広告代理店がなくなってしまう? 「消費者契約法の改正案」がひどすぎる
消費者と事業者が結ぶ契約を規制する「消費者契約法」の改正論議が迷走しています。内閣府消費者委員会の専門調査会が、「勧誘」の概念に強いバイアスをかけているのが要因ではないかと思われます。
不特定多数向けの広告でさえも「勧誘」に値するという案を調査会が示したからです。営業・マーケティングコンサルタントである私は声を大にしていいたい。それを「勧誘」と呼び、規制をかけてしまったら、すべての広告代理店は潰れてしまうし、そもそも商品をどのようにアピールしたらいいか、すべての事業者は途方に暮れてしまう。
たとえば、とても美味しいみかんがあったとします。これを毎月100箱売るとした場合、調査会の委員方はどのように売るというのか、一度手本を見せていただきたいと思います。1ヶ月だけなら自分の知り合いに頼めばいいでしょうが、毎月、となると、何らかのマーケティング活動を継続的にやっていくことが不可欠です。たとえ、そのみかんがもの凄く美味しくて健康促進に役立つとしても、スーパーマーケットで売られているみかんよりも3分の1の価格だったとしても、誰がどのような手段でそのみかんの素晴らしい魅力を知ることができるのでしょうか。極端な話、調査会の委員方はその生産者がみかん100箱を家の中に積んでおいても、誰かが家に訪れ、みかんを買いに来てくれるとでも言うのでしょうか。
調査会は、「あらゆる広告が対象になるわけではなく、事業者は心配しすぎだ」と指摘しています。しかし景品表示法や特定商取引法ですでに手当てしている事案があり、消費者契約法での規制となると、適用範囲が大きすぎて、事業者はどうプロモーション活動をすればいいのか戸惑うに違いありません。正直なところ、本改正案の「目玉」として、この「勧誘」概念見直しがあります。目玉作り、話題作りのために、事業者のマーケティング施策に多大な影響を及ぼすような改正をされたらたまったものではありません。とにかく、調査会の人たちは、どんな商品でもいいので1年や2年、販売活動をしてもらいたいと思います。事業者の苦労を少しでも理解しないと、実のある改正案などできっこないと言えます。