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東北楽天に入団したフランコは「大砲」なのか。福岡ソフトバンクのガルビスはかつての三遊間コンビ

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・フランコ Jun 3, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 来シーズン、マイケル・フランコは、東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーする。東北楽天は「マイケル・フランコ選手との間で契約を合意しましたので、お知らせいたします」と発表した。

 フランコは、30歳の三塁手だ。2014年のメジャーデビューから2019年までは、フィラデルフィア・フィリーズでプレーし、2016~18年は、3シーズン続けて20本塁打以上を記録した。各シーズンの本数は、25本、24本、22本だ。マイナーリーグ時代の2013年には、A+とAAの計134試合で31本のホームランを打っている。

 もっとも、2016~18年の計71本塁打は、このスパンのトップ50に入らない。52位タイだ。ちなみに、最多はクリス・デービス――イニシャルはCDでなくKD――の計133本。41位には、2021年に読売ジャイアンツでプレーしたジャスティン・スモークが位置する。スモークは、この3シーズンに計77本塁打を記録した。14本、38本、25本だ。

 日本プロ野球において、フランコが大砲となる可能性は皆無ではない。だが、現時点でフランコを大砲と呼ぶのは――シーズン40本塁打に迫ったスモークならともかく――躊躇われる。

 フランコは、2014~17年のフィラデルフィア・フィリーズと2021年のボルティモア・オリオールズで、フレディ・ガルビス(現・福岡ソフトバンク・ホークス)とチームメイトだった。なかでも、2016~17年は、どちらのシーズンも、フィリーズの80%以上の試合で三遊間コンビを組んだ。

 メジャーリーグの通算成績は、フランコが923試合に出場し、130本塁打と4三塁打と163二塁打、打率.244と出塁率.293、OPS.707。ガルビスは1102試合で、109本塁打と27三塁打と171二塁打、打率.246と出塁率.292、OPS.680だ。ガルビスのシーズン20本塁打以上は2度。2016年と2019年に、それぞれ、20本と23本のホームランを打っている。また、四球率と三振率は、フランコが6.2%と15.9%、ガルビスは5.7%と20.1%だ。

 右打者とスイッチ・ヒッターの違いはあり、パワーはフランコが少し上で、スピードはガルビスが勝るが、選球眼に欠ける早打ちという点は共通し、打率も高くない。基本的には、よく似たタイプの打者だ。

 フィリーズは、2007~11年に地区5連覇を達成した後、ポストシーズンから遠ざかり、今年、10年間にわたるブランクにようやく終止符を打った。2012~21年の「低迷期」にフィリーズで600試合以上に出場したのは4人。832試合のセイザー・ヘルナンデスと755試合のオデュベル・ヘレーラに、674試合のガルビスと656試合のフランコがそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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