オリックスとの練習試合 井川から一二三がバースデーアーチ!《9/29 阪神ファーム》
27日にウエスタン・リーグは全チームがすべての日程を終えました。同じ日にイースタン・リーグも全日程終了。両リーグの公式戦が一緒に終了するなんて、なかなか珍しいことですよね。イースタンは巨人が6年ぶりに優勝していて、10月3日のファーム日本選手権(KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎)で、ウエスタン4連覇のソフトバンクと対戦します。
きのう29日はオリックスとの練習試合に臨んだ阪神ファーム。23日に亡くなった阪神の中村勝広GMは、オリックスでGMや監督を務められたこともあって、この日は神戸サブ球場のバックスクリーン上に半旗が掲げられ、試合開始前は全員で黙祷を捧げました。両チームの選手たちを、きっとどこかで見守ってくださっていると思います。中村さん、これからもよろしくお願いします。私もそう祈りました。
さて試合は、先発の松田投手が8安打(うち本塁打1、三塁打1、二塁打2)と打ち込まれて5回で5失点…。その5回までに打線は3安打無失点という前半。後半に何とか2点を返したとはいえ、完敗です。6回に井川投手から一二三選手がホームラン!しかも自身の誕生日を祝う一発で、そう人数が多くなかったスタンドのお客様も大喜び。印象に残ったのはそれくらいでしょうか。こちらも二塁打は3本あったんですけどねえ。
余談ですが、阪神のスタメンを見ていて「きょうも“田”が多いなあ」と話していたところ、2番と3番以外は全部“あ行”で終わる名前だ!と気づきました。ほんと余談ですみません。
《練習試合》9月29日
オリックス- 阪神 (神戸第二)
阪神 000 001 001 = 2
オリ 011 211 00X = 6
◆バッテリー
【阪神】松田-藤原-伊藤和-トラヴィス / 小豆畑
【オリ】高木-井川-前田-斎藤綱-戸田 / 伏見
◆本塁打 一二三ソロ(井川) 奥浪2ラン(松田)、伏見ソロ(藤原)
◆三塁打 堤
◆二塁打 北條、陽川、森越 奥浪、伏見
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)
1]右:柴田 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃打中:一二三 (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0)
2]二:北條 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
3]左右:中谷 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)
4]三:陽川 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)
5]中右:横田 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 1)
〃左:田上 (0-0-1 / 0-0 / 0 / 0)
6]指:緒方 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃打指:森越 (2-2-0 / 0-0 / 0 / 0)
7]一:西田 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃一:原口 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
8]捕:小豆畑 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
9]遊:植田 (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)
◆投手(打-振-球/失点-自責)最速キロ
松田 5回 89球 (8-3-0 / 5-4) 146
藤原 1回 20球 (3-0-1 / 1-1) 142
伊藤和 1回 8球 (0-1-0 / 0-0) 138
トラ 1回 13球 (0-1-0 / 0-0) 140
試合経過
まず投手陣から。1回を三者凡退で立ち上がった松田ですが、2回は先頭の奥浪に、あわやホームランという左中間への二塁打を許し、伏見の右飛で1死三塁。続く山本の中犠飛で1点を先取されました。3回には先頭の園部がセンター右へ大きな飛球。それを横田が走りながらキャッチ…思ったら捕れておらず、園部は二塁へ。記録は横田のエラーです。武田の中前打で無死一、三塁となって小田の遊ゴロ(二塁封殺)の間に2点目。
4回も先頭のカラバイヨに右前打され、続く奥浪が初球のカーブを打ってレフトへ2ラン。さらに伏見の左中間二塁打などで2死一、三塁とピンチは続きましたが、ここは園部の遊ゴロ併殺で追加点は防いでいます。しかし5回は2死を取ってから堤に右越え三塁打、次の原大に右前タイムリー。2回から毎回の8安打で5点を失って(自責4)、松田は交代しました。
6回は藤原が、先頭の伏見にいきなり初球をレフトへホームランされ、その後は簡単に2死を取ってから園部への四球と武田の右前打で一、二塁。小田の遊ゴロで一塁がセーフ(ショート内野安打)、北條は三塁へ送球して園部がタッチアウトとなって、この回は1点止まりです。
7回は伊藤和が、7月21日のルートインBCリーグ合同チームとの交流試合以来の登板で、先頭の堤をチェンジアップで空振り三振、原大と奥浪は真っすぐで内野ゴロに打ち取って三者凡退!そして9回は、派遣されていたルートインBCリーグ・福井から戻ってきたばかりのトラヴィス投手が、まず伏見を投ゴロ、山本は右飛、最後の吉田雄は見逃し三振!キッチリと3人で片づけています。
さて打線はというと、オリックスの先発・高木の前に1回、2回は三者凡退。3回に2死から植田がチーム初ヒットの左前打を放つも盗塁失敗。また3人で終了です。4回も2死から中谷が放った左前打のみ。5回は1死後に緒方が中前打しますが、西田は二ゴロ併殺打…。5回まで散発3安打で無失点、残塁も1つだけでした。
6回は2人目の井川に4球で2死を取られ、ここで代打・一二三がチェンジアップを打ってレフトの右へ。打球はゆっくりと飛んでいき、あれ?あれれ?もしかして入るの?という感じでフェンス越え!ようやく1点を返したものの、この直後に北條が左越え二塁打(こっちの方が柵越えしそうな打球音で…)、また6回にも2死から代打・森越が中越え二塁打を放ちますが、追加点はなし。
8回も三者凡退に抑えられ、6対1のまま迎えた9回でしたが、ここで中谷が四球を選び陽川の左翼線二塁打で1死二、三塁とチャンス到来。7回の守備から横田に代わって出ていた田上が、戸田の真っすぐを打ってレフトへの犠飛!続く森越がこの日チーム唯一のマルチヒットとなる左前打で2死一、三塁とするも、最後は6回から出場していた原口が二飛に倒れ試合終了です。
一二三「まさか入るとは…」の祝砲
この日が23歳の誕生日だった一二三選手は、代打でホームラン!試合後、ミーティングが終わってロッカールームへ戻ってきた一二三選手は、ランニングのため再び出ていく時に「バースデーアーーーチ!」と言いながら駆けていきました。こちらが言う前に(笑)。入ると思った?「いや、全然!まさか入るとは思わんかったっす」。実は私もまさか?と、じーっと見てしまった。「あはは!」
と笑いますが、一二三選手自身も半信半疑だったはず。ランニング後に、どのあたりでホームランだと気づいたか尋ねると「わかんないです」という答え。私が撮った写真によれば、二塁を回ったところで足をいったん止めたような。そこで確信したみたいで、表情が変わっていきました。三塁に到達すると顔がもう完全に笑っていますね。
井川投手が簡単に2アウトを取ってから代打で出た一二三選手。最初に98キロのスローカーブが来てボール、次いで真っすぐ2球でカウント2-1となり、打った4球目はチェンジアップ?「だと思います」。井川投手との対戦成績は「覚えてない」とのこと。今季は公式戦を含めて、これが2度目。7月24日に1打席あって、結果は捕邪飛でした。
島袋の1軍デビューに
これまで誕生日にホームランを打ったことは?と聞いたら「ありますよ、高校の時に」と即答。なるほど。ところでソフトバンク・島袋投手が1軍で投げたね。「抑えてましたか?」。抑えていましたよ。9月25日に1軍デビューを果たした島袋投手はロッテ戦で1イニングを投げ1三振1四球で無失点。そしてこの会話をした29日の夜も、楽天戦に中継ぎ登板して1イニングを無失点(1安打1三振1四球)。
島袋投手の話をした際に一二三選手は「上で投げたか~。やばいっすねえ」と言いました。この“やばい”には「すごいなあ、やるなあ」と、もうひとつ意味を持っていたのかもしれません。いえ、持っていたでしょう。ことし入団してきた同級生、かつて甲子園で投げ合ったライバルと、いつか1軍の舞台で相対することを我々も期待しています。この秋を乗り越えて、必ずそこへ向かってください!
北條選手も井川投手から二塁打を放っていますが「あかん。もう1本打っとかなあかんかった…」としきりに悔やみながらバスへ向かいました。二塁打は真ん中の真っすぐだったようですけど「あかん、あかん」と繰り返すばかり。また、3回に先頭の園部選手を二塁まで進める痛恨のエラーをしてしまった横田選手も浮かない表情で「触っていました。捕れた。打球まで行くのが遅かったです」と反省のみでした。
既に来年へ向かっている投手陣
投手陣については久保投手コーチの談話でご紹介します。まず松田投手のことを聞くと「いい素材を持っているのに、その“素材”だけで野球をやってしまっている。そのツケが今、回ってきたかな。これまで短いイニングで投げているから、自分の力だけで勝負できた。でも長いイニングは芸当がいるんですよ。ただ投げるんじゃなく、バッターと対する“ピッチング”が」という答えが返ってきました。さらに続きます。
「長いイニングを投げれば同じバッターと何度も対戦する。“素”のままでいけば打たれ出すのは当然でしょう?そこに“妙”が出てくる。それを彼に学ばせたいんですよ。5回の奥浪の三振は、いい組み立て(真っすぐ2球で追い込んで変化球を1つ外し、最後は真っすぐで見逃し三振)。よかった。もともと緩い球が好きなバッターに、ああいう組み立てができると、緩い球をミスショットさせられるしね」
続いて、いきなり真ん中高めにいった初球をホームランされた藤原投手には「入りが不用意だった。次の山本を打ち取った(真っすぐをファウルさせて、変化球で三ゴロに)ような入り方をすれば。1軍では言い訳ができないけど、ここなら失敗してもいいんだからね」と久保コーチ。この初球、123キロと出ていたので変化球だと思ったのですが小豆畑選手によると「真っすぐです。強い真っすぐを投げられなかった」そうです。
福井帰りのトラヴィス投手について、久保コーチは「プレッシャーのかかるとこで投げて、いい経験してきたね。来年に向けて、いいモチベーションが出ている。早めに投げさせたかったんですよ」と言います。なんせ優勝争いとかプレーオフとか、緊張感だらけの中で3ヶ月やってきたわけですからね。それがどう出るか、久保コーチも楽しみな様子。「松田にしても、もう来年に向かっていますよ。こういう経験をしておけば来年に生きる」とのことでした。
また背が伸びて帰ってきた!トラヴィス
8月半ばに金沢で会って以来のトラヴィス投手は、また一段と痩せて背が高くなって。いや背は変わらないですよね、痩せたから高く見えるだけで。「いえ、伸びました」。ええっ!?「慎重が2センチ伸びました」。まだ伸びているとは…恐るべし。それにまた痩せたでしょう?「はい。体重は3ヶ月で3キロ減っています」。まあ鳴尾浜に帰ってきたから、すぐ取り戻せると思うので心配ありませんね。
トラヴィス投手が派遣されていたルートインBCリーグの福井ミラクルエレファンツは後期、惜しくも僅差で逃したものの前期覇者としてプレーオフに出場。そこで勝って、リーグチャンピオンシップにも出場しました。残念ながら3連敗でチャンピオンの座は逃したものの、トラヴィス投手は2戦目に先発して5回2失点だったそうですよ。
「今までになかった、人生初の経験」と振り返るプレーオフを終え、バタバタと帰ってきてすぐの登板でしたが「久しぶりに阪神のユニホームを着て投げて、嬉しいです」とニコニコ。ビシッと三者凡退というのも?「ない。よかったです!変化球はまだですけど、真っすぐはしっかり軸を作って投げられました」。なおトラヴィス投手にとってBCリーグでのことだけでなく、シーズンを通して試合に登板できたこと自体が、きっと“人生初の経験”なのでしょう。そのあたりの話は後日、また詳しく聞いておきます。