ロシアをはじめとする７か国から27チームが参加する「KHL（コンチネンタルホッケーリーグ）」は、先月21日（現地時間）に創設10年目のレギュラーシーズンが開幕。序盤から激しい戦いが繰り広げられています。

　しかし今日９月７日は、６年前の航空機事故により、ロコモーティブ ヤロスラブリ の全37名が亡くなった大惨事を決して忘れてはならないと、事故の翌年から、KHLは試合を行わずに哀悼の意を表し続けています。

▼昨季の覇者が開幕７連勝

　そのヤロスラブリは、ここまでウエスタンカンファレンスの５位と、上々のスタートを切りましたが、それにも増して好スタートを切ったのが、昨季の覇者・ スカ サンクトペテルブルグ。

　全27チーム中、ただ一つ負け知らずで開幕から７連勝。

　パベル・ダツック（39歳・FW）と、イリヤ・コバルチャク（34歳・FW）というNHLでもタイトルを手にしたキャリアを誇る二枚看板が、試合数を上回るポイントをマークする活躍。

　守っては昨季の優勝に貢献したGKの ミッコ・コスキネン（29歳）が、身長2メートルを誇るサイズを武器にゴールを守り、勝利を呼び込んでいます。

▼中国のクンルンも好スタート

　対して、イースタン カンファレンスで好スタートを切ったチームは、昨季から北京をホームタウンとして加盟した クンルン レッドスター。

　創設２年目の今季は、KHLとNHLで、ともにチームを王座に導いた名将 マイク・キーナンをヘッドコーチに招へいし、注目されましたが、名将の采配にも増して光るのは、GK マグナス・ヘルバーグ（26歳）の加入です。

　NHLではメインGKになることができず、活躍の場を求めて北京にやってきたヘルバーグ。

　強い意気込みがプレーにも表れて好セーブを連発し、クンルンの失点が昨季の１試合平均「2.4」から、今季は「1.9」（ヘルバーグの出場試合のみ）に減少しました。

　開幕からの平均得点が「2.6」と、攻撃力が高いとは言えないにもかかわらず、好スタートが切れたのは、新たな守護神の働きが最大の要因となっています。

▼絶対に見逃せないGK

　このように毎年優勝候補に挙げられる「三強」に限らず、守護神の働きは各チームの命運を握っているだけに注目されますが、今季のKHLには、絶対に見逃せないGKがやってきました。

　そのGKとは、ユリウス・フダチェク（29歳・セベスタル チェレポヴェツ）です！

▼「こいつは何者だ!?」

　上の写真でご覧いただいたとおり、「こいつは何者だ!?」と、思わず言いたくなってしまいそうですが、れっきとした「アイスホッケーのGK」です。

　スロバキアで生まれたフダチェクは、祖国のジュニアチームのGKとして、アイスホッケーキャリアをスタートさせ、その後トップリーグのチームへ昇格。さらに、スウェーデンやチェコのトップリーグのチームで守護神を務めてきました。

　このような経歴を評価したチェレポヴェツが、昨季終了後にオファーを出し、今季からKHLのチームの守護神を務めることになったのです。

▼氷上のエンターテイナー

　そんなフダチェクの魅力は、トップアスリートとは思えないほど、ファンサービス精神が旺盛なところ。

　今季も移籍して早々に、こんなパフォーマンスを披露！

　もっともフダチェクにとって、パフォーマンスは朝飯前。

「自分も楽しいことが好きだから、観客にも楽しんでもらいたい」という気持ちから、試合後にあの手この手でファンを沸かせてきました。

▼#HudaShow

　苗字から名付けられた「フダショー」は、ヨーロッパのホッケーファンの間で有名な氷上パフォーマンス。 「#HudaShow」 で動画サイトやツイッターを検索すると、たくさんのパフォーマンスを見ることができます！

　スウェーデンのトップリーグでプレーしていた時も、「フダショー」は大人気だったと現地のメディアが報じているだけに、ロシアのファンからも人気を得るのは間違いないようです。

　最後に付け加えたいのは、フダチェクは２部リーグながら、スウェーデンのリーグでMVPを受賞したり、祖国のスロバキア代表のGKとして、世界選手権でもトッププレーに選ばれたほどのスーパーセーブを披露した選手。

　ただの「にぎやかし」キャラではありませんので、悪しからず。