南岸低気圧じゃないのにどうして雪予報が出たの?気象予報士解説
連休後半、11日の夜から12日朝にかけては都心を含めて関東で雪の予報が出て、「あれ?南岸低気圧はもう終わったのでは?」と疑問に思った人もいたかもしれません。
実は都心の雪は南岸低気圧が来なくても降ることがあり、その仕組みは夏のゲリラ豪雨に似ています。
冬の平年をも上回る強さの寒気
今回、11日~12日にかけて関東など太平洋側で一時的な雨や雪の予報が出た原因は、上空に強い寒気が流れ込んだこと。
冬だから寒気は強いでしょ?と思われるかもしれませんが、関東上空には今の時期の平年と比べても10度ほど低いマイナス33~36度くらいの寒気(上空約5000m)の流入が予想されていました。
もし冬型の気圧配置になっているときに流入していたら日本海側で大雪になっていたようなレベルの寒気です。
寒気が流れ込んで雪になるのはなぜ?
上空に寒気が流れ込むことで寒くなるだけなら納得ですが、それが雪につながるのはなぜでしょうか。
それは、「大気の状態が不安定」になるためです。
このところ関東では平年を上回る気温が続いていて、地上で平年より高い気温、上空では平年より低い気温というバランスの悪い状態(=不安定)だと上昇気流が発生しやすく、積乱雲が急速に発達しやすくなります。
ちょうど、夏にゲリラ豪雨が発生する場合と同じような構図です。
そして地上の気温が高ければ雨、低ければ雪になり、今回は微妙な気温だったので都心で「雨または雪」の予報が出た、というわけです。
(ちなみに細かい話ですが、「または」という場合は先に書かれた方が確率が高いことを示し、今回気象庁の判断としては「雨の可能性が高いけど雪になることもあり得る」という予報でした。)
連休最終日の日中は?
三連休の最終日となる12日は、関東では日中にかけて天気が回復し、青空が戻って来そうです。
なお、今回は都心では雪は積もっていませんが東京の多摩地方や埼玉の秩父地方では積雪となっているところがあるため注意が必要です。
気温は、12日の段階でもすでに平年を上回って3月並みの予想ですが、連休明けにはさらに気温が上がって4月並みになる見込み。
「春一番」の発表(関連記事)も近いかもしれません。