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東京五輪PR中止やイベント中止よりも、満員電車を中止せよ!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
(写真:アフロ)

KNNポール神田です。

イベント中止が相次いでいる…。このまま行くと、これだけ用意した東京五輪さえも危うくなりそうな空気だ…。いや、『イベント自粛』のムードが空気感染しているといっても過言ではないだろう…。

□大会組織委員会と運命を共にしているテレビ局も、止まらない新型コロナウイルスの感染拡大にパニックに陥っている。仮に東京五輪が中止や延期になった場合、経済的損失は30兆円以上と言われている。

□「大会招致が決まった2013年から’30年までの18年間で約32兆3000億円の経済的効果があると試算されていた。

□開催まであと5カ月です。ここからが追い上げになる。競技会場の整備費や警備、輸送を含む大会運営費に、大会観戦者らの支出、企業のマーケティング活動費、スタッフ人件費などの直接的効果が約5兆2000億円

□また、訪日観光客数の増加や交通インフラの整備、バリアフリー対策に競技会場の活用やスポーツ人口、イベントの拡大などのレガシー効果が約27兆円にも上る。

□そこに2兆円近い広告費が世界中から集まるわけです。中止になればゼロです。仮に、延期になっても投資額が増大するだけ。当初の経済的効果は一切見込めない」(財務省関係者)

出典:東京五輪中止「30兆円経済損失」 テレビ・芸能界は大恐慌に突入

■五輪関連&イベントが続々と中止…

新型肺炎は、日本の雨季となり湿度が高まると収まるだろう…という希望的な推測コメントはよく聞くことができる。しかし、実際に収まればよいが、本当に収まらなかった場合は一体どうなるのだろうか?現在でも大型イベントが続々と中止となっている。そして、この状況はメディアを通じて海外にも伝わり続けている…。『ダイアモンドプリンセス号』のエピデミックぶりは世界でも報道され続けている。

2020年02月19日(水)モンゴルのアーチェリー代表チームは、東京オリンピックに向けて愛知県岡崎市で行う予定だった強化キャンプを中止

2020年02月21日(金)『スペシャルオリンピックス日本』の冬季大会中止

2020年02月23日(日)『天皇誕生日』一般参賀中止

2020年02月24日(月)『ビヨンドスタジアム2020』中止

2020年02月28日(金)『ボッチャ国際大会』中止

2020年03月01日(日)『東京マラソン2020』一般ランナー参加中止

□陸上では、2月のアジア室内選手権(杭州)の中止が決定し、3月の世界室内選手権(南京)は延期。いずれも、獲得ポイントが五輪出場にかかわる世界ランキングを左右するため、極めて重要な大会

出典:新型肺炎、スポーツにも影…東京五輪・パラに影響も

■来月、3月12日からはじまる聖火リレーのスケジュール

聖火リレースケジュール 出典:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
聖火リレースケジュール 出典:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

そして、来月からは、聖火リレーイベントがはじまる?

2020年03月12日(木)ギリシャ古代オリンピア市聖火採火式

2020年03月19日(木)ギリシャアテネ市にて聖火引継式

2020年03月20日(金)宮城県:航空自衛隊松島基地に到着。

2020年03月26日(木)東京2020オリンピック聖火リレースタート 〜2020年07月24日(金)まで

■東京五輪イベントだけではない…全てのイベントやコンサートも自粛ムードが怖い

新型肺炎を受けて、大規模なイベントだけでもなく中小のイベントまでも影響を受けている。いや、問題はいつまでこの自粛を続けるのかだ…。今から31年前の1989年の昭和天皇のご崩御の時に似ている。東日本震災の時の節電ムードにも近い。日本は極めて、協調的であり、横並びを愛する国民性だ。誰かが自粛を辞めない限り、同調圧力も強い。しかし、これはイベントだけではなく、結婚式やパーティーそして、葬儀、受験にいたるまで。そのうち外出にまで自粛しかねない。

■そもそもなぜ?イベント開催を自粛するのか?

□加藤厚生労働大臣は「先日の専門家会議では、大規模なイベントについて中止が必要という意見はなかった。したがって、それぞれのイベントの主催者によって、適切にご判断いただくことになる」と述べました。

□加藤大臣は「開催される場合は、かぜの症状がある方の参加を控えていただくとか、マスクの着用を奨励するとか、手や指を洗っていただくとかを徹底してもらえればと思う」と述べました。

出典:新型ウイルス 「大規模イベント開催は主催者判断」加藤厚労相

加藤厚生労働大臣は、イベントの開催はあくまでも主催者判断という…。

しかし、主催者の大半は、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、たくさんの人が集まるイベント中止を検討している…という。いや、それは違うだろう?この段階で万一、感染者が出した場合の主催者リスクを考慮してではないだろうか?そして、その空気がどれだけイベントやコンサートの経済活動を停滞させているのか?そんなイベントを中止するよりも、毎日数百万人が濃厚接触を重ねていこっちのほうがもっと危ないのではないか?

■イベントよりも、濃厚接触の満員電車

イベントやコンサートなどの興行をいくら中止しても、意味はないと筆者は考えている。むしろ、毎朝の満員電車で半径1メートル以内に10数人が詰め込まれている状況のほうが、濃厚接触による感染のリスクが高い。

イベントを中止するよりも、満員電車を中止したほうが良い。

むしろ、午前中のラッシュ時の電車を自粛するくらいの大英断を考えるべきだ。電車が止まったらどうする?他の代替手段で会社へ行けるのか?そもそも、会社に行く必要がどれだけあるのかを考える必要性がある。そんな事を言われてもと反応される方も多いだろうが、一度考えてみてほしい。イベント主催者同様、これは経営者の判断次第なのだ。

■テレワークが当たり前になる社会へ

首都直下巨大地震の確率が、東京46%横浜78%埼玉51%と発表されている。当然、原発リスクも高まるだろう。そして、このような新型肺炎感染リスクとこの国はリスクだらけだ。だからこそ、『テレワーク』や『リモートワーク』が当たり前にならなくては何もできない。

『テレワーク』といっても、ハードウェアはソフトウェアは、コストをかけずに安価に調達できるようになっている。重要なのは、何をどこまでやるかと、今、どこまで実施できるかだ。

まずは、試験的にでも導入しはじめなければならない。もしくはテレワークのない会社には行かないという選択肢もあるだろう。自分の命を守るためにだ。

テレワークが当たり前になることによっての経済効果もあるが、自然災害リスクからのBCP(事業継続計画)として法律で義務づけたほうが、防災・減災の国土強靭化対策になるだろう。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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