オランダ戦に1-0で勝利し、10日にベルギーに移動したなでしこジャパンは、日本時間の6月14日（水）午前3時00分（現地時間6月13日（火）午後8時00分）から、ベルギー女子代表との親善試合を行う。

オランダ戦から中3日で臨むベルギー戦。なでしこジャパンはさらに上のステージを目指す（１）

以下、ベルギー戦前の監督・選手コメント。

高倉麻子監督（ベルギー戦前日）

ーー3バックの新しいフォーメーションを試すのは、どのような狙いがあるのでしょうか。

（このシステムは以前から）チャレンジしたいと考えていました。チームの引き出しと個人の引き出しを増やすことに対して、選手も新しいことに積極的に取り組んでくれています。最終的には、ポジションもフォーメーションも関係ないサッカーをしたいと考えています。大切なのは（正しく）判断できることで、ディフェンスが3人でも4人でも5人でも関係ないと思っています。

ただ、チームのベースができていない中で急に変わったことをやってもブレてしまうと思いますが、少しずつ、チームの形が見えてきたので、（新しいシステムに）チャレンジしてみよう、と。ゲームの中で、相手のシステムによって（自分たちの戦い方も）変えられるような武器を持てれば、戦い方の幅が広がると思います。

ーー今回の合宿では攻撃面の強化をテーマにしていますが、3バックにすることで、攻撃面の厚みを出す意図もあるのでしょうか？

そうですね。キャスティング（メンバー）を変えているので、コンビネーションもピタッと合う感じではないのですが、これで固めていけば、もう少しいろいろなアイデアが出る中で、攻撃でも面白い形が出るかなと思っています。中盤でボールは動かしやすくなると思いますし、あとは慣れることが必要だと思います。 映像を見て、（3バックの）理屈についても話をしました。選手はみんな賢いので、前向きにトライしてくれると思います。

ーー両サイドには、どのようなことを求めていらっしゃいますか？

はい。どうしても、3−5−2となると、サイドのワイド（のポジションの取り方）と、3バックのボールのつなぐ能力が求められます。サイドの選手も、今回来ていない選手も含めて、何人か、（サイドのポジションで）良さそうな選手のイメージがあります。

ーー新しいシステムで、メンバーを決める上ではどのようなイメージがありますか？

常に、競争ですね。現実的に、ワールドカップやオリンピックでは5試合、6試合をやっていくので、途中から出る選手もそうですし、たとえば2試合目でメンバーを半分、変えても（力が）変わらないチームにしたいと思っています。そのために、やることは提示しています。メンバーに選ばれるように、戦って欲しいですね。チームとして、日本の代表として、恥ずかしくないような試合をして、世界一を目指す。シンプルなことだと思います。その中で、絶対に必要とされる選手になれるように（それぞれが）頑張ってほしいと思っています。

MF 杉田亜未（11日練習後）

ーー3バックのシステムでプレーしてみて、いかがですか？

4−4−2だったら、前にサイドバックとサイドハーフの縦関係があったのですが、3バックでは、距離的に少し遠くなります。だから、後ろの3枚（のDF）との距離を取った方が良いのか、近めにもらう方が良いのか。駆け引きがもっとできたらいいなと思っています。攻撃面では高い位置でボールを奪って厚みを持って攻撃するために、常に先手を取っていきたいですね。イメージを作ってチャレンジしたいと思っています。

ーーいろいろなポジションでプレーする中で、サイドのポジションではどのようなことを意識していますか？

運動量が必要なポジションですし、攻撃も守備も、というところは、サイドバックとは違って、攻撃もさらに重要になると思います。まずは相手が嫌がるポジションを探していきたいですね。

ーー自分がプレーしやすいエリアはありますか？

普段は前の方のポジションをやっているので、上がったらどんどんシュートしていきたいです。（ディフェンスラインが）3枚でやっている時も、そういうチャンスは、サイドバックをやっている時よりもあるかな、と。（4月上旬の）コスタリカ戦より、前に行けるチャンスはあると思います。運動量も自信はあるので、積極的に出していきたいですね。

ーー競争が激しい中で、出場機会を勝ち取るために何が大切だと考えていますか？

もちろん、「先発で試合に出たい」という気持ちで、いつでも準備しています。ただ、プレーの部分では、（代表で）自分の良さが何か？と言われて、パッと出てくるかといったら、「まだまだだな」と思っています。自分の特徴を今の（サイドの）ポジションでどう出すかと考えたら、まずは運動量をどんどん出していきたいですし、攻撃面ではシュートで終わったり、「この選手はシュートを打って何かしてくれる」と思ってもらえるようなプレーヤーになりたいですね。

ーーベルギー戦ではどのような結果を出したいですか？

サイドで、攻撃も守備も行く中で、現時点の自分の目標はアシストですね。試合結果も大切ですし、得点したいという気持ちもありますが、まずは一つ良いクロスを上げたり、良いパスを出したり、アシストという点でこだわりたいです。

DF 中村楓（11日練習後）

ーー9日のオランダ戦を振り返って、ベンチからどのように試合を見ていたか教えてください。

前回（3月上旬のアルガルベカップで）戦った時に比べて、以前崩されていた相手の右サイドの対応をしっかりできていたので、自分が試合に出ても、すぐにその守備に溶け込めるようにしようと意識していました。

ーーこちらに来て、風の影響や芝生の感触はいかがですか？

芝が思った以上に粘り強く、ボールの勢いを止めるので、パススピードなどはもっと気をつけてプレーしなければいけないなと思います。

ーーベルギー戦で試合に出たら、どのようにプレーしたいですか？

チャンスがあれば積極的に前から潰しにかかりたいですし、自分のチーム（アルビレックス新潟レディース）では、カバーリングも持ち味として持っているので、前から行くところとカバーするところをはっきりしたプレーをしたいですね。

攻撃面は上がるタイミングや、パスの精度をもっと上げていかなければいけないなと思っています。

ーーカバーリングや前に出るタイミングはどのように意識していますか？

基本的には自分の間合いでプレーしていますが、（熊谷）紗希と組むときは、カバーをするよりも前に強くいくことが多いので、組む相手によって、プレーを変えていかなければいけないですね。

ーーここまでのトレーニングで、つかめた手応えはありますか？

自分に求められているのは1対1の守備面と、パスの精度（を上げること）なので、その点をしっかり受け止めながらプレーして、立ち位置をつかんでいきたいなと思います。

MF　中島依美（ベルギー戦前日）

ーー3バックのシステムでプレーしてみて、いかがですか？

運動量をすごく求められるポジションだなと実感しています。3バックをやるのは初めてですし、短い準備期間で、合わないところもありますけれど、チームで声を掛け合いながら連携を高めていきたいと思っています。

ーー今回の代表活動は攻撃面に重点を置いていますが、攻撃面では個人的にどのようなことを意識していますか？

（私は）右サイドや、左サイドでプレーすることもあるので、難しさも多少はありますけれど、状況に応じて（外に開いて）幅をとるべきなのか、中（のポジション）をとるべきなのかということは、周りを見ながら判断していきたいと思っています。

ーー周りのメンバーが変わる中での難しさもあるのでしょうか。

（周りの）人によっても変わりますし、その難しさもありますけど、誰が、どのポジションに入ってもやるべきことは変わらないと思うので。それはチーム（INAC神戸レオネッサ）でも、常に意識しながらトレーニングしています。

ーー限られた活動期間の中で、チームの土台ができてきた実感はありますか？

そうですね。積み重ねが大事だと思います。親善試合などを重ねて、自分たちの課題が出てきたので、それに対して、自分たちがどう取り組むかということも明確に出てきます。その課題を一つずつ乗り越えて、チームとして上へ上へ進んでいけたらいいなと思っています。

ーー今回の代表活動で、個人的にどのような手応えを感じていますか？

（国内リーグの）シーズン中ということもあるので、アルガルベカップの時よりはコンディションが良くなっているなと思います。

ーー課題はいかがですか？

国内リーグとはスピード感が違うので、分かってはいるのですが、判断力がまだまだ遅いので。判断を早くしたり、パスミスを減らしていきたいです。ゴール前や、相手コートの深い位置だったら、どんどん仕掛けていきたいですね。

ーーセットプレーのキッカーも務めていますが、ベルギー戦に向けて、手応えはいかがですか？

普通に（プレスキックを）蹴っても（空中戦では）勝てないと思うので。ニアに速いボールを入れたり、ショートコーナーをやれたらいいのですが。（活動）期間が短いので、難しいところもありますが、状況に応じて、臨機応変に対応したいです。