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防災士解説:片付いてない実家の危険性って?実家に帰省したら見るべき場所は??【能登半島地震から1年】

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

2024年の元日を襲った能登半島地震から1年を迎えます。

年末年始のお休みで離れた実家に帰っているという方も多いと思いますが、これを機にぜひ実家で見ておいてもらいたい場所があります。

帰省中に災害が発生したとき、あるいは自分のいない間に高齢の親が被災したとき、どんな危険性があるのか?"片付いていない家"が被災すると困ることは…??
この正月三が日の間にぜひやっておきたい対策とともに防災士が解説します。

1.家族が過ごす場所に「安全スペースがあるか」

「安全スペース」とは、地震が起きた際に物が落ちてきたり倒れてきたりすることがないスペースのこと。
最近はリビングの見た目を「スッキリさせる」ことがトレンドになっているため、意識しなくても「安全スペース」が確保されている家庭もありますが、親世代の暮らす家では見える場所に物が積み上がっていることもしばしば…。しかしその状態だと、いざ地震が起きたときに身を守れません。

そのため、少なくとも家族が比較的長い時間を過ごす部屋だけでも、「安全スペース」をつくれるよう工夫してみましょう。できれば各部屋に1か所ずつあると理想的。
そして、たとえば緊急地震速報が鳴ったら、その「安全スペース」にサッと移動できるように家族と確認しておきたいですね。

2.玄関までの通路に物が置いていないか

災害時、家から避難所までの避難経路ももちろん重要ですが、家の中の避難経路も確保しておく必要があります。
しかし、実家の廊下にお歳暮で届いた段ボールや、買い置きの生活用品が積み上がっているというパターンは珍しくないのでは。

できれば避難経路となる廊下には、何も置かないようにしましょう。
「大きい段ボールならまだしも、小さいものならいいのでは?」と思うかもしれませんが、災害時に停電した場合、小さな障害物でもつまづいてしまいケガをするおそれがあるので、何も置かないのがおすすめです。

3.食べにくい・飲みにくい備蓄品ばかりでないか

最近の災害食はおいしいものも増えてきて種類も多くなっていますが、親世代が備蓄しているものはステレオタイプ的なアルファ米や缶詰ばかり…というパターンも。
いざ災害が発生して食べることになったときに、食べにくいものばかりになっていないかチェックしておきましょう。

また、飲み水についても、すべて大きなサイズのペットボトルだと使いづらいため、できれば500mlなど使いやすいタイプのものも合わせて用意しておきたいですね。

4.【1軒家の場合】大事な財産をすべて1階に置いていないか

水害が発生した場合や発生するおそれがある場合、1階に置いてある大事なものを2階に運ぶ作業をすることがありますが、あまりにも数が多いと逃げ遅れてしまいます。
そのため、できれば分散させて置いておきましょう。

これは、銀行通帳や印鑑などの貴重品だけでなく、備蓄水・備蓄食料にも当てはまります。1階だけに水や食料を置いていた場合、1階が浸水してしまうと使えなくなるため、2階以上も含めて分散させて備蓄しましょう。

【正月三が日のうちに】災害伝言ダイヤル117の「練習」を!

災害伝言ダイヤルというNTTのサービスを聞いたことがある人は多いのでは。
災害時、「171」にかけると無料でメッセージを残したり聞いたりできるサービスですが、一度も使ったことがないといざというときに不安ですよね。

実は災害伝言ダイヤルは、災害が発生していなくても「練習」で使える期間があります。そのひとつが1月1日~3日の三が日なので、実家に帰っている間にぜひ親と一緒に練習しておくのがおすすめです。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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