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もうかかりたくないインフルエンザの予防法〜今シーズンの流行始まる〜

中山祐次郎外科医師・医学博士・作家
インフルエンザ予防を再確認しよう(写真:アフロ)

今年のインフル流行は遅めスタート

今月15日、厚生労働省から「インフルエンザの流行が始まった」というデータが公表されました。筆者の周囲でも、学級閉鎖になったり知人がインフルエンザにかかったりという声が聞こえてきています。いったん始まったこの流行のスピードはとても早く、例年この流行がいったん始まると、2,3週間で一気に30倍くらいインフルエンザにかかる人が増えます。下のグラフの赤い線の、一番右のちょこっと上がってきているのが今です。このグラフには過去3年間の流行が書いてありますから、今年も同じパターンだとすると今から一気に流行るのではないかと考えられます。ですから、今から数週間で爆発的に流行するため注意が必要です。

国立感染症研究所感染症疫学センター インフルエンザ流行レベルマップより
国立感染症研究所感染症疫学センター インフルエンザ流行レベルマップより

実は、以前の記事でも書いたように今年の流行はここ数年でもっとも遅いスタートでした。暖冬の影響なのか、他の要因なのかは不明です。

今から出来る予防は?

今からできるインフルエンザ予防は、

1、マスク

2、ワクチン

3、手洗い

です。

マスクは、自分がするだけではなく、咳やくしゃみをしている人に渡してつけてもらうことが大切です。これを「咳エチケット」と呼んでいます。

ワクチン接種の功罪については前回記事「インフルエンザ2015 ~今だから出来る予防法と今年の流行~」で述べたので省きますが、今接種すればギリギリ流行のピークに間に合うというタイミングです。ワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した(13歳未満は2回目を接種した)2週後から5か月程度までと考えられているからです。特に、65歳以上の方は接種することが発症の抑制と重症化の予防の点から特に勧められ、国からお金が出るためだいたい半額の1500円から2500円くらいで接種できます。親御さんや周りの高齢の方に接種したか聞いてみてください。

また、手洗いは外出から帰ったあと、くしゃみを受けとめたあとなどにするようにしましょう。同時にノロウイルスや風邪の感染の予防にもなります。

もしかかってしまったら?

もしインフルエンザにかかってしまったら。高熱が出て、怪しいと思ったらまずは病院やクリニックを受診しましょう。ポイントは、熱が出てから6時間以内はインフルエンザの迅速検査があまりあてにならないということ。ですから6時間経ってから受診するのも一つの手です。

また、近年では「まったく熱の出ないインフルエンザ患者さん」を見ることがあります。熱がなくても、例えば同居している家族がインフルエンザにかかっていて、さらに咳や痰、体のふしぶしが痛むなどの症状があったら医療機関を受診しましょう。

インフルエンザの検査が陰性であっても、状況や症状からインフルエンザが強く疑われた場合、医師はインフルエンザと診断することがあります。

インフルエンザの薬にはいくつか種類があり、内服する錠剤の薬(子どもにはシロップです)、ヒュッと粉を吸入する薬、病院で一度だけ打つ点滴があります。

筆者は2年前にインフルエンザにかかりましたが、吸入するリレンザというお薬を使いました。処方されてから一度だけ吸入すればいいので、とても楽でした。

どの薬を処方するかは医師が判断しますが、薬を使用することで明らかに高熱の期間が短くなるということがわかっています。

(参考)

成人新型インフルエンザ治療ガイドライン

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/guideline.pdf

日本臨床内科医会「2011-2012年シーズンのインフルエンザ流行状況について」

「解熱時間から判定したノイラミニダーゼ阻害薬(NAI)の有効性はA(H3N2)では市販の4剤間(いづれも27~28時間前後)で大きな差はなかった。NAI投与後の解熱時間は、A(H3N2)に比べてB(32~38時間前後)はやや長く、また例年同様小児の方が成人よりもやや解熱時間が長い傾向にあった」

http://www.japha.jp/2012/08/2011-2012.html

外科医師・医学博士・作家

外科医・作家。湘南医療大学保健医療学部臨床教授。公衆衛生学修士、医学博士。1980年生。聖光学院中・高卒後2浪を経て、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院で研修後、大腸外科医師として計10年勤務。2017年2月から福島県高野病院院長、総合南東北病院外科医長、2021年10月から神奈川県茅ヶ崎市の湘南東部総合病院で手術の日々を送る。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、外科専門医など。モットーは「いつ死んでも後悔するように生きる」。著書は「医者の本音」、小説「泣くな研修医」シリーズなど。Yahoo!ニュース個人では計4回のMost Valuable Article賞を受賞。

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