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日本は12.7%の子供比率、それでは諸外国は!?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供は世の中を、未来を支える力を持つ

日本の子供比率は12.7%との結果が先日総務省統計局から、こどもの日に合わせた公開データ「我が国のこどもの数 -「こどもの日」にちなんで-(2015年5月4日)」として発表された。日本では少子化が進む中でこの値も漸減している。

↑ 国勢調査・人口推計を基にした年齢3区分別人口推移(全体比率)(~2015年)
↑ 国勢調査・人口推計を基にした年齢3区分別人口推移(全体比率)(~2015年)

それでは諸外国はどのような値を示しているのだろうか。

「各国における子供(0歳~14歳)の割合」に関して、「国連人口統計(2013年版)を基に、人口4000万人以上の国」に限定して精査したのが次のグラフ。なお各国の値は完全な同一タイミングで調査した結果ではなく、諸国の公知データにおける最新値を抽出している。そのため厳密な比較は出来ないが(最も新しいのは日本の2015年4月1日、古いのはナイジェリアの2006年3月21日)、日本の子供比率の低さを改めて実感できる。

↑ 各国の子供比率(国連人口統計年鑑・2013年版)(2000年以降で人口4000万人以上の国)
↑ 各国の子供比率(国連人口統計年鑑・2013年版)(2000年以降で人口4000万人以上の国)

日本の子供比率の低さには多種多様な理由があるが、医療体制・技術の充実や、社会保険環境の整備安定化による平均寿命の伸び、結婚関連における社会習慣の変化、そして社会環境の整備や生活の安定化に伴う子供生育のコスト急騰などを理由とする、「先進国病」ともいえる出生率の低下が大きな要因。

若年層数・率の低下はその世代の社会的・政治的発言力の低下をもたらし、国の施策が若年層を軽視する傾向につながる。その施策傾向により、ますます出生率が低下する悪循環が生じ、中長期的な観点では、国全体の人数、経済、活力の縮小を導きうることになる。端的な表現では国そのものの老化。

子供比率が高い国では、平均寿命が短く、結果論として子供比率が高くなってしまう国も多い。一概に子供比率が高ければよいわけではない。しかしながら社会保障制度は子供の層がシニア層を支えるのが原則であることを考えると、日本の値は余りにも低く、バランスに難がある。人口に関わる政策においては、中長期視野からの戦略的な手立てが求められるに違いない。

今件データは毎年更新される元値をベースに算出されていることから、その経年変化を知ることができる。今回は前年、つまり国連人口統計年鑑の2012年版の値との比較を算出しておく。ただしナイジェリアのように、前年と同じタイミングの値しか無かった国も確認されるため、「0.0%」がそのまま「1年経過しても値が変わらず」を意味する以外に「単にデータの更新が無かった」場合もあるので注意を要する。単純に増減のあった国のみ、その動向を確認するのがよかろう。

↑ 各国の子供比率(国連人口統計年鑑・2012年版から2013年版への差異)(2000年以降で人口4000万人以上の国)
↑ 各国の子供比率(国連人口統計年鑑・2012年版から2013年版への差異)(2000年以降で人口4000万人以上の国)

バングラデシュの急激な上昇が目に留まるが、他にも南アフリカやタンザニアで上昇、つまり子供の比率の増加が確認できる。ロシアも意外な伸びを見せる。他方、日本のマイナス0.1%は以前の記事などでもお伝えした通りだが、それ以上にコロンビアのマイナス0.4%やトルコのマイナス0.3%、そして韓国のマイナス0.8%との大きな下げ率、つまり子供比率の縮小が起きているのが分かる。

とりわけ韓国では現時点で14.3%と先進諸国でも低めの値を示している。このペースで減少が進めば、あと数年で日本すら追い越してしまうことになりかねない。来年以降はどのような動向を示すのだろうか。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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