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高校通算97本塁打からプロ5年。ホークス黒瀬、開花の夢あきらめない

田尻耕太郎スポーツライター
王貞治会長も飛ばす能力を認めている(筆者撮影)

ホークス増田が3安打1打点

 10月6日、四国アイランドリーグplusとの定期交流戦で、福岡ソフトバンクホークス三軍と徳島インディゴソックスがタマホームスタジアム筑後で対戦した。

 

【10月6日 定期交流戦 タマスタ筑後 242人】

徳島     300100030 7

ソフトバンク 040000001 5

<バッテリー>

【IS】楢嵜、森、小原、◯安丸、S亀山――佐々木

【H】吉住、●大関、野澤――石塚、堀内

<本塁打>

なし

<スタメン>

【IS】7杉本 4岡本 8宇佐美 3佐藤 D山崎 5上原敦 9福原 2佐々木 6古川

【H】5増田 6勝連 7渡邉 3黒瀬 9大本 D小林 8中村宜 2石塚 4伊藤

<戦評>

 4対4の同点で迎えた八回、勝ち越したのは徳島だった。4イニング目で疲れが見え始めたソフトバンク2番手の大関の制球の乱れをついてチャンスを広げると、岡本が2点適時打。さらに佐藤が3番手の野澤から中前適時打を放ってこの回3点を挙げた。

 ソフトバンク打線は3点ビハインドの二回に満塁機で石塚が3点二塁打を放って追いつくと、なおも2アウト二塁から増田の中前適時打で一時逆転に成功していた。増田はこの日3安打の活躍だった。しかし、その後の得点機を活かせずに三回から八回までゼロ行進。九回に舟越の適時内野安打で1点を返したが、反撃が遅かった。また、ソフトバンクは4失策、3暴投、1捕逸とミスが目立ったのが痛かった。藤本博史三軍監督もおかんむりだった。

 なお、この日は、三軍戦としては異例のテレビ生中継(スカパー!の「スポーツライブ+」)が行われた。(了)

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巨人との3試合で9の6、1本塁打

 黒瀬健太内野手が打撃の悪癖を改善。状態の良さをキープしている。

 この日は3打数1安打2四球。左前打のシングルヒット1本のみだったが、9月には阪神二軍や巨人三軍との練習試合で豪快なホームランを放っている。巨人との3試合では9打数6安打1本塁打2打点と快音を連発させた。

「意識をして練習をしているポイントがあるんです」

 以前はスイングする際に顔が三塁方向を向いてしまい、身体が流れやすくなっていた。そうなると軸がぶれる。せっかく恵まれた体格なのに、そのパワーを打球に伝えられずにいた。

 現在は頭を残した状態でスイングをすることを心掛けている。練習では極端に表現をする。「フォロースルーのとき、顔が右肩に乗った状態」。試合になれば、その工夫が生きてくる。

「鳴尾浜での阪神戦でのホームラン。あの一発の感触がすごく手に残っているんです」

 外角の直球をとらえた打球は左翼防球フェンスの最上段へ。あと少しで場外弾という超特大の一発だった。

阪神戦でつかんだ「あ、こんな感じで打ってた」

「あ、ホームランを打つ時はこのポイントで、こんな感じで打っていたなというのを、ふと思い出したんです」

 黒瀬といえばホームランだ。高校通算97本塁打という破格の実績を引っ提げてプロ入りした。だが、未来の超スラッガーは苦戦。まだ一軍昇格経験はなく、4年目の2019年シーズンから背番号「126」の育成選手としてプレーをしている。

 黒瀬自身が、今自分の置かれている立場を誰よりも理解している。

「とにかくアピールをするしかない」

 今季の支配下登録期限は終わってしまったが、来季も「勝負」をし続けるために打ち続けるしかない。今の打撃を維持するのではなくさらに高みを目指して、黒瀬は特大の放物線を描き続けていく。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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