Yahoo!ニュース

アルゼンチン人コーチが語る「ACLファイナルに挑む浦和レッズ」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
決戦の日が近付いてきた。25日、レッズはいかなる戦いを見せるか。(写真:田村翔/アフロスポーツ)
画像

 アルゼンチン出身。兄は1979年ワールドユース東京大会でマラドーナと共に世界一となったピチ・エスクデロ。息子は現、京都サンガの背番号10、エスクデロ競飛王(浦和レッズ出身)。

 自身はアルゼンチン、スペインでプロとしてキャリアを積み、アルゼンチンユース代表、ビーチサッカーアルゼンチン代表に選出された。現役時代の最後は、浦和レッズに所属。

 引退後は、柏レイソル青梅、レッズ・ユース、埼玉栄高校、エルサルバドルのプロチームでの指導者を経て、現在はFC Futureで指揮を執るセルヒオ・エスクデロが、AFCチャンピオンズリーグ決勝について語った。

===============================================================

 11月25日、埼玉スタジアムは6万人くらいの観客で真っ赤に染まるでしょう。レッズがACLのファイナルに出場するのは10年ぶりです。サポーターやファンが期待する気持ち、とても良く分かります。

 でも、相手チームのアルヒラルSFCは強いですよ。18日のファイナル第1戦では、よく1-1のドローで日本に帰って来られたなと思いました。GKの西川周作は非常に気持ちが入ったプレーを見せてくれましたね。見事なセーブでした。

 レッズが放ったシュート6に対して、アルヒラルは20。実力的にはレッズよりもアルヒラルの方がずっと上です。サウジアラビアの選手は身体能力が高いし、頑丈です。日本人よりパワーもあります。さらに、ラモン・ディアス監督の采配もいい。敢えて言いますが、18日の試合の内容は、レッズの負けでした。

それでも、結果的にレッズは引き分けた。運も味方してくれ、今、Vに王手をかけています。

 レッズはミハイロ・ペトロヴィッチ監督を解任し、7月30日から堀孝史さんを監督に据えましたよね。これが上手くハマっています。ペトロヴィッチ前監督が、守りを主体にチームを作ったのに対し、堀さんはまず攻撃を考えて指揮しています。ペトロヴィッチのサッカーでは、こんな結果は出なかったでしょう。 

 せっかくあと一歩のところまで来たわけですから、絶対に優勝してほしい。

 その為には、キックオフから攻めの姿勢を見せるべきです。守って守ってカウンターなどという策は取るべきではない。攻めなければ、アルヒラルを調子付かせてしまいますから。

僕は、レッズのキープレイヤーとなるのは、ラファエル・シルバだと感じます。今、調子が良く、波に乗っていますね。シルバに上手く絡んでほしいのが興梠慎三。そして、勝つ為には、DFのマウリシオとFWのズラタンも先発で出場させてもらいたいです。

 ただ、今回レッズが優勝できても、来年のACLは出られないんですよね。今のJリーグの順位が低いから…。

お金のあるクラブなのですから、ACLもJも勝ち上がれるように、選手層を厚くすることが今後の課題のように見えます。ウチの息子(エスクデロ競飛王)がFCソウルに在籍していた頃、ACL、Kリーグと両方優勝争いをしたシーズンがありました。レッズもあんな風になってもらいたい。

 浦和レッズは、僕が選手として最後に在籍したチームです。ジュニアユース、ユースの指導者もやらせてもらいました。僕の息子も下部組織で育ち、トップチームに上がった場所なのです。ですから、もっともっと大きなチームになってほしいです。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事