ドン・キングがプロモートするNABAクルーザー級チャンピオン
第5ラウンド1分40秒、コーナーで滅多打ちにされるニック・キッシュナーを、レフェリーが救い、試合は終了した。2022年1月29日のことである。
スイッチするキッシュナーを一蹴したサウスポーのジョニー・ラングストンは、この一戦でNABAクルーザー級タイトルを獲得。ドン・キングのお眼鏡にかなったか、といった内容のファイトだった。
ラングストンは、去る6月11日に2-1の判定勝ちで同タイトルの防衛に成功。第8ラウンドにダウンを奪いながらも、1月ほどの圧勝は飾れなかった。目下の戦績は10勝(4KO)3敗1ノーコンテスト。
御歳90歳のプロモーター、ドン・キングは、このところ精力的な働きは見せないものの、年に数回、自らの手で興行を打っている。その度にラングストンを起用中だ。
キングと契約するクルーザー級選手として私が真っ先に思い出すのは、ケルビン・デイビス(44)だ。
2000年代中程、キングはIBFクルーザー級チャンピオンだったデイビスの防衛戦をまったく組まず、飼い殺しにした。デイビスは身長167センチながら鋭いステップインとハードパンチで<リトル・タイソン>と呼ばれた選手だったが、「リングに上がらない」という理由でタイトルを剥奪された。更にキングとの法廷闘争の準備で錆び付いてしまった。
晩年は6連敗を喫し、その後初回KOで敗れ、寂しく現役生活を終えた。
以前ほどの影響力を持っている訳ではないが、今後、キングはフロリダ州サラソータで生まれ育った32歳のNABA王者をどのように扱うのだろうか? ラングストンがデイビスの二の舞にならないことを祈る。