歩頭金の妙手一閃! 藤井聡太叡王(19)千日手指し直しで叡王戦第2局を制してタイトル戦12連勝!
5月15日。愛知県名古屋市・名古屋東急ホテルにおいて、第7期叡王戦五番勝負第2局・藤井聡太叡王(19歳)-出口若武六段(27歳)戦がおこなわれました。
棋譜は公式ページをご覧ください。
9時に始まった対局は16時26分、74手で千日手が成立しました。
指し直し局は17時6分に始まり、19時31分、75手で藤井叡王の勝ちとなりました。
藤井叡王は五番勝負2連勝。叡王位初防衛まであと1勝としました。
また前期から続くタイトル戦番勝負での連勝を12に伸ばしました。
両者ともに棋士になって以降の通算対戦成績は藤井4勝、出口1勝となりました。
藤井叡王、ハードパンチから妙手で決める
本局は意表の千日手からの指し直しとなりました。
指し直し局の持ち時間は藤井1時間、出口1時間5分。持ち時間4時間で始まった千日手局成立局に比べればスピーディーな進行となります。
藤井叡王先手に替わって、戦型はまたも相掛かりとなりました。
28手目。出口六段はさほど時間を使わず、飛車成を防ぐために銀を上がります。しかしそれは危険だったか。藤井叡王は7分の考慮で、出口陣に角を打ち込みます。それが痛烈なハードパンチでした。
出口「そうですね、ちょっとうっかりしてしまったので」
終局直後、出口六段はそう苦笑していました。
藤井叡王は飛金交換の駒損もいとわず、鋭く切り込んでいきます。
37手目。藤井叡王は歩頭に金を打ちます。これが攻めをつなげる妙手でした。以下は着実に出口玉を受けなしに追い込んでいきます。
出口六段も手にした飛車を藤井陣に打って反撃に出ます。しかし藤井玉はすぐには寄らない形。
75手目。藤井叡王は馬で王手龍取りをかけました。攻防ともに見込みのなくなった出口六段は、そこで投了を告げています。
藤井にとってはタイトル戦で初めての千日手。指し直し局は勝利でした。
将棋界の多くの記録を塗り替えながら、おそるべき勢いで勝ち続ける藤井叡王。あと1勝で初の叡王位防衛、そして通算8期目のタイトル獲得となります。