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ローソン、節電モデル店を川崎の住宅街にオープン

渡辺広明コンビニジャーナリスト/流通アナリスト
扉付き冷蔵ケースから買い物する筆者撮影

祝日明けの金曜日。ビジネスパーソンでは金曜日も休みにして4連休にしている人も多いのかも。フリーランスの僕は仕事があるうちが華なので休みという概念がなく頑張って仕事を楽しみながら過ごしています。

3年半前にビジネスパーソンを辞めたあとこのフリーランスの生活に馴染めたのは、社会人の入り口が3年半のコンビニ店長だったというのが大きいような気がします。

本日の取材先はローソン川崎中島3丁目店。Googleマップでその住所を調べると住宅エリアのような場所にあり、自宅から車で30分ぐらいなので近隣のコインパーキング目指しての訪店となりました。

ローソン川崎中島三丁目店 筆者撮影
ローソン川崎中島三丁目店 筆者撮影

何でこの住宅立地の店舗で電気使用量40%削減の実験するんだろうと思っていたら、新店で2024年以降に全国に広めたいモデル店を目指しているという事で合点がいった。

ビルの中にある店舗では無く単独店舗なので、屋上には"太陽光発電システム"が導入されているが、これは設置する店舗も限られるため、あくまで今回のメインでは今後どこの店でも、基本改装で設置出来る"ガラス扉を設置した冷蔵ショーケース"とフロア型の"アクリル扉を設置した冷凍ショーケース"となる。

フロア式冷凍ショーケース 筆者撮影
フロア式冷凍ショーケース 筆者撮影

コンビニの消費電力は一般家庭の30から40倍程度となり、その半分が冷蔵・冷凍機器使用時の電力となっている。そのため電力料削減の一丁目一番地となる。

今回の扉付きの冷蔵・冷凍売り場は、コンビニエンスストアがいわゆる便利を追求するという今までのコンセプトとは真逆の扉を開けるという少しの不便を顧客にお願いする形となっている。

年間の削減量は、電力が約30%、5.9トンのCO2となる。今ひとつ分かりづらいが、POPで杉の木換算で約421本分の年間吸収量が1店舗で実現するとPOPに書かれており、杉の本数から考えれば凄い事なんだなとは理解が出来るかも。

コンビニといえどもCO2削減という世界的なミッションにコミットする事は社会の一員として必要で今後のコンビニのあり方を端的に表す取り組みにもなっている。

従来はコンビニの店舗における節電の自己努力は冷暖房の温度を28度にキープするもしくは電気を消す事ぐらいしか出来ない。そのため本部が省エネに投資するのは必要不可欠で、フランチャイズ加盟店の3大経費である光熱費の削減のメリットは加盟店収入の確保の上でも大事になる。

電気が煌々と光るコンビニはまさに豊かな日本の象徴で生活インフラとしての安心感を与えてきた。しかしながら生活インフラとして街のさまざまな事象に寄り添ってきたコンビニも令和の時代にはSDGsなど社会課題の解決とも寄り添う店へと大きく変化していくタイミングが来ているのは間違いない。32年前の顧客第一主義の教育を受けていたコンビニ店長の僕に今のこんな取り組みを話せば、かなりビックリする事だろう。

店前のスナック2軒 筆者撮影
店前のスナック2軒 筆者撮影

そんな真面目な事を考えつつも、今回の店舗の店前には昔ながらのスナックが2軒並んでいて、平成初期の勢いのある時代の消費者の欲望にどんどん応えるイケイケのコンビニも懐かしいなとも感じてしまう自分もいた。

コンビニジャーナリスト/流通アナリスト

渡辺広明 1967年生まれ、静岡県浜松市出身。コンビニの店長、バイヤーとして22年間、ポーラ・TBCのマーケッターとして7年間従事。商品開発760品の経験を活かし、現在 (株)やらまいかマーケティング 代表取締役として、顧問、商品開発コンサルとして多数参画。報道からバラエティまで幅広くメディアで活動中。フジテレビ「Live News a」レギュラーコメンテーター。 「ホンマでっか⁉︎TV」レギュラー評論家。全国で講演 新著「ニッポン経済の問題点を消費者目線で考えてみた」「コンビニを見たら日本経済が分かる」等も実施中。

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