夏休み明けに不登校が増えるのはなぜ?原因と対処法を元教師が解説!
夏休みが終わると、予想もしなかった不登校の問題が起きることがあります。
ただし、夏休みの過ごし方によっては、不登校になることを未然に防ぐことができる可能性もあるのです。
そこで今回は、夏休み明けに不登校が増えてしまう原因と対処法について元教師が解説していきます。
夏休み明けに不登校が増える原因とは?
夏休み明けに不登校が増える原因としては、
- 夏休みによる生活リズムの乱れ
- 夏休み中に友人間でトラブルが発生
という2パターンが多い印象です。
以下では、元教師の私が実体験に基づいたそれぞれのパターンにおける対処法を解説していきます。
パターン①夏休みによる生活リズムの乱れ
夏休みに入ると学校の授業はなくなり、子どもたちの自由な時間が増えます。
多くの子どもたちがインターネットやゲーム、動画視聴、SNSなどに使う時間が増えるのは仕方の無いこと。
しかし、夏休みが終わり学校に戻ると、こうした娯楽の時間が減ることにストレスを感じる子どもも一定数います。
不登校児童生徒の実態調査の結果
文部科学省が実施した『不登校児童生徒の実態調査』によれば、学校に最初に行きづらいと感じ始めるきっかけは、
「インターネット、ゲーム、動画視聴、SNS(LINEやツイッターなど)などの影響(一度始めると止められなかった、学校に行くより楽しかったなど)」
と回答(複数回答可)をした人が
- 小学校:18.1%
- 中学校:17.3%
でした。
また、
「生活リズムの乱れ(朝起きられなかったなど)」
と回答(複数回答可)をした人が
- 小学校:25.7%
- 中学校:25.5%
でした。
不登校というと人間関係が原因となることが多いという印象があるかもしれませんが、意外と「生活リズムの乱れ」がきっかけになることがあるので注意が必要です。
1年間で最も長い休みとなる夏休みには、生活リズムの乱れが起きやすく、その乱れた生活リズムが習慣となりやすいので、早めにリズムの乱れを改善しておく必要があります。
どう対処する?
夏休み中に制限なくインターネットや動画を見続けてしまうと、その生活が当たり前になり、夏休み前の生活習慣に戻すのが難しくなる傾向があります。
だからこそ、夏休み期間中は普段より長い時間スマホやタブレット・ゲームを使えるようにするのもいいですが、無制限にせず、時間やルールを設けておくことが重要です。
そして、夏休みだけでなく、スマホやタブレット・ゲームの使用については、事前にルールを決め、適度な使い方を心掛けるべきです。
また、特別な日を除いて、基本的に起床時間と就寝時間は変えないようにすることが望ましいと言えるでしょう。
生活リズムさえ保てれば、学校が始まっても生活の乱れを最小限に抑え、日常に戻りやすくなるのです。
すでに遅寝・遅起きといったリズムになってしまっている場合には、夏休みが空ける1週間前からは学校へ行く日と同じリズムになるよう心がけると良いでしょう。
「夏休みによる生活リズムの乱れ」への対処法
- スマホやタブレット・ゲームの使用については事前にルールを決めておく
- 起床時間と就寝時間は変えない、または夏休み明け1週間前からは学校へ行く日と同じ生活リズムに変える
パターン②夏休み中に友人間でトラブルが発生
夏休み中は、LINEなどを通じて友だちとの交流が増え、お出かけやお泊まり会などで学校以外での交流が広がります。
これによって、これまでとは違う一面が見えてくることもあります。
不登校児童生徒の実態調査の結果
文部科学省が実施した『不登校児童生徒の実態調査』によると、学校に最初に行きづらいと感じ始めたきっかけで、
「友だちのこと(いやがらせやいじめがあった)」
と回答(複数回答可)をした人は
- 小学校:25.2%
- 中学校:25.5%
でした。
友人関係というのは、不登校の理由になりやすいため、ささいなトラブルであっても注意が必要です。
どう対処する?
子どもたちにとって友だちの存在は非常に重要です。
学校生活では意見や考え方が合わないこともあり、残念ながら、いじめやいやがらせの問題が生じることもあります。
夏休み中にもトラブルが発生することは少なくありません。
そして、夏休み明けにそのトラブルがいじめやいやがらせの原因となることもあります。
家庭では、
- 夏休み中に友だちと出かけた日の子どもの様子を気にかけること
- 夏休みが終わる頃に浮かない様子が見られたら悩みがないかを聞くこと
を心がける必要があります。
子どもが夏休み明けに学校を休みたいと言ってきたときには、場合によっては1日学校を休ませて様子を見ることも考慮すべきです。
また、欠席する際は嘘をつかずに「実はトラブルがあったみたいで……」と状況を担任の先生に説明することも必要となるでしょう。
友だちとトラブルが発生して学校へ行けなくなった場合、担任の先生との協力体勢はかなり重要となってきます。
子どもが親に相談できる場合、一緒に話を聞いて解決策を考えます。
しかし、「親には具体的に話したくない」「家庭だけでは解決が難しそう」といった場合には、学校のサポートが不可欠です。
まずは担任の先生または養護教諭(保健室の先生)が子どもと話せる機会を設けるのが良いでしょう。
「夏休み中に友人間でトラブルが発生」への対処法
- 友だちと出かけた日の子どもの様子を気に掛けておく
- 担任の先生へ相談
【まとめ】原因と対処法
最後に、夏休み明けに不登校が増える原因と対処法をまとめておきます。
原因①夏休みによる生活リズムの乱れ
- スマホやタブレット・ゲームの使用については事前にルールを決めておく
- 起床時間と就寝時間は変えない、または夏休み明け1週間前からは学校へ行く日と同じ生活リズムに変える
原因②夏休み中に友人間でトラブルが発生
- 友だちと出かけた日の子どもの様子を気に掛けておく
- 担任の先生へ相談