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スペインで38.8度 ヨーロッパ大陸の4月の最高気温を更新

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
スペインの28日の予想気温 (出典: Weathermodels.com)

「4月のスペインは肌寒いので、温かい洋服を用意しましょう」

スペインの観光ガイドにはこんな風に書かれてあります。それなのに今、真夏をしのぐ容赦ない暑さが襲っています。

27日(木)には、南部コルドバで最高気温が38.8度まで上がりました。これはスペインの4月の国内最高気温、かつヨーロッパ大陸における4月の最高気温記録でもあるようです。

また同日には隣国ポルトガル中部のモラで36.9度まで上がり、ポルトガルの4月の高温記録も塗り替えられました。

高温の一因は、西から接近している前線に向かって、アフリカからの熱風が流入していることにあります。実際アフリカ北部のモロッコ・マラケシュなどでは41.3度まで気温が上昇し、これまたモロッコの国内記録を更新しています。

28日の予想地上天気図 (出典: イギリス気象庁)
28日の予想地上天気図 (出典: イギリス気象庁)

馬も暑さで死亡か

この前例のない暑さの中、折しもスペイン南部のセビリアでは、国の3大祭りの1つ「フェリア・デ・アブリル」が行われていました。人々が中世の衣装に身を包む、華やかな4月のお祭りです。中でも、装飾を施した馬車が町中を走るのは風物詩の1つとなっています。

イベントに花を添える馬が、26日(水)、脱水症状と見られる原因で路上に倒れて息絶えたというニュースがありました。地元警察が、動物虐待の容疑で捜査に乗り出したそうです。

容赦ない天候が襲うスペイン

昨年はスペインにとって、観測史上もっとも気温の高い1年となりました。そのうえ、昨年1月から続く少雨で、一部では過去1,000年でもっとも深刻な干ばつが起きています。例年になく早い時期から山火事が多発し、今年はこれまでに54,000ヘクタールが焼け、例年の3倍に達しているようです。

スペインといえば、オリーブオイルの世界的な生産地ですが、今年の生産量は前年比で半分となる可能性もささやかれており、価格の上昇が避けられない状態となっています。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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