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ロンドンのウェストミンスター議事堂近辺で「テロ」?5人死亡、40人負傷

小林恭子ジャーナリスト
ウェストミンスター議事堂(写真はイメージです。)(写真:アフロ)

(テロ発生翌日の23日付の英新聞の報道については、「英国メディアウオッチ」をご覧ください。)

22日、ロンドンのウェストミンスター議事堂の近くで、午後2時40分ごろ(日本時間の午後11時40分ごろ)「襲撃事件」が発生した。現地時間午後11時時点で5人が亡くなり、負傷者は少なくとも40人と言われている。

BBCによると

「議事堂はテムズ川に面しており、議事堂の真横にかかるウェストミンスター橋では歩道に乗り上げた車両によって複数の通行人が倒された」

「襲撃犯はまずウェストミンスター橋を車で渡り、複数の通行人を倒した後、議事堂の鉄柵に激突。車を降りて議事堂に向かって走り、警官を刺したとみられている」。襲撃者は警察に撃たれ、命を落とした模様。

亡くなったのは襲撃者に刺されて亡くなった警察官、警察に撃たれた襲撃者、ほか3名。負傷者は40人以上だ(ロンドン警視庁発表)。

警察は今のところ、「国際的イスラム組織に影響を受けた」テロ事件として処理している。また、攻撃をかけた人物は一人。その身元などについては「捜査が続行中のため」公表されていない。

議事堂内にいた議員らは外に出ないように指示された。地下鉄の最寄り駅ウェストミンスターは閉鎖された。

メイ首相は緊急避難をするため、車に乗せられて議事堂から退避している。

政府によると、過去4年で13件のテロ未遂事件を止めたという。

議事堂からの議員の退避はいったん取りやめた模様。議事堂内に爆発物が置かれている様子のため。政府は爆発物処理班を議事堂に送っている。

今回の事件がもしテロだとすると、ベルギー・ブリュッセルで発生したテロ事件からちょうど1年となる。

ロンドンの大きなテロは2005年7月7日に発生。複数の交通機関がイスラム教過激思想に心酔した青年たちが自爆テロなどで亡くなった)によって攻撃を受けた。亡くなった人はテロ犯を含めると56人に上った。

ウェストミンスター議事堂内に議員らが閉じ込められている上に、スコットランド自治議会、ウエールズ議会が議論を中止した。

ウェストミンスターから近いウオータールーにある大観覧車「ロンドン・アイ」は運転を停止した。

―大使館から警戒のメール

在ロンドンの日本大使館から、英国在住の日本人に警戒メールが出ている。

以下は内容の一部抜粋だ。

ロンドン中心部(ウエストミンスター)におけるテロ事件の発生【更新】

在英国日本大使館

平成29年3月23日

1 3月22日14時50分頃,ロンドン市内ウェストミンスター橋の歩道を車両が暴走して多数の通行人を轢き,その後ナイフを持った男が英議会下院への侵入を試み警官1名を刺殺する事件が発生しました。警察当局の発表によると,この事件により,少なくとも犯人を含む5名が死亡,40名が負傷したとされています。なお,犯人1名は現場で警察官に射殺されています。

英国当局は,本事件は犯人が国際テロリズムに触発されたという想定で捜査を進め,また,テロの脅威度「深刻(severe)」(5段階中2番目に高い)を継続する,今後数日間,ロンドン市内をはじめ全国で武装・非武装の警察官を多く配置するとしています。

皆様におかれては,引き続きニュース等で関連の最新情報の入手に努めていただきつつ,外出時には周囲の状況に注意を払い,不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる等,安全確保に十分注意して下さい。

2 3月23日付で外務省海外安全ホームページに英国に対するスポット情報が発出されましたのでお知らせ致します。

【スポット情報】英国:ロンドンにおける英議会下院及び周辺でのテロ事件発生に伴う注意喚起

(PC)==> http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2017C057.html

(携帯)==> http://m.anzen.mofa.go.jp/mblatestspecificspotinfo.asp?infocode=2017C057

3 本テロ事件の影響で現場付近への立ち入りが制限されています。暫くの間は,現場付近には近づかないようにして下さい。

*ロンドン市内の交通情報については,ロンドン交通局のホームページ(以下)等から入手できます。

【ロンドン交通局HP】https://tfl.gov.uk/traffic/status/?disruptionIds=TIMS-154737

ジャーナリスト

英国を中心に欧州各国の社会・経済・政治事情を執筆。最新刊『なぜBBCだけが伝えられるのか 民意、戦争、王室からジャニーズまで』(光文社新書)、既刊中公新書ラクレ『英国公文書の世界史 -一次資料の宝石箱』。本連載「英国メディアを読み解く」(「英国ニュースダイジェスト」)、「欧州事情」(「メディア展望」)、「最新メディア事情」(「GALAC])ほか多数。著書『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)、『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス』(洋泉社)、共訳書『チャーチル・ファクター』(プレジデント社)。

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