【超RIZIN】切なさか?もどかしさか?RENAvsケイト・ロータス“世代交代”マッチのゆくえ
7月28日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催される格闘技のメガイベント『超RIZIN.3』において、RENA(シーザージム/32)とケイト・ロータス(フリー/26)による女子スーパーアトム級ワンマッチが決定した。
6月9日の『RISIN.47』では両者がリングに上がり、「やるからには勝つことしか考えていない。自分が世代交代して女子格闘技を盛り上げていきたい」と世代交代アピールしたケイトに対し、RENAは「しっかり勝って、年末は私にもチャンスをください」と、すでに“その先”を見据えたコメントで、ケイト戦への揺るぎない自信をのぞかせた。
下馬評では圧倒的にRENA優位。MMA戦績5勝6敗のケイトに対し、RENAは14勝5敗。シュートボクシングなどの立ち技を含めれば60試合以上のプロ戦を経験しており、キャリアの差は歴然だ。
それでも、この一戦に好試合を期待してしまうのは、やはり“世代交代”がメインテーマになっているから。過去の女子格闘技史を紐解くと、時代の転換期には象徴的な世代交代劇が生まれることが多いのだ。
ジョシカク史上もっとも衝撃的な世代交代マッチ
MMAに限って振り返ると、もっとも衝撃的な試合のひとつが2010年2月、当時定期開催されていた女子MMAイベント『VALKYRIE(ヴァルキリー)04』でのフェザー級(52.2kg)チャンピオンシップだろう。
23勝1敗と圧倒的な強さを誇っていた当時35歳の辻結花(つじ・ゆか)に、キャリア8戦めで当時27歳のV一(ヴイーはじめ/現V.V Mei)が挑んだ一戦は、「辻優位は動かず」という大方の予想を覆し、開始わずか74秒、V一がバックチョークで一本勝ち。日本人として初めて絶対女王に土をつけた。
当時は辻と藤井惠の“二強”が若手選手たちの厚い壁となっており、その一角を崩したV一は「これで一番に世代交代をしたと思います」と高らかに宣言。出世試合となった辻戦を足掛かりに着実にキャリアを重ね、近年ではONE ChampionshipやRIZINでも存在感を示してきた。
辻結花に引導を渡したもう一人が浜崎朱加(AACC/42)だ。MMA開始は26歳と遅かったが、柔道仕込みの極めの強さに加え、打撃にも非凡なセンスを見せ、デビューからわずか4戦でJEWELS初代ライト級(52kg)王座を奪取。7戦めの2012年5月に辻と対戦し、一本勝ちで防衛すると、この勝利を置き土産に挑戦の場を海外に移し、2015年、Invicta FC世界アトム級王座戦を制して「日本人初のMMA世界王座戴冠」の金字塔を打ち立てた。
7月28日は世代交代マッチならではの残像感が味わえる
時を経て、その浜崎から時代を奪ってみせたのが、現RIZIN女子スーパーアトム級王者にして、DEEP JEWELSストロー級&アトム級王者でもある伊澤星花(Roys GYM /JAPAN TOP TEAM/26)だ。2021年大晦日のノンタイトル戦でパウンドをさく裂させ、浜崎から日本人初勝利をあげると、翌2022年4月には浜崎のタイトルをかけた再戦でも判定勝利し、世代交代を完遂させた。
今回紹介したのは世代交代の成功例だが、もちろんベテランが下剋上を阻んだケースも数多くある。RENAvsケイト・ロータスの勝敗のゆくえは果たして――。
7月28日の『超RIZIN.3』ではすでに扇久保博正 vs 神龍誠、所英男 vs ヒロヤも発表されており、バラエティ豊かなカードのなかでも「世代交代」は大会を貫くテーマのひとつとなりそうだ。
ベテランが負ければ切なさが残り、新鋭が負ければ時代の硬直にもどかしさが残る。『超RIZIN.3』では、そんな世代交代マッチならではの残像感をたっぷり味わえそうだ。