破格!24人組のK-POPグループ”tripleS” 日本プレデビューショーケース「自己紹介で5分」
韓国で24人組のK-POPアイドルグループがデビューした。
そんな話をなんとなくうっすらと聞いていた。
tripleS(トリプルエス)。
今年の6月、韓国のKリーグ(プロサッカー)のハーフタイム公演をやっていたのをYouTubeでチラッと眺めたことがあった。24人? なんかやたら人数多いな…と気になってグループのことをより調べていくと、2022年10月28日にグループ内ユニットAcid Angel from Asiaが1stミニアルバム『ACCESS』 がデビュー。今年の5月には24人の完全体で初めてリリースした「Girls Never Die」が韓国の音楽番組で1位を獲得し、ロングセラーとして好まれているのだという。
24人というのはK-POPガールズグループ最多で、男性グループを合わせてもNCTの26人に次ぐ数字らしい。
で、なんで24人なの? ちょっと気になってより調べてみた。韓国メディア「ニューシス」は今年5月18日の記事で、所属事務所「MODHAUS」の関係者のコメントを紹介していた。
「最近では、ファンの皆さんが推しグループ、次に好きなグループという形で複数のグループを応援する『マルチ推し』をしていますが、私たちは様々なガールズグループを送り出し、365日どこでも、どんな形でも活動しているグループを目指しているので、24という数字が必要でした」
メンバーが24人って、ご飯食べるのも大変なんじゃないかな…などとも思った。韓国メディアの記事によると「各自勝手に好きなものをデリバリーして食べる」のだそう。
へぇ~そうなんだ…と情報を眺めていたところ、本人たちが日本に来るという話を聞いた。
9月14日に東京都中野区で行われた日本でのプレデビューショーケース「JAPAN 1st SHOWCASE『###』」。
観に行ったらホントに驚いた。既存にないステージ。大人数から繰り出される風景に「口あんぐり」という時間がずっと続いて、最後には気分がリフレッシュされている。そんな時間になった。
24人のパフォーマンス…K-POPでは見たことない風景
オープニングから驚きだった。
メンバー24人が舞台の下手から出てくる。どんどん出てくる。止まらない。終わらない。演出もあって、ゆっくりと歩いて出てくる。
この日のセットリストの一曲目は、韓国音楽番組1位獲得の「Girls Never Die」だった。24人が3つのグループに分かれ、入れ替わるようにしてパフォーマンスをしていくのだが…
まず一番多い10人のユニットからして「めっちゃ多いな」と感じる。K-POPのガールズグループといえばだいたい4~7人、多くて9人だから、2桁というだけでも「記録更新」の感がある。
それでもあと、14人のメンバーがいる…彼女たちは二手に分かれて舞台の袖で待機。10人でもかなり新鮮なのに「横で待っている」というその姿でまた驚く。そして、彼女たちは自分のパートが始まったら入れ替わるようにパフォーマンスを始めるのだ。しかもそのダンスがキレキレで…大人数が動くから観客席にぐわっーと訴えてくる感じ。
デビュー前から韓国では「我々はひとつであり、24でもある」というキャッチフレーズが打ち出されていた。メンバーは2022年4月から約2年をかけて徐々に公開されていったが、その段階「ホントに24人も集まるの?」という視線もあったのだという。いやいやいや、24人ってホントにスゴイです。
自己紹介でも「今までにない風景」
この後も、初めて目にするシーンは続いた。
MCがいない。
通常、“K-POPグループの日本プレデビュー”となれば、日本のMCが入って進行していくことが多い。
しかし、tripleSは違った。なにせ日本人メンバーが4人いるのだ。カエデ、コトネ、マユ、リン。進行も通訳も彼女たちがやってしまう…。だから別個のMCなしでステージが進行していく。
続く自己紹介もスゴ過ぎた。
24人のうち、日本人以外は韓国人が17人、中国がひとり、台湾とベトナムの2重国籍がひとり、タイがひとり。必死に日本語で話そうとするメンバーがいれば、韓国語で押し切ってしまうメンバーも。わちゃわちゃ感、ざわざわ感が新鮮。待ち時間にステージドリンクを飲むメンバーも同時に3~4人いたりして、これまた見たことがない。
そうかと思えば、日本人メンバーのリンの言葉にグッと来たり。
「きょうはこうやって自分の生まれた国で、24人全員でステージできてうれしいです」
ちなみに、24人が一言ずつしゃべるだけでも、手元の時計で4分55秒を要した。
後日スタッフに話を聞くと「ひとり12秒で収めてほしい」というお願いが出ていたそう。なんでも韓国のイベントでメンバーたちが自己紹介で好きなように喋ったら、とんでもない時間がかかったこともあったそうだ…。
「今日の公演はとても短かったけど…」
その後、ステージはユニットの楽曲へと移っていった。
Generation
Cherry Talk
Just Do it
Inner Dance
Girls' Capitalism
Invincible
間に短いトークを挟んで
New Look
矢継ぎ早に楽曲が続いていく。デビューから1年半でこんなに楽曲数があるの? というところで。しかもこのステージ、別途MCを挟んでいたら絶対に尺が足りなくなるなとも思った。なにせ連続で楽曲が続いていくのだ。
この日の〆の挨拶でS14のソヒョンが韓国語でこう口にした。
「きょうはすごく公演時間が短かったけど…みなさん、また次にも来てくださいますよね?」
手元の時計で1時間2分だった。まあ決して長くはない。でも韓国の感覚で「ショーケース」だと捉えるとめちゃくちゃ長い。そしてかなり濃厚な1時間でもあった。
「細かいことは置いておく」というのもいいんじゃないか
後日、日本側のマネジメントの方とやりとりをする機会があった。「推しは誰ですか?」と聞かれた。こう答えるしかなかった。
「えっと…まだ、分かりません」
多すぎ。でもこのグループ、分からないから面白いのではないか。
細かいことは知らずとも、シンプルに大人数が全力でステージをやりきる姿に圧倒される。
グループには「HAUS(メンバーたちがともに住む住居)」や、ユニットを「DIMENSION」と呼んだりだとか、細かい設定がなされている。でも、ひとまずは細かいことは後にして、見て感じるままに楽しむ。それでもいいんじゃないか。そんなことを思う。
筆者自身、2010年に始まったK-POPブームの頃、同世代のおじさんたちからよくこんな話を聞いた。「顔と名前が一致しないからK-POPは見ない」。tripeSはそういう時代も完全に超越していくんじゃないか。
いっぽう「分からないからとにかく必死に調べる」という楽しさは、2010年頃を思い出させもしてくれるだろう。グループにはSで始まる「メンバー番号」がついていて、あれこれ調べていく過程の助けになるはずだ。
今後はユニットごとの活動が活発化していく予定だという。10月23日には韓国でユニットのひとつ「tripleS Visionary Vision」がカムバック、また別のユニット「tripleS ∞!」は11月に日本正式デビューも控える。
【参考】メンバープロフィール(公式サイトより)