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今季一番の寒気と暖かい日本海 大雪に注意

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
今季一番の強い寒気が日本列島へ(12月7日正午の雲の様子、ウェザーマップ)

 季節外れの暖かさは大雪を呼ぶ。日本海の海面水温が高いため、強い寒気が流れ込むと雪雲が発達するからだ。雪不足が一転、大雪に注意が必要だ。

凍りつく大地

 タイトル表紙は7日(金)正午の雲の様子です。気象衛星ひまわり8号の画像を加工して、氷晶雲は水色、水雲は白色、雪氷は青みの強い水色で表現しています。

 気になったのは日本列島の北に広がる大地です。日本付近とは違って雲はほとんどなく、青く見えるのは積もった雪です。師走とは思えない暖かさ、いや暑さを感じる日々でしたが、凍りついた大地をみると、冬はどこにもいっていなかったと実感します。

日本海に雪雲の列

 こちらは8日(土)午前9時の雪雲や雨雲の予想です。日本海には一面、寒気に伴う雲が広がっています。

8日(土)午前9時の雪雲・雨雲の予想図。日本海の中央に雪雲の列がある(ウェザーマップ作画)
8日(土)午前9時の雪雲・雨雲の予想図。日本海の中央に雪雲の列がある(ウェザーマップ作画)

 注目したのは朝鮮半島の付け根から北陸にかけて広がる雪雲(赤点線で囲った部分)です。これは日本海寒帯気団収束帯(Japan sea Polar air mass Convergence Zone:JPCZ)と呼ばれ、風がぶつかることで発生する発達した雪雲の列です。この雪雲の列が流れつく先が大雪になりやすい場所です。気圧配置や風向によって山陰、北陸、東北南部と場所が変わるため、的確に予想することが重要です。

 7日夜から9日(日)にかけては日本海に雪雲の列(JPCZ)が形成され、北陸地方(福井県、石川県、富山県、新潟県)、長野県、山形県、福島県会津の山沿いではまとまった雪が降る見通しです。

暖かい日本海は雪雲を発達させる

 もうひとつ気になることがあります。それは日本海の海面水温が高いこと。

 こちらは6日(木)現在の日本海の海面水温図です。

左図:日本海の海面水温、右図:平年との差(12月6日現在、気象庁ホームページより)
左図:日本海の海面水温、右図:平年との差(12月6日現在、気象庁ホームページより)

 

 日本海沿岸から日本海の中央にかけて15度以上の海域が広がっています。平年と比べると1度から2度くらい高い。季節外れの暖かさは海にも影響しています。

 大陸からやってくる冷たく乾いた風は暖かい日本海でたっぷりと水蒸気を補給し、雪雲として発達します。今年のように暖かい秋は日本海も暖かいので、その後の強い寒気で大雪になりやすい。

 2005年12月は度重なる強い寒気と暖かい日本海の影響で、日本海側の各地で記録的な大雪になりました。のちに「平成18年豪雪」と呼ばれる冬です。

 暖かい日本海と大雪はミスマッチに思えますが、強い寒気だけでは大雪にはなりません。世界でまれに見る豪雪は暖かい日本海の存在が大きいのです。

【参考資料】

気象庁のホームページ:日別海面水温

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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