コロナで強権封鎖の上海 韓国メディア注目は"現地留学生"…「限界」「学校側から水はシャワーで飲めと」
上海のロックダウンの「深刻さ」が話題だ。
新型コロナウィルスの感染が拡大しているとして、先月28日から市民の外出を禁じている。日本のワイドショーでも「二週間以上、マンションの玄関から一歩も出られない現地特派員リポート」などが放映された。
同じく、韓国でも話題になっている。なにせ現地には韓国人が「3万5000人」暮らす(KBSの報道による)。日本人は4万人超(2018年、日本外務省の統計)だから、近い水準にはある。
韓国メディアが比較的多く報じている点がある。
「現地留学生の苦悩」だ。
最大で300人近くの韓国人学生が現地に留学中とされている。若者たちの苦しみを、公営放送「KBS」や、ニュースメディア「YTN」が現地映像やオンラインインタビューの内容を紹介している。
なぜ、留学生が苦しいのかというと「およそ1ヶ月前から自主的な行動規制に入っているから」。市内全域は3月28日からロックダウンが始まっているが、上海市内の大学は早いところで先月上旬から始めたところもあるという。
当初はキャンパスの中は動き回れた大学もあったが、先月28日以降は完全に「寮に閉じ込められている状態」。周囲とも隔離され、食料にすら困っているのだという。
3月13日前後にはいったん隔離が緩和され、宅配が可能になった。その時期には現地の韓国人会から「普段は顔を合わせることがない関係でもこういう時には同国人同士、助け合いたい」として、一部大学に米やパン、ラーメン、キムチなどの食料のパッケージが送られたのだという。
この時の留学生の感謝の言葉を「聯合ニュース」が伝えている。
「パンが、慰めになりました」
- 現地留学生への支援を伝える「YTN」
しかし19日以降、再び苦しい状況の報道が目立つ。KBSは同日の朝7時のニュースで上海大学の韓国人留学生たちの「もう限界」という内容のコメントを交えて、状況を伝えた。
「もう、すでに1ヶ月も部屋にひとりでいます。心理的にかなり苦しくなっています」
「誇張ではなく、2週間ほとんど何も食べていない友達もいます。即席ラーメンの麺を2つに割って、1日1個食べて暮らしている友達もいます」
「食べ物がないのが一番苦しいです。いつまで続くかわからない点が心理的に苦しい、という人も増えていますね。無期限、ということが発表になったので」
「学校側に水が欲しい、とお願いしてももらえないんです。『シャワーのフィルターを通した水をついで飲め』と」
急に隔離が始まったため、生活必需品の買い込みも出来なかった学生が多いのだという。
では、上海を離れたらいいのでは?
しかし、外国人とてその自由はない。16日に20名、19日に64名がなんとか帰国できたが、大きな制限があるのだという。「YTN」は現地韓国人留学生を「150人~300人」と報じる。少なくとも半数近くが帰国できていないのだ。KBSが報じた現地韓国人留学生の声。
「(体調不良を証明する)医師の所見書があれば帰国をサポートしてくれるんですが、それがないとだめだと言うんです」
「寮から一歩も外に出ることが許されないなか…とにかくここから脱出して、空港に行けば韓国に帰れるんじゃないか? そんなことを考えたりもします」
さらに韓国人留学生たちを苦しめているのは… 自国ネットでの心無いコメントだという。
「では今、現実的に何をしてほしいかというと…激励がほしいです。韓国のネットで『そこで何してるんだ?』『何しに行ったんだ?』などと書き込まれていることを知っています。それが一番傷つく」
KBSも「今、学生たちにせめてできることは慰め」と伝えている。