なぜHSPは適応障害”を発症しやすい!?例えば職場では自分以外が怒られていると…
こんにちは、精神科医のしょうです。
HSP気質はHighly Sensitive Personと言われ、繊細で敏感、共感性豊かな人々のことを指します。
生まれつき繊細な気質を持っているHSPさんは、相手の感情や顔色にも敏感に反応しやすいため、社会生活を送る上で精神的に気疲れしてしまう人もいるのではないでしょうか。
特に、職場では仕事内容や人間関係まで多岐に渡って対応していかなければなりません。
HSPさんはさまざまな刺激に敏感なため、こうした環境の下で適応することができず、日常生活に支障をきたしている人も数多くいます。
今回はHSPと適応障害の関係やなりやすい理由、HSPが適応障害になったときの対処法についてご紹介します。
適応障害とは
特定のストレス要因を受ける環境下において、心身に不調をきたし、日常や社会生活に支障を生じるものを適応障害といいます。
特定のストレス要因を受ける環境というのは、家庭や学校、職場など、人が関わるものが多く、そこでの悲しい出来事や理不尽でつらい体験を溜め込み、心に大きな負荷がかかることで発症します。
つらい出来事があっても「大丈夫、なんとかなる」と前向きに考えられる人もいれば、誰かに相談して心の負荷を軽くする人もいます。
しかし、気持ちの切り替えがうまくできなかったり、相談役に適している人が周りにいない場合、ストレスはどんどん溜まっていく一方です。
そのような心の状態が続くと、職場に行こうとしたときに腹痛や頭痛がしたり倦怠感が襲ってくるなどだんだん身体に不調が現れるようになっていきます。
心が過度なストレスから逃げられない代わりに、体調不良という形で症状が発症するのです。
適応障害は、ストレスの原因となるものから離れ、環境を調整することで症状が軽減されます。
つまり、職場や学校を休んだり家事や育児を分担して休む時間を作ることで症状が改善されるのです。
しかし、この適応障害の特徴によって「休みの日は元気なのに、仕事の日になると調子が悪くなるのはおかしい」というように見られて周りから理解を得ることが難しく、相談できずに苦しんでいる適応障害の人がとても多いのが現状です。
適応障害を発症するケース
適応障害を発症するケースは、人の性格や特性によってさまざまです。
ここでは主に、仕事面・家庭面・その他のケースについてご紹介します。
仕事面でのケース
・職場に厳しい上司がいる
・上司から注意や指摘をされることが多い
・自分以外の人が怒られていると萎縮してしまう
・自分の仕事で手一杯でも、追加の仕事を頼まれると断れない
・大きなプロジェクトを任されたり、不慣れな仕事をしている
・仕事内容が難しく自分のスキルに合っていない
・期待をされていて常にプレッシャーを感じている
・休みたくても代わりの人がいないので休めない
・家族やお金のために無理をして働いている
家庭面でのケース
・家事や育児があまり得意ではない
・子どもの教育方針に迷っており、相談できる人がいない
・親戚や義両親との関係に悩んでいる
・配偶者や子どもとの関係がうまくいっていない
・自分ばかり家事をしていて、手伝ってくれる人がいないので負担を感じている
・疲れていても掃除や洗濯をやらなければならないと追い詰められた感覚になっている
・結婚をして共同生活に馴染めない
・相手の転勤によって居住地が変わり、適応できない
その他のケース
・災害などで身の回りの環境が一変してしまった
・大きな病気を患ってしまった
・身内を亡くして心に大きな空虚感がある
HSPが適応障害を発症しやすい理由
HSPさんは、他の人よりも人一倍繊細な気質を持っています。
周りからの刺激を敏感に感じ取りやすいので、一つのことが気になってしまうと気を逸らそうとしてもその対象がずっと気になってしまい、仕事に集中できなくなるといったようなことが起こります。
たとえば同僚の話し声、コピー機や電話の音、隣の人がキーボードを叩く音、香水やタバコのにおい、エアコンの風など、HSPさんにとって職場には刺激になる要因がたくさん存在します。
一度気になってしまうと意識がその対象に向いてしまうため、本来集中すべきところに集中できず、また常に反応している状態なので脳がドッと疲労してしまうのです。
そして、音やにおいだけではなくHSPさんは人の感情や気分にも敏感に反応します。
同僚が上司に叱責されている場面を目撃したり、仕事が終わらずにイライラしている同僚やお客さまの対応に追われている部下の様子を見て、自分のことのように共感して辛い気持ちになり心が疲れます。
そのような環境で仕事を続けていれば当然心や脳は疲れ果ててしまい、適応障害に繋がる恐れがあります。
HSPが適応障害になったときの対処法
環境を調整する
適応障害の治療は、ストレスの原因を突き止めて「環境を調整する」ことが何よりも大切になります。
適応障害は、ストレスの原因から離れて環境を変えると症状が軽減されることが分かっているからです。
学校や職場であれば、先生や上司に相談して休むことをおすすめします。
症状が重い場合は、診断書を提出して長期的に休むことが必要になります。
休んでいる間に、職場に環境を調整してもらうように相談することも大切です。
短時間勤務にしてもらう、残業をなくしてもらう、作業量を減らしてもらう、比較的責任が少ない仕事をする、部署異動をするなど、自分に合った方法で環境を少しずつ調整していきましょう。
もし難しい場合は、復帰したとしても再び症状が重くなる可能性があるので、転職などを視野に入れた方がいいかもしれません。
また、家庭内での環境調整については、家事を分担したり、自分ばかり育児をしていたのであればパートナーにできる範囲のことをお願いする、義両親との交流を最低限にするなど、自分自身が工夫して調整していかなければいけません。
そして、なるべく早めにパートナーへの理解を得ることが大切になります。
薬物療法
適応障害は薬物に頼らない治療をすることが基本ですが、重度の症状が出ている場合は薬を使用することもあります。
抗不安薬には依存性があるため、なるべく使用を最低限に抑え、不安感が強くてどうしようもないときにだけ服用するようにします。
薬による治療だけではなく、併せて環境の調整や心のケアをおこなっていく必要があります。
認知行動療法
認知の歪みを正すことで不安や心の状態をコントロールし、行動を変容させることを認知行動療法といいます。
どんな状況でストレスを感じて症状を発症してしまうのかを正しく把握させ、それらの場面に対して適切な対応法を学び訓練します。
最終的には、患者さん自身がセルフコントロールできるように目指していく療法です。
まとめ
今回はHSPと適応障害の関係や、適応障害になったときの対処法などについて紹介しました。
HSPさんが適応障害になりやすい理由として、「過剰に気を使ってしまう」「外部からの刺激にとても敏感」というものがあります。
適応障害の症状が長引くと、他の病気を引き起こしてしまう危険性があるので注意が必要です。
最初は仕事がある日だけ起きていた症状が休日にも現れるようになったり、ストレスを回避できる場所にいるにも関わらず鬱々とした気持ちが続き、頭が回らなくなり意欲が低下している状態になると「うつ病」になる可能性が出てきます。
HSPの人が必ずしも適応障害やうつ病を発症するわけではありませんが、元々持っている繊細な気質によって発症する危険性が高い傾向にあります。
生活に支障をきたすような症状が長く続く場合は、早めに精神科や心療内科に相談しましょう。
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