新聞社勤務から杉並区課長へ「ジェンダー平等の推進」を担当
新聞社に35年間つとめた女性が、東京の区役所の課長になった。読売新聞出身の磯淵明代(いそぶち・あきよ)さんだ。今年4月1日、杉並区の任期付き職員として、男女共同参画担当課長に就任した。ジェンダー平等の推進などを担う。
磯淵さんは5月27日、岸本聡子区長の記者会見に同席し、「新聞社で得たさまざまな知識や経験をこちらで生かしたい」と抱負を述べた。
50歳で大学院に入学し「社会デザイン」を学ぶ
杉並区は、ジェンダー平等や性の多様性に関する取り組みを充実させるため、専門的な知識や経験がある人材を採用しようと、男女共同参画担当課長を公募した。区の管理職の公募は、2006年に区立科学館の館長を採用して以来、2回目だという。
磯淵さんは1989年、上智大学を卒業して、読売新聞に入社した。記者ではなく、旧広告局などのビジネス部門に所属し、広告営業や事業企画、デジタル事業などを担当した。
50歳のとき、立教大学大学院の21世紀社会デザイン研究科に入学。新聞社の仕事を続けながら大学院で学び、女性支援団体でボランティアも経験した。そんな中で男女共同参画社会への関心を強め、杉並区の担当課長の公募に手を挙げた。
「女性のためのウェブメディア」の経験も
「新聞社での経験が、区の仕事でどう生きそうか?」。記者会見でそう聞かれると、磯淵さんは次のように答えた。
「新聞社では、記者でなくても常に社会課題を目にする機会があり、『いま社会がどうなっているのか』『どこに問題があるのか』と日常業務の中で考える機会があった。さまざまな事業を経験し、女性のためのウェブメディアの編集部にいたこともある。そういう広範囲の情報や事業に関する知識や経験を、こちらで生かせるのではないかと考えている」
杉並区では男女共同参画担当課長として、「ジェンダー平等」の推進や「性の多様性」の尊重に取り組む。
「私たちの世代は、男女雇用機会均等法の第一世代とも呼ばれ、社会の変化を当事者として見続けてきた」という磯淵さん。「男女共同参画行動計画の改定やパートナーシップ条例の見直しといった具体的なミッションに注力していきたい」と話していた。