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巨人・原監督から7分半レッスン受けたKIAの21歳 2安打放ち「満足してる」

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
KIAの若手選手に打撃指導する巨人・原辰徳監督(写真:ストライク・ゾーン)

20日にセルラースタジアム那覇で行われた巨人とKIAタイガースの練習試合。試合前、KIAのキム・ギテ監督(49)は巨人の首脳陣、選手たちと交流の時間を持った。

キム・ギテ監督は現役引退後、2007年から3年間指導者として巨人に在籍。研修コーチを経て2軍打撃コーチに就任し、イースタンリーグの混成チーム・フューチャーズの監督も兼任した。その縁でキム・ギテ監督は今も巨人関係者と結びつきがある。とりわけ原辰徳監督(60)への憧れは強い。

試合開始約1時間前、キム・ギテ監督はグラウンドでの原監督との談笑中、1人の若手選手を呼んだ。高卒4年目の内野手、リュ・スンヒョン(21)だ。

キム・ギテ監督はその場で原監督にリュ・スンヒョンへの打撃指導を依頼。原監督はそれを快く引き受けるとチームの垣根を越えたレッスンは徐々に熱を帯び、自らバットを手に通訳を介してアドバイスを始めた。

リュ・スンヒョンは原監督の指導について「後ろの足(軸足)が早く回る癖があるのでそれを見てもらった。原監督は足よりもバットを先に出すように、手の動きを意識するように教えてくれた。幼い頃から監督として見ていた人から直接指導を受けて嬉しい」と話した。

7分半に及ぶアドバイスを行った原監督は、最後にリュ・スンヒョンに向けて、「キム・ギテ監督と正田(耕三)打撃コーチに見てもらえば大丈夫」とジェスチャーを交えて伝え、笑顔で1塁側ベンチへと下がった。

この日の試合、リュ・スンヒョンは4回表に三塁の守備で途中出場。8回裏、この日の2打席目に巨人の5番手・澤村拓一から右中間へ二塁打を放った。9回の第3打席では左腕の戸根千明からセカンドへの内野安打を放ち、3打数2安打と結果を残した。

右中間へ二塁打を放ったKIAのリュ・スンヒョン(写真:ストライク・ゾーン)
右中間へ二塁打を放ったKIAのリュ・スンヒョン(写真:ストライク・ゾーン)

リュ・スンヒョンは試合後、「今日は足よりも手を先に出すことを意識した。しっかりとヒットが打てて満足している」と淡々と語った。

リュ・スンヒョンはこの日、打席に入る前にいつも以上にバットの出し方を意識したという(写真:ストライク・ゾーン)
リュ・スンヒョンはこの日、打席に入る前にいつも以上にバットの出し方を意識したという(写真:ストライク・ゾーン)

リュ・スンヒョンは昨季初めて1軍でプレー。6月以降、35試合に出場し打率3割7厘、1本塁打、13打点という成績だった。

リュ・スンヒョンのポジションのサードには2010年に福岡ソフトバンクでもプレーしたイ・ボムホ(37)という大きな存在がいる。リュ・スンヒョンがイ・ボムホからすぐにレギュラーの座を奪うのは容易ではない。しかし「タツノリ効果」をきっかけに打撃開眼すればベテランとの差は少しずつ縮まっていくだろう。

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韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FM那覇)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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