎伝説は一宮市にもあったのだろうか?いやいや、そんな話は聞いた事が無い。
一宮市役所まちづくり部に問い合わせてみると…
残念ながら、鬼ヶ島という地名の歴史的由来までは分かりませんでした。でも、この公園の鬼は桃太郎ではなく、「一寸法師」の物語をイメージしたものだという。
「この地域に一寸法師の伝説があったとかではなく、鬼ヶ島という地名からユーモアも交えて作られたのではないか?」とのこと。
そう言われて見れば…
確かに、鬼は「打ち出の小づち」を手にしている。
お椀に小さな子供?は一寸法師のイメージそのもの。
なるほど…。
鬼ヶ島と言えば、桃太郎のイメージが強いけど、実はそうとも限らない。ご存知の方もあると思うが、一寸法師の物語にも鬼ヶ島は登場しています。
一宮市の「鬼ヶ島」の正体とは?
この「鬼ヶ島公園」の遊具のイメージは一寸法師。でも、この地に一寸法師の伝説があるわけでない。
では…鬼ヶ島の正体は?
それは地域の昔話にヒントがありました。
(『丹陽村誌』『丹陽町史誌』『丹陽土俗志』参照)
簡単に紹介すると…
<鬼ヶ島>
その昔、三ツ井の北から平島にかけての土地は、昼も暗いほどい一面に大松、小松が茂り、その真ん中は深い渕になって二筋の大きな川が流れ、気味悪い島を形作っていたそうな。
ある冬の寒い夜、村の若者達がその島に百燈をつける肝試しをすることに…。
一人ずつ島に行き戻り、九十九人まで無事に終わるが、最後の一人が戻って来ない。夜が白みかけ、皆で探しに行くと、そこには八つ裂きにされた若者の姿があったという。
それから、この島に鬼が住んでいる「鬼ヶ島」といわれるようになったのだとか。
つまり…
「正体不明の怖いモノが住んでいる」=「鬼」=「鬼ヶ島」だったよう…。
最後に…
上の地図は…
『新編 一宮市史本文編(下)』付図より転載し、鬼ヶ島の地名を黄色く加工たもの。こう見ると、鬼ヶ島とされた地域は今より広かったようですね。
今回紹介した「鬼ヶ島」の昔話は、いつの時代に作られたものかハッキリしていません。
また、現在、この地域には青木川が流れていますが、時代の流れと共に、土地の形状、河川の状態は変化していることが多いので、正確な場所の特定なども難しい。
とは言え…
現在の地図と重ねイメージしてみるのは面白いもの。
日本各地には、気になる地名が数多くあります。
地名は昔話や伝説などと深く関わっている事が多く、その物語は事実なのか?空想のモノなのか?それらは不明確なものばかり。
でも、それはきっと…昔の人々が何かを伝え残そうとした証の一つ。
事実か否か議論するより、その地域に古くから伝わる昔話を大切にし、分かりやすく残して行きたいものです。
鬼ヶ島公園
場所:愛知県一宮市三ツ井1丁目4
地図(外部リンク)
取材協力:一宮市博物館