バルサはユナイテッドを倒せるか?問われる“大型補強の成果”とビッグクラブの誇り。
ビッグクラブ同士が、激突する。だが舞台はチャンピオンズリーグではない。ヨーロッパリーグだ。
ELの決勝トーナメント・プレーオフの抽選会が現地時間7日に行われ、バルセロナとマンチェスター・ユナイテッドの対戦が決まった。
「抽選で再び最も難しい相手が選ばれた。対戦する可能性があったチームの中で、(ユナイテッドは)一番タフな相手だ。テン・ハーグが就任してから、成長してきた。素晴らしい選手たちが揃っている。考えられたなかで最悪のライバルだ」
「対戦相手にも勝利の義務がある。なので、そう考えたら悪い方向に行くだろう。メディアは義務や失敗の話が好きだ。だが我々は戦うのみだ。バルサにとっては、まだ獲得したことのないタイトルだ。我々は挑戦する。それ以外の選択肢はない」
これは抽選後のシャビ・エルナンデス監督のコメントである。
■大型補強を敢行
バルセロナは今夏、大型補強を行った。補強に1億5300万ユーロ(約214億円)を投じて、各ポジションにトップレベルの選手を揃えた。ロベルト・レヴァンドフスキ、ジュール・クンデ、ハフィーニャ、アンドレアス・クリステンセン、フランク・ケシエ、マルコス・アロンソ、エクトル・ベジェリンらがバルセロナに到着した。
だがチャンピオンズリーグの舞台は厳しかった。バイエルン・ミュンヘン、インテル、ビクトリア・プルゼニと同じグループに入り、3位でフィニッシュ。バイエルンに2敗、インテルに1分け1敗とビッグマッチで結果を残せなかった。
「失望している。バイエルンとの試合で敗退が決まったわけじゃない。失敗? もちろん、僕たちはチャンピオンズリーグでプレーを続けたかった。その大会で敗退が決まるというのは、心が痛いものだ」とは敗退後のマーク・アンドレ・テア・シュテーゲンの言葉だ。
「でも僕たちのスカッドは昨シーズンとは全く異なっている。バイエルンとのアウェーマッチで、僕たちは良いプレーをしたが、結果を得られなかった。インテルとのホームゲームも同様だった」
■変化と類似点
一方、ユナイテッドは昨季、プレミアリーグを6位でフィニッシュ。チャンピオンズリーグ出場権を獲得できなかった。
何かを変える必要がある。そこで、今夏、ユナイテッドはエリック・テン・ハーグ監督を招聘した。また、指揮官を満足させるために大型補強を行った。アントニー(移籍金9500万ユーロ)、カゼミロ(移籍金7000万ユーロ)、リサンドロ・マルティネス(移籍金5700万ユーロ)らが到着。合計で2億4000万ユーロ(約336億円)が補強に投じられた。
大型補強の敢行という意味では、バルセロナとユナイテッドは似ているかもしれない。ただ、ユナイテッドは2013年夏にサー・アレックス・ファーガソン監督が勇退して以降、苦しんできた。ファーガソン監督はユナイテッドで27年間、指揮を執った。その間、38個のタイトルを獲得している。
デイビッド・モイーズ、ライアン・ギグス、ルイ・ファン・ハール、ジョゼ・モウリーニョ、オーレ・グンナー・スールシャール、マイケル・キャリック、ラルフ・ラングニック...。暫定監督を含め、多くの指揮官が2013年から2022年にかけて指揮を執った。だがファーガソンの存在はあまりに偉大だった。
バルセロナが最後にビッグイヤーを獲得したのは2014―15シーズンだ。以降、欧州の舞台ではタイトルから遠ざかっている。
ジョゼップ・グアルディオラ監督が率いた4年間(2008―2012)で、バルセロナは2度、チャンピオンズリーグで優勝している。その2度とも、決勝の相手はユナイテッドだった。
思えば、数奇な運命である。可能なら、チャンピオンズリーグで見たかったーー。そのように考えるのは筆者だけではないかもしれない。だが、ビッグクラブの誇りが懸かっている。好ゲームが期待できるのは、言うまでもない。