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心をつかむ話し方|相手の感情を動かすコツ5選

太田章代新人育成トレーナー

ビジネスでは人前で話す機会が多かれ少なかれあります。そんな場面では、話すだけで精一杯なのに『人の心をつかむなんて無理』と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私は話すプロとしてまだまだ未熟ですが、人を惹きつける話し方を常に考え、実践を積み重ねたところ、相手の反応の違いがわかるようになりました。

ここでは、私が講演や研修で話すときに意識している、人の心をつかむ話し方のコツを5つご紹介します。今後の参考になれば幸いです。

Youtube版も公開しています。

動画でも学べます。聞き流すだけでも理解できますよ!

テクニックよりも気持ちをこめる

話し方が上手な人というと、声が通る、滑舌が良いなどを思い浮かべるかもしれません。確かにアナウンサーのように、キレイに話せたらいいなと思います。しかし、人の心をつかむ話し方に、キレイな話し方は必要ありません。    

仕事で人の心をつかみたい場面と、人の心がつかめたときの結果はどんなことがあるでしょうか。

相手の心をつかみたい場面:商談やプレゼンテーション 

⇒ 心をつかめた結果:モノが売れる

相手の心をつかみたい場面:部下指導 

⇒ 心をつかめた結果:部下が気持ち良く動いてくれる

つまり伝える目的は、相手の感情を動かして行動してもらうことなのです。人の心を動かすには、エネルギーが必要です。例えば「この商品はお客様の生活を豊かにします」と伝えようとしたときに、サラッと話すのか、気持ちを込めてゆっくり丁寧に話すのかで、相手の受け取り方が変わります。相手の感情を動かすには、感情に訴える情熱が必要なのです。話すスキルも必要ですが、言葉に気持ちを込めることが最も重要です。

心をつかむ話し方のコツ

それでは、相手の感情を動かす話し方のポイントを5つみていきましょう。

1.自分の言葉で伝える

結婚式の来賓挨拶を見るとわかりやすいのですが、普段使わない言葉を使い、作ってきた文書をただ読んでいるだけの祝辞は心に残りづらいものです。反対に言葉遣いは多少雑でも、新郎新婦の目を見て自分の言葉で話している、気持ちのこもった祝辞に何度か感動したことがあります。

仕事でも同じで、パンフレットに書いてある商品説明をそのまま読んだり、会社から出された方針をそのまま部下に伝えたりすると、相手の心に響かないのです。言いたいことを、かっこつけず自分の言葉で伝えることで、相手に気持ちが届きやすくなります。

2.体験談を話す

体験談を話すと相手から共感を得ることができたり、自分の言っていることに説得力が増します。私は講演会や研修で体験談を話すことがよくあります。特に失敗談を話すと下を向いていた人が顔を上げて、目が合うという体験を何度もしています。ですから、体験談の惹きつけ効果は実証済みです。

例えば「上司と部下の人間関係を良好にしましょう」と伝えるとします。ただストレートに伝えただけでは相手の感情は動きません。そこに体験談を入れると「私は、前職で直属の上司と人間関係が上手くいっていませんでした。それにより会社に行くのが嫌になってしまい、毎日朝起きると胃が痛いという状態が続いたのです。仕事を楽しくするためにも、上司と部下の人間関係を良好にしましょう」となりますがいかがでしょうか。体験談を話すと、なぜ人間関係を良好にした方がいいという考えになったのか伝わり、聞き手は「人間関係は大事なんだ・・・」と理解しやすくなります。自分の体験談が思いつかないときは、偉人や著名人の体験談を用いても効果的です。

3.重要だと思うポイントは前置きを入れる

説明やプレゼンテーションは長くなればなるほど、重要な点がわかりづらくなり、話を聞いた後に何も印象に残っていなかったということがあります。そこで、記憶に残して欲しいポイントに前置きを入れます。例えば以下のような言葉を使っています。

「ここが重要な部分ですが・・・」

「今から一番大切な事をお伝えします」

「本日一番お伝えしたいことは・・・」

などです。

前置きを入れることで相手は「ここが重要なのだな」「しっかり聞こう」と話を聞く態勢を整えてくれます。前置きを入れることは簡単ですので今すぐに使うことができますが、前置きをサラッと話してしまうと印象に残りません。「本当に重要なので、しっかり聞いて記憶して欲しいです!」という気持ちをこめて丁寧に伝えるようにします。

4.重要な部分はゆっくり何度も話す

私が人の話を聞く側のときに『この方の話は、何か心を動かされる』と感じる人の話し方には、話に抑揚と適度な間があります。『抑揚と間』が相手の心をつかむことはわかっていますが、なかなか高度なテクニックです。私自身も練習したことがありますが、習得まで時間がかかります。

そこで比較的簡単で印象に残る話し方として、重要な部分をゆっくりと丁寧に話す方法があります。例えば、「上司が部下を人として尊重する精神がなければ、パワハラを防止することできません」と伝えるとします。一番伝えたいことを「人として尊重する精神」だとすると、この重要な部分をゆっくりと口を大きく動かして伝えます。更に記憶に残してもらうためには、1回だけではなく何度も繰返し話してみてください。繰返し伝えることで話し手の信念が聞き手に伝わり、心を動かす要因となります。

5.ボディーランゲージで表現する

最後は話し方ではないのですが、人の心をつかむには言葉だけではなくボディーランゲージも必要です。話とボディーランゲージはセットで考えてください。話している内容に合わせて感情を身ぶり手ぶりで表現すると情熱が伝わります。少し古い話ですが、東京オリンピック招致のプレゼンで滝川クリステルさんが「お・も・て・な・し」と手をつけて話したのが印象的で心をつかまれました。

身ぶり手ぶりが感情を伝えるのに効果的であることは、脳科学でも実証されています。私達は言葉を脳内で処理する際に、身体動作も含めて認識しているということです。またボディーランゲージをする上で気をつけたいのは、不自然な動きにならないようにすることです。大げさすぎる身ぶり手ぶりは、逆効果になることがあります。自分の中で感情が盛り上がると、いつの間にか身ぶり手ぶりが出てしまう経験があると思います。気持ちをこめて話すことで自然な身ぶり手ぶりをして、相手に気持ちを届けたいですね。

まとめ

心をつかむ話し方のコツを5つご紹介しました。

1.自分の言葉で伝える

2.体験談を話す

3.重要だと思うポイントは前置きを入れる

4.覚えてほしいキーワードはゆっくり何度も話す

5.ボディーランゲージで表現する

商談もプレゼンも上司・部下とのコミュニケーションもすべて相手は人です。気持ちを込めて話すことで相手の心を動かすことができます。話し方のコツ5つ全てを実行するのは難しいと思いますので、まずはできることから1つはじめてみませんか。

新人育成トレーナー

愛知県岡崎市出身。損害保険会社の事務員から広告代理店の営業職に転職。入社2年目から6年連続売上トップ。32歳で統括本部長に抜擢。50人の部下を指導する。35歳代表取締役に就任。その後、2006年人材育成事業で独立。現在まで研修&講演に2,000本以上登壇。離職率の低下や、職場のコミュニケーション改善などで成果を上げる。独自の体験型講演が好評をいただき、講師評価98.7%でリピート率も高い。研修&講演を通して【働くを楽しむ】社会創りに貢献するという使命のもと、日本全国で精力的に活動中。

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