「不安はない」。白間美瑠が真っすぐ前を見る理由
アイドルグループ「NMB48」最後の1期生・白間美瑠さん(23)。5月30日に大阪城ホールで行われるコンサートでの卒業を先月発表しました。卒業後はソロアーティストとして活動していく予定ですが、それを決意させた韓国での思い。そして、描き始めた夢のカタチ。今の胸の内を吐露しました。
自分で自分の道を作る
自分でも驚くくらい、不安はないんです。
それだけ「NMB48」でいろいろなことを学んだということだと思いますし、ここからはやれることをどんどんやっていこうという熱い気持ち、メラメラ感の方が大きいです。「やってやるぜ!今よりもっと活躍してやるぞ!」という感じで(笑)。
その気持ちになれているのは、自分のやりたいことがハッキリと決まっての卒業だからだと思います。
私は歌って踊ることが大好きです。なので、これからもソロのアーティストとしてやっていきたい。今後は自分で自分の道を作っていければなと思っています。
自信がなかった
そう考えるようになったきっかけは、2018年に韓国のオーディション番組「PRODUCE 48」に参加させてもらったことでした。
韓国には半年くらいいたんですけど、これまでの活動で、間違いなく一番大変な時間になりました。
3日間寝ないくらいは当たり前。ステージにかける熱のすさまじさ。そして、それだけ力を振り絞るような努力してステージに立った時の楽しさ。そういったものを、体で学びました。
韓国に行く前は、実は、自分自身にすごく自信がなかったんです。この仕事に対して「大好きです。幸せです」と言い切れる自信がなかったというか。
でも、韓国での時間を経験して、自分の武器を見つけた。それが、ステージの楽しさにつながっていって、ずっとこれをやっていくという覚悟につながったと思っています。
自分の武器、それは“表情管理”という部分です。韓国での時間の中で「曲によって表情が次々に変わるね」という声をいただきまして。それ以前は、自分の表情をそこまで明確に気にしたことがなかったんですけど、それを教えていただいて、意識が変わったというか。「これが自分の武器になるんだ」という感覚が出てきたんです。
カッコ良くキレキレにダンスをする。表現力豊かに歌う。そういう練習はしてたんですけど、表情という部分をそこまで細かく意識したことはなかった。でも、そこを意識して、練習をしていくことで、自分の中でより一層、ステージが楽しくなっていったんです。
当たり前ではない
それと、ファンの皆さんへの意識も、韓国での時間を経験して、より強くなったと思います。
韓国では自分のことは全く知られていなくて、声をかけられることもない。その状況をこれでもかと経験して、また「NMB48」に戻ってきた時に、みなさんが「みるるん!」と呼んでくださる。
これは決して当たり前のことではないですし、どれだけ幸せなことなのかというのを改めて噛みしめました。だからこそ、ちゃんと恩返しがしたいと感じましたし、続けられる限り、この喜びをずっと味わえる自分でいたいとも思ったんです。
さやねぇの背中
今改めて「NMB48」での時間を振り返ると、入った時が12歳。ダンスも全然ついていけなくて、毎日先生に怒られてばかりでした。
ただ、全くできなかったからこそ、人一倍努力する根性は学んだと思います。誰よりも早くレッスン場に来て、最後まで残って練習する。その努力を積み重ねてきたことは、自分の中で自信にもなりました。
大きな影響を受けたのは、山本彩ちゃん、さやねぇですね。「NMB48」を最初から先頭に立って引っ張ってきてくれた。
歌もダンスもできて、リーダーの資質もあって、全てを兼ね備えているセンターはなかなかいない。さやねぇの背中は本当にでっかくて、ずっとそこを越えたいと思ってきました。
だから、自分がセンターをやるとなった時は、私もさやねぇのように全てができる自分でないといけないと思っていましたし、そう思わせてくれたさやねぇの存在はやっぱりすごく大きいものだなと。
いつもお父さんがレッスン場まで車で送ってくれていたんですけど、車を出る時に、お父さんとグータッチをしながら「さやねぇを越えような」といつも言ってましたからね(笑)。それくらい、大きな目標でした。
そして、そのさやねぇが卒業する時に「これからの『NMB48』、よろしくな」って言ってもらったのは、本当にうれしかったです。長々とした言葉じゃないですけど、そこに全てが詰まっているというか。
目指すべき道
その自分が卒業するわけですから、なんとも感慨深いところもありますけど、あとは、自分が思う道を突き進むしかないですからね。
自分が目指す方向性としては“強い女性”という色を出していきたいなと。例えば、安室奈美恵さんとか、倖田來未さんとか、芯のある強さというか、そういった空気をバンと打ち出せるアーティストになりたいですね。
そして、大きな話になってしまいますけど、ゆくゆくは海外にも行ける存在になりたいです。
韓国で大きな衝撃を受けたのが今の思いの始まりですし、日本を出ても通用する自分になれたらなと思っています。
そのために、韓国語も習い始めました。とはいえ、本当にまだ習い始めなので、道のりは果てしなく遠いんですけど(笑)、いつの日か、そんな自分に出会えるよう頑張ります。
(撮影・中西正男)
■白間美瑠(しろま・みる)
1997年10月14日生まれ。大阪府出身。アイドルグループ「NMB48」のメンバー。Showtitle所属。愛称・みるるん。2010年に「NMB48オープニングメンバーオーディション」に山本彩、渡辺美優紀、吉田朱里らとともに合格。11年のデビュー曲「絶滅黒髪少女」から選抜メンバーに選ばれ、14年にはシングル「らしくない」で矢倉楓子とともにダブルセンターを、17年にはシングル「ワロタピーポー」で単独センターを務めた。15年から18年までの「AKB48」兼任を経て、18年には韓国のオーディション番組「PRODUCE 48」に参加。今年3月、大阪・オリックス劇場で行われた「NAMBATTLE〜戦わなNMBちゃうやろっ!〜」決勝大会で「NMB48」からの卒業を発表した。卒業コンサートは5月30日に大阪城ホールで開催予定。