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伝統の出世番号である「17」を背負った、花巻東高の1年生・四番打者

佐々木亨スポーツライター
背番号「17」をつけて公式戦デビューを果たした古城大翔選手。(著者撮影)

 すみれ色とグレーを基調としたユニフォームの背中に浮かぶその数字は、将来への期待の表れだ。春4回、夏11回の甲子園出場を誇る岩手県の花巻東高にとって、背番号「17」は特別な意味を持つ。

 菊池雄星(現ブルージェイズ)と大谷翔平(現ドジャース)。メジャーリーグで活躍するその二人も、花巻東高1年時にその番号を背負った。ドラフト1位右腕として、今シーズンから巨人でプレーする西舘勇陽、そして、昨夏はチームを甲子園8強に導き、今年から名門・スタンフォード大でプレーする佐々木麟太郎もまた、伝統の「17」を背負った花巻東高のOBたちだ。

 実力を証明するものであり、いつしか花巻東高の出世番号となった「17」。今春、その背番号をつけているのが1年生の古城大翔だ。父は、中央学院高から国士舘大を経てプロ入り、現在は巨人の三軍打撃コーチを務める古城茂幸氏。中学時代は、かつて巨人などでプレーした前田幸長氏が会長を務める都筑中央ボーイズ(神奈川)に所属した右のスラッガーは、高校入学間もない4月27日に公式戦デビューを果たした。

公式戦デビューに見た、秘めた可能性

 第71回春季東北地区高校野球岩手大会の花北地区2回戦。花巻東高にとっては今シーズン初の公式戦となった花巻農高戦で、古城はスターティングメンバ―に名を連ねた。

「四番・サード」

 身長180cmオーバーの古城が右打席に立つ。1回裏一死三塁の場面だ。どっしりとした構えからボール球を2球、冷静に見逃した。3球目はファウル。カウント2ボール1ストライクからの4球目、相手左腕のインコース寄りのボールを豪快に振り抜いた打球が高々と舞う。岩手県北上市にある「きたかみしんきんボールパーク(北上市民江釣子球場)」は両翼92mの球場だ。そのレフトポール際まで運ばれた弾道は結果的にファウルとなるのだが、古城の備え持つ打力を垣間見た瞬間だった。5回コールドゲームで勝利した試合で、4回裏に放ったレフト前への適時打が唯一のヒットではあったが、落ち着き払った打席には秘めた可能性を十分に感じた。

 1年生ながら四番に座り、ホットコーナーを守る古城を、花巻東高の佐々木洋監督はこう評する。

「打撃ではスイングスピードの速さ、守備では肩の強さとハンドリングの柔らかさを持っています。実力で『四番』を打たせました。将来性がありますし、期待の『17番』です」

 古城大翔。熱い視線を注がれるであろう1年生は、その名の通り、大きく羽を広げながら逞しく成長していく。

スポーツライター

1974年岩手県生まれ。雑誌編集者を経て独立。著書に『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』(扶桑社)、『あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる』(ベースボール・マガジン社)など、共著に『横浜vs.PL学園 松坂大輔と戦った男たちは今』(朝日文庫)などがある。主に野球をフィールドに活動するなかで、大谷翔平選手の取材を花巻東高校時代の15歳から続ける。

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