活発な打線と磨きのかかった機動力野球。近年最強の攻撃力で赤ヘル旋風を再び
超強力な広島の上位打線
今季も混セが続く中で突っ走りそうな雰囲気が出てきたのが広島、好調の要因は活発な打線だ。打率.278、51本塁打、262得点は全て12球団トップ。昨日の試合でも1イニングに2本のスリーランを放って一気に突き放し巨人との首位攻防戦で連勝した。このままの攻撃力を維持出来ればシーズン約765点ペース。昨季90勝を挙げ2位に12ゲーム差をつけぶっちぎりで優勝したソフトバンクの651得点より100点以上も多いことになる。
首位打者・エルドレッドを筆頭に菊池、新井が打率3割超え。さらに田中も.298、丸も.291とほぼ3割の打率を残している。田中と丸が得点でリーグ1位と2位、ヤクルト・山田を挟んで菊池が4位につける。田中、菊池、丸と並んだ上位打線は出塁率が高く三者凡退に終わる可能性は約24%しかない。4回に3回は走者を置いてクリーンアップが打席に入ることになり、これだけチャンスメイク出来れば新井とエルドレッドの打点も自然と増える。特に新井は2本塁打ながら39打点。リーグトップの阪神・ゴメスとの差は2打点しかない。最少本塁打の打点王との期待もかかるほど。そして、前にも後にも好調な打者に挟まれた丸は得点がリーグ2位で打点が新井と並んでリーグ3位。この上位打線は強力だ。
盗塁数、成功率共にかなり優秀
打線好調な広島だが、実は打つ以外でも優秀な成績を残している。40盗塁と盗塁成功率83.3%はどちらも12球団トップ。シーズン約117盗塁ペースで走っている。元々機動力野球の伝統があるチームだが近年の盗塁数と成功率は
2015 80盗塁 61.5%
2014 96盗塁 64.0%
2013 112盗塁 70.4%
2012 79盗塁 66.9%
2011 65盗塁 63.7%
と成功率はほぼ60%台になっている。安打1本が四球1つがどれだけの得点を生み出すかは過去の統計から具体的な数値が出されているが、それによると盗塁の得点価値は0.17点。見た目の鮮やかさの割には実はそれほど高くない。しかし盗塁刺は−0.40点とリスクは大きい。そのため盗塁によって得点効率を上げるためには成功率70%が目安となる。今季の広島はこれを大幅にクリアしている。しかも盗塁企図数のペースは過去5年の平均値よりもやや多い。むやみに走って盗塁数を稼ぐのではなく、質が上がっていることがわかる。
マエケンのメジャー移籍で苦戦が予想された今季の広島だが現在首位。打って走って、近年最強の打線が赤ヘル旋風を巻き起こす。