ノルウェー国民の55%が右翼ポピュリスト政党・移民大臣の厳格な難民政策を支持
移民・難民の受け入れに否定的な進歩党出身の移民・社会統合大臣シルヴィ・リストハウグ氏を、ノルウェー国民の半分以上が支持するという世論調査が出た。29日付けのダーグブラーデ紙が調査会社Ipsosに依頼したもので、5月23~25日に938人が回答したもの。
質問:シルヴィ・リストハウグ氏はノルウェーでの移民の受け入れにおいて、良い仕事をしていると思うか、悪い仕事をしているか?
55%が「良い仕事をしている」と評価
- とても良い仕事をしている 22%
- やや良い仕事をしている 33%
- わからない 7パーセント
- やや悪い仕事をしている 20パーセント
- とても悪い仕事をしている 18パーセント
55%という国民の半数以上が大臣の仕事ぶりを評価し、政権の移民政策において大きな影響力をもつ進歩党を支持する結果となった。
中道左派政党寄りの有権者からも支持を得る
ダーグブラーデ紙によると、回答者で好評価を下した人の多くは、右派・与党で連立政権を担う保守党(89%)と進歩党(87%)の支持者。加えて、与党と合意体制にありながらも、より寛容な移民政策を訴える自由党(41%)、そして反対勢力で最大政党である労働党の支持者(40%)も含まれる。
労働党の支持者が、進歩党を支持するという構図は珍しいともいえ、現在の世論は寛容な移民政策に対して慎重なことがうかがえる。
38%の左派政党支持者が「悪い仕事をしている」
大臣の移民政策を低評価で下した38%の多くは、野党で少数派政党の緑の環境党と左派社会党の支持者が占める。
フェイスブックには支持者からの投稿が殺到
リストハウグ氏のフェイスブックには、今回の世論調査の結果に対して、喜びの声をあげる投稿が目立つ。
「シルヴィ・リストハウグは、私たちにとって一番重要な大臣」
「左寄りのメディアが偏向記事を出す前に、自分のページに自分でたくさんの投稿をして!」
「私はシリアからの難民です。あなたの統率力を支持します」
「あなたは我々、純ノルウェー人のために働いてくれている」
「あなたと進歩党を、人種差別者で愛国者だと差別する人が、私のフェイスブックの“友達”にいたのですが、私はその人とは縁を切りました。ノルウェーはあなたを必要としています」
進歩党の発言は、「恐怖」を社会に拡散させる?
左派社会党や緑の環境党は、大臣や進歩党の政策や発言は、「恐怖を社会に拡散させ、社会統合の妨げとなる」と批判している。国連や赤十字社などの人権団体からも批判を受ける大臣だが、「皆さん、支持をありがとう!あなた方なしでは、私はこの状況で立ち続けることはできなかったでしょう」とフェイスブックに投稿した。
これまで移民や難民を寛容に受け入れてきたノルウェー。その国で、極右・右翼ポピュリスト政党とされる進歩党党員が国民の半数以上に支持されているという事実は、ノルウェー政治における大きな変化を表しているのかもしれない。
Photo&Text: Asaki Abumi