東日本豪雨の一因となった台風17号のゆくえ
かつて、これほどまでに、迷惑かつ長寿命な台風があったでしょうか。
東日本豪雨の一因となった元台風17号の残滓(ざんし)は、現地時間の水曜(16日)にもアメリカ西岸に到達し、ワシントン州やオレゴン州などに大雨をもたらす見込みです。
Uターン台風
17号は、まさにUターン台風と言えます。
ことの始まりは8月20日にハワイの南の海上で発生した熱帯低気圧です。これが急速に発達し、カテゴリー4のハリケーン(ピーク時、最大風速60mに達した)となり、太平洋上に3つの渦巻きが並びました。カテゴリー4以上のハリケーンが、一度に3つも現れるのは史上初のことでした。
ハリケーンはそのまま日付変更線を渡り、今年2個目の越境台風となりました。そして先週日本に接近し、元18号と共に、東日本に記録的な豪雨をもたらしました。
この台風は11日、温帯低気圧に変わったものの再びUターンして東部太平洋に戻り、その残滓が現在アメリカ本土に進んでいます。
ちなみに17号は、発生から、北海道の東海上で温帯低気圧に変わるまで、21日間も海上を移動し続けました。この期間は、太平洋において5本の指に入る長い記録です。(一位は1994年台風20号、国際名ジョンの30日)
その移動時間と距離は、温帯低気圧なってからもさらに伸びました。現在は低気圧ではありませんが、その残滓が予測通りアメリカ本土に到達するとなると、約1カ月間に渡り、およそ一万五千キロも動き続けたことになるのです。
アメリカ要注意
アメリカの気象当局は、現地時間の水曜(16日)に、シアトルなど北西部の沿岸で大雨が降るとして、住民に警戒を呼びかけています。
過去にもあった、逆越境台風
このような日付変更線をまたいだ元台風は以前にもありました。しかし近年は、強い勢力のままで移動することが多いように思います。
例えば、2011年台風15号がその例です。帰宅ラッシュ時の関東地方を直撃して、多くの帰宅難民を発生させた台風です。その後、カナダ西部で突風や大雨の被害を出しました。
また2013年伊豆大島に土砂災害を起こした台風26号は、アラスカ州に到達し、大雨を引き起こしました。さらに2014年台風20号は、アラスカ周辺で、この地域における史上最強の低気圧となり、広範囲に被害をもたらしました。
ところで、17号の国際名は「キロ」です。これはハワイの言葉で、占い師を意味します。この特異な軌跡をたどった元台風は、水蒸気の塊となって今後どんな運命をたどるのでしょうか。