知らないうちにやっている?第一印象を下げる『残念な名刺交換』
あなたは、日頃どのくらい名刺交換をしているでしょうか。「毎日何枚も」という方もいれば、「時々かな」という方もいるでしょう。
名刺交換は、仕事の場において、初対面の人との大切な出会いの場です。「名刺交換が、あなたの第一印象を左右する」と言ってもいいでしょう。
そこで、今回は、よくある「残念な名刺交換」の例を8つと、改善するためのビジネスマナーをご紹介します。下記の例を反面教師に、自分の名刺交換について振り返ってみましょう。
1 手帳や財布、ズボンのポケットから名刺を出し入れする
あなたが名刺を名刺入れ以外から出してきたら、相手はどう思うでしょうか。「名刺入れを持っていないのだろうか?」と疑問に思うことでしょう。
また、渡した名刺をズボンのポケットにしまわれたとしたら、どうでしょうか。「自分は大切にされていない」と受け取られても仕方がありません。
マナー:自分の名刺は名刺入れから出し、相手の名刺は名刺入れにしまう
2 シワや折り目、汚れがあるがある名刺を渡す
名刺は、自分の顔のようなものです。シワや折れ目、汚れが付いていたり、経年劣化で色褪せた名刺は、顔が汚れているようなもので、だらしない印象を与えます。
名刺もタダではないので、捨ててしまうのはもったいないと思うかもしれませんが、名刺を惜しんで、ビジネスチャンスを捨てる方がもっともったいないとは思いませんか。名刺以外にも、汚れた名刺入れや、名刺でパンパンになった名刺入れも見られていますので、注意しましょう。
マナー:汚れたり折れたりした名刺は渡さない
3 名刺ばかり見ていて目が合わない
名刺交換の作法ばかりに気を取られてしまう人にありがちなのが『相手と目を合わせない』ということです。「名刺交換が上手くできるだろうか」だけを気にしていると、名刺自体に視線を固定してしまうことになりかねません。
名刺交換の目的は、「人脈づくり」にあります。今後、お付き合いがスタートするかもしれない、大切な場面です。名刺だけを見つめず、交換する相手の目をしっかりと見て、コミュニケーションを取るようにしましょう。
マナー:名刺よりも、交換する相手の目を見てコミュニケーションを取る
4 名刺の準備にモタモタする
自分の準備不足で、相手から先に名刺を差し出されることがあります。そんな場合でも、相手を待たせることがないよう、まずは「お先に頂戴いたします」と言って相手から名刺を受け取った後、名刺を取り出し「申し遅れました、○○会社、△△と申します」と名刺を渡すようにしましょう。
マナー:名刺交換がすぐにできるように準備を整えておく
5 机の向こう側から名刺交換をする
名刺交換は、「立って、相手の正面で」行うのがマナーです。間に机を挟んだり、座ったままで名刺交換をしないようにしましょう。相手と向き合って名刺交換することで、良い印象を与えることができます。
ただし机の配置によっては、机越しでないと名刺交換ができない部屋もあります。そんな時は、相手も事情が分かりますので、「机越しに失礼いたします」と一言添えれば、問題ありません。
マナー:名刺交換は物を挟まずに正面から渡す
6 もらった名刺を即行でしまう
受け取った名刺をすぐに名刺入れにしまうと、「自分のことは、それほど興味がないのかな」という印象を与えてしまいます。
いただいた名刺はすぐに目を通し、もし読み方のわからない文字があれば、その場でお聞きしても失礼には当たりません。「失礼ですが、下のお名前は何とお読みすればよろしいですか」と質問しましょう。
そして、受け取った名刺は、商談の間はテーブルの上に置いた名刺入れの上に重ねて置きます。立ち話の場合は名刺入れに載せ、胸の辺りで持ったまま話します。名刺入れにしまう際は、相手よりも後にしまいましょう。
マナー:名刺はその場で目を通し、しまうタイミングは相手の後にする
7 名刺が手元にない
相手の名刺を受け取っておきながら、自分の名刺を渡さないと、「軽く見ている」というメッセージを相手に与えてしまいます。名刺を切らさないように、普段から十分に持っておくようにしましょう。
名刺入れごと忘れてしまうのが心配なら、いつでも持っている手帳や財布などに数枚予備を入れておくようにしましょう。
もし名刺を切らしていて渡せない時は、「申し訳ございません、あいにく名刺を切らしております。後日お持ちいたします」と伝えます。再度の訪問予定がない場合は、「後日お送りいたします」と伝え、次の日までに手書きの手紙とともに郵送するようにします。
名刺が渡せないようでは、今後のお付き合いの確率はグッと低くなります。ピンチをチャンスに変えるためにも、謝罪だけではなく、後日になってもいいので確実に渡すようにしましょう。
マナー:名刺が切れていたら、後日に持参または郵送する
8 自分語りが長い
初対面で「自分のことを知ってほしい」と思うあまり、自分のことばかりを話し過ぎてしまう人がいます。
名刺交換は、相手とのコミュニケーションの場です。一方的に自分について話すのは、自分の印象を下げてしまいます。相手の話を聞くとともに、自分の話もするようにしましょう。
マナー:相手の話を聞き、自分の話もして、コミュニケーションを取る
まとめ
いただいた名刺は相手の顔、渡した名刺は自分の顔です。相手の名刺は丁重に扱い、自分の名刺は印象が上がるように渡しましょう。
形だけにとらわれず、相手を思いやりながら、「嫌な思いをさせないためにどうすればいいか」を考えて名刺交換をしましょう。
研修トレーナー太田 章代
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太田章代の『ビジネスコミュニケーション術』