東海道新幹線「のぞみ」年末年始の全席指定席化~指定席取れなかったら、どうする?
JR各社が、新幹線や在来線特急の全席指定化を進めている。乗客サービスの向上を謳っているが、乗客からすれば実質値上げであるし、これまでのように「仕事が終わり次第、新幹線に飛び乗る」などということができなくなってしまった。
しかし、文句を言ってもどうしようもないので、対処方法を考えてみよう。
・東海道新幹線も、年末年始の「のぞみ」は全席指定席に
コロナ禍明けくらいから、JR各社で本格化している新幹線や在来線特急の全席指定席化の動きは、今後も進む見込みだ。
その中で、この年末年始(12月28日~2024年1月4日)は東海道・山陽新幹線「のぞみ号」の自由席がなくなり、全席指定席となった。
これまでもJR東日本の新幹線では、全席指定席が中心となっていたが、東海道新幹線では初めての試みだ。
・予約を取り損ねた場合はどうするか
原則、予約が取れなかった場合は、乗車できない。自由席がないのだから、駅に着いてから、30分後、1時間後の列車を待って、座席を確保するという手段はもう使えない。
例えば、この原稿を書いている2023年12月31日午後5時現在で、2024年1月3日午後の名古屋⇒東京の東海道新幹線は、ほぼ満席で指定席を取ることはできない状態だ。
これまでであれば、名古屋駅のホームで後から来る「のぞみ」を待ち、自由席に乗るということもできたが、全席指定席となったために、それができなくなったのである。
・「ひかり」、「こだま」ならば自由席がある
全席指定となったのは「のぞみ」だけなので、「ひかり」もしくは「こだま」の自由席を狙うという方法もないことはない。
しかし、「ひかり」と「こだま」は「のぞみ」に比較して本数が少ないことや、インバウンド観光客が持つジャパン・レイル・パスが「ひかり」と「こだま」しか利用できないこともあって、外国人観光客が集中するようになっているのだ。
なによりも「のぞみ」が全席指定席になったために、「ひかり」や「こだま」の自由席に集中する可能性があり、自由席の争奪戦は厳しいものになる。
・「こだま」の自由席の場合は、13号車から16号車が狙い目
どうしてもと言う場合には、「こだま」の自由席の場合は13号車から16号車、「ひかり」の場合は4号車もしくは5号車だ。その理由は、通常運転の「のぞみ」の場合、自由席は1号車から3号車であり、「自由席車両」というと「1号車から3号車」と覚えている人が多いからだ。
また、名古屋駅からの乗車の場合は、名古屋駅始発を狙い、30分程度前に行って並ぶということが必要だ。新大阪駅始発のものは、すでに満席に近い状態で来るため、並んでも席を確保することは難しい。
同様に京都駅からの乗車の場合は、並んでも自由席に席を確保することは困難なので、在来線で約30分程度で移動できる新大阪駅に行き、そこから乗車するという手もある。
しかし、これだけ話題になっているので、これらの対策も「敢えて言うなら」という程度だ。また、山陽新幹線など一部の「ひかり」や「こだま」などでは、自由席車両を減らす措置を採ることもあるので、どうしても「自由席で座りたい」と言う場合には、事前に調べておく必要がある。
・乗車直前まで、エクスプレス予約で検索、予約。重要なのは決断力。
事前に予約をしていて、直前にキャンセルという乗客も皆無ではない。そのキャンセルされた席を狙うのであれば、エクスプレス予約で乗車直前までチェックし続けるという手もある。
筆者も全席指定席の新幹線や特急などを利用していて、直前にネット予約で席を確保できたことがある。ただし、この方法で最も大事なのは、決断力だ。
同様に予約を取ろうとしている人は他にもいる。ほんの数秒の躊躇で、予約を取れられてしまう。ネット予約の場合、後で変更が聞くので、見つけたら躊躇なく抑えることが重要だ。
削減され、長蛇の列の駅の窓口にたどり着いても、予約はまず取れない。特急券の自動販売機の前にへばりついて、何度も空席を探すという手も採れないことはないが、現実的ではないだろう。要するにネット予約(JR東海の場合は、エクスプレス予約)ができるようにしておくことが、必要になっているし、JR側はそちらに乗客を誘導したいのだろう。
・最悪の場合は、自由席特急券で乗車。しかし、着席はできない。
冒頭で「原則、予約が取れなかった場合は、乗車できない」と書いたが、「原則」とわざわざ付けたのには理由がある。実は、予約がなくても乗車できないことはないのだ。
JR東海の告知文章には、こうした一文がある。
『自由席特急券等をお持ちのお客様は、普通車のデッキ等に立席でご利用いただく場合に限り、「のぞみ」号にご乗車いただけます。』
つまり、自由席特急券を購入し、満席の「のぞみ」に乗車した場合、着席はできないが乗車は認めるということになっている。
では、そうして半ば強引に乗車して、空席を見つけた場合は、どうなるのだろうか。
『「のぞみ」号の指定席に着席された場合は、所定の指定席特急料金が必要となります。』
つまりデッキなどで立ったままであれば、自由席特急券で乗車できるというのだ。ただし、空席に座れば指定席特急料金を支払わなくてはならない。年末年始には、そういった幸運な偶然はまず起こらない。
筆者は若い頃に数回、東海道線のデッキに立ったまま乗車した経験があるが、とても他の人に勧められるような体験ではないことは最後に付け加えておきたい。
・指定席を確保していても、注意すべきこと
コロナ禍明けから、国内観光客も外国人観光客も順調に戻ってきている。その影響で、新幹線や主要特急が発着する駅では、コンコース、駅の窓口、自動券売機、ホームなどの混雑が悪化している。
乗車前に券売機で発券する必要がある人は要注意だ。窓口や券売機には、長い列ができることがある。発車時間の直前に駅に到着し、券売機の前に並んでいるうちに間に合わなくなるということも、実際に起こっている。できれば、事前に発券しておき、当日には行わない方が良い。また、多くの駅で窓口は利用できないレベルの混雑になることを理解しておきたい。
駅コンコースの混雑も非常に激しい場合があるので、特に子供連れや高齢者同伴などの場合は、時間に充分な余裕を持っておく方が良いだろう。
*資料 東海旅客鉄道株式会社 、「2023年度 年末年始期間の指定席予約状況について」、2023年12月12日。