根尾はブレイクするか、来年のドラフト候補は――アジア・ウインター・ベースボール2019が開幕
冬でも温暖な台湾中南部の都市で、台湾、韓国、日本の若手選手がスキルアップを目指すアジア・ウインター・ベースボール(AWB)2019が、今年も11月23日に開幕する。今回は台湾プロ(CPBL)選抜、韓国プロ(KBO)選抜、台湾でCPBLに新規参入を目指す味全ドラゴンズのほか、日本から3チームがエントリーしている。
プロ(NPB)からは広島、北海道日本ハムを除く10球団が参加。埼玉西武、福岡ソフトバンク、東北楽天、オリックス、東京ヤクルトによるNPB RED、千葉ロッテ、巨人、横浜DeNA、阪神、中日によるNPB WHITE、そして、3年連続の社会人(JABA)選抜だ。
1チームあたり17試合のリーグ戦を12月12日まで行ない、12月13日は5・6位決定戦、14日は1位と4位、2位と3位による準決勝、15日に3位決定戦と決勝が開催される。国際大会でも使用される台中市の洲際棒球場を中心に、斗六、嘉義と近隣都市にも足を延ばす。
イチローも村上宗隆もウインター・リーグからステップした
昔から「ひと冬越して飛躍する」と言われているように、ウインター・リーグを経て翌年にブレイクした選手は少なくない。1993年のハワイアン・リーグに派遣されたオリックスの鈴木一朗はMVPに輝く活躍を見せ、翌1994年にイチローと登録名を変更して210安打をマーク。その1994年に参加した福岡ダイエーの小久保裕紀もMVPを手にすると、翌1995年は本塁打王だ。
AWBでも、昨年4本塁打15打点で二冠王となった東京ヤクルトの村上宗隆は、今季は全143試合に出場し、36本塁打96打点と大きな飛躍を遂げている。そんな視点で今回の出場選手を見ると、最も注目されるのは中日の根尾 昂だろう。
大阪桐蔭高では投手、遊撃手、外野手をこなし、2年春、3年春、3年夏と甲子園で優勝。昨年のドラフト会議では1位入札で4球団が競合した。ただ、春季キャンプ前の自主トレで右ふくらはぎを肉離れ。キャンプから開幕をファームで過ごし、4月16日のウエスタンの阪神戦では左手人差し指をスパイクされて8針縫うなど、ルーキーイヤーはケガや故障に泣かされた。
それでも、実戦感覚を養おうと、10月はフェニックス・リーグに出場しており、AWBでもプレーして出足の躓きを取り戻すつもりだ。台湾のメディアも根尾の出場をトップニュースとして報じており、注目される中でどんなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみだ。
2020年のドラフト候補も躍動する
また、2017年からエントリーし、リーグ戦で1位、2位と健闘しているJABA選抜には、来年のドラフト候補と目される逸材が揃う。昨年の出場メンバーでも、河野竜生が北海道日本ハム1位、小深田大翔が東北楽天1位でプロ入りするなど、社会人からプロを目指す選手にとっては登竜門となっている。
今回のメンバーでは、名城大4年時もドラフト指名が有力と言われた速球右腕の栗林良吏(トヨタ自動車)、抜群の将来性を備えたサウスポーの森田駿哉(Honda鈴鹿)、攻守にスピードが自慢の遊撃手・中野拓夢(三菱自動車岡崎)、攻守ともハイレベルな外野手・向山基生(NTT東日本)、逢澤崚介(トヨタ自動車)らに期待が集まる。
なお、23日の日本時間13:00に開始されるNPB RED対JABA選抜をはじめ、試合はBS、CS局で生中継される。