オノ・ヨーコによる「ジョン・レモン」騒動は今回だけではなかった
「"ジョン・レモン"の飲料名は商標権侵害、オノ・ヨーコさんが抗議というニュースがありました。「レノンさんの名前をもじった"ジョン・レモン"の銘柄の飲料を英国で発売したポーランドの飲料メーカーに対し、商標権侵害だと抗議し、法的措置も辞さない姿勢を示し(中略)これを受け、飲料メーカーは銘柄名を"オン・レモン"に変更することに同意した。」ということです。訴訟には至らず和解で終わったようです。
John LennonとJohn Lemonが商標として類似するかという問題、また、実はJohn Lemonの方が先に商標登録されていたという問題はあるのですが、商標権だけではなく不正競争防止法的な話にもなると飲料メーカー側は必ずしも有利ではありませんので、争うよりも和解を選んだものと思われます。
この機会にJohn Lemonという商標の登録状況を欧州連合知的財産庁(EUIPO)が提供する商標データベースTMViewで調べてみました。誰でも思いつくネタなので、それなりの数が登録(または出願)されています(39件ヒットしました)。下の図は登録の抜粋ですが、一番上にあるのが今回問題になったポーランドの飲料メーカーの登録です。
注目すべきは、ハイネケンのスペイン法人による登録があるということです(上の図では一番下)。1997年の出願なので結構歴史ある商標です。オノヨーコはこれには文句を言わないのかと思いましたが、サーチするとやはり今年の2月に訴訟していました(参照記事(スペイン語))。なぜかスペイン語でしかニュースになっていないのですが、ハイネケン側が5年間以上にわたり商標を使用していなかったので登録が取消になったようです。
今後、オノヨーコ氏が他の国でも同様のアクションを起こすことも考えられます。日本では今のところJohn Lemonは商標登録されていませんが、この名称のパロディ商品等を売っているとクレームが来る可能性はあるかもしれません(なお、日本では1992年よりオノヨーコ氏がジョンレノンの商標登録をがっちり押さえています)。