外出自粛ならではのプレゼント Bリーグ・チアリーダーのオンとオフを覗き見できるパス・ザ・ポン・バトン
新型コロナウイルスの影響によりスポーツの試合も中断してしまい、寂しい思いをしているスポーツファンは多い。
そんなスポーツファンを少しでも楽しませようと、Bリーグのチアリーダーによる『パス・ザ・ポン・バトン』が密かなブームになっている。
『パス・ザ・ポン・バトン』は、外出自粛要請で家にいることが多い、今ならではの企画。私服(多くの場合はパジャマで、化粧も薄いかスッピン)で自宅にいるチアリーダーがカメラに向けたポンポンで自分の姿を隠し、ポンポンをどけるとユニフォーム姿に着替えた姿に早変わりしているもの。次のチアリーダーにバトン代わりのポンポンを投げると、ポンポンを受け取った次のチアリーダーが同じことをしてバトンを繋げていく。
元々は外出禁止令が出ているアメリカで、自宅でお化粧をばっちりしてオシャレをして外に出ていく機会が失われた気晴らしをするために、素顔から一瞬の間にドレスアップした姿をリレー方式に編集して、インスタグラムなどのSNSにアップしたのが始まり。最初にこの動画をアップした女子大学生のグループがBGMに使用した曲が「Don't Rush」だったので、『Don't Rush Challenge』と呼ばれて広がった。
そのチアリーダー版が『Pass the Pom Challenge』で、チアリーダーの必須アイテムであるポンポンがキー・アイテムとなっている。
ファンにとって嬉しいのは、普段は見ることができないチアリーダーの素の姿を見ることができること。『パス・ザ・ポン・バトン』を見て、元気をもらったという声もファンから多く挙がっている。
ここではツイッターで見ることができる『パス・ザ・ポン・バトン』を紹介していくが、インスタグラムではもっと多くのチームが挑戦しているので、『#PassThePomChallenge』のハッシュタグで検索してみると、Bリーグのチアリーダーから元気を貰え、お家で過ごし時間が楽しくなる。
バンビシャス奈良
BamVenus:「ブースターの皆さんに笑顔を届けようと『Pass the Pom Challenge』に挑戦しました!チアリーダーとしてなにかできることがあるはずとまだまだ模索中です!(撮影で大変だったのは)動画では私服からユニフォームへ着替えをしますが、私服やチームのTシャツをメンバーそれぞれが自分なりに考えてコーディネートしたところです」とのメッセージを寄せてくれたのはディレクター兼メンバーの原田聖代さん。過去には単身渡米してNFLのダラス・カウボーイズのダンスチームのトレーニング・キャンプ・メンバーになったり、NBAのマイアミ・ヒート・ダンサーのセミファイナリストにもなった原田さんはアメリカのチアリーダーの流行にも敏感で、アメリカと日本の良いところを混ぜながら地域に愛されるチームを作り上げている。
ライジングゼファー福岡
RsunZ:「シーズン中断、チームの活動休止、外出自粛とこのような状況の中、私たちライジングゼファーフクオカのオフィシャルチアリーダーに出来ることは何かないか?と考えていました。RsunZの普段とのギャップの大きさを楽しんでいただき、私たちの元気な姿で皆様に少しでも笑顔を届けたいと思い作成しました。撮影は各メンバーが自宅で行いましたが、ポンの渡す方向が繋がらずに撮り直して貰った子もいます。私も見たことのない地味な姿や眼鏡率の多さに笑わせて貰いました。動画を作成していくにつれ、私自身もたくさん元気を貰いみんなに会いたくなりました。多くの方にこの動画を通して、笑顔や元気が届けることが出来ればと思います」とチーム、メンバー、ブースター愛に溢れたコメントをくれたのはディレクターのAZUさん。チームと一緒に何度も苦しい状況を抜け出してきたRsunZは、コロナ禍の辛い状況でも笑顔と一緒に元気を届けてくれる。
滋賀レイクスターズ
レイクスチアリーダーズ:「コロナの関係でスポーツ・エンターテイメントも活動自粛になりチアリーダーとして自分たちに出来ることを考え皆さんに少しでも元気や笑顔を届けるきっかけになればと思い参加しました。撮影では出来るだけオンとオフを出すこと、メンバーの個性をアピール出来ればと考えていました。オフの時もチーム愛を忘れない思いを持ってオフの私服もレイクス仕様になっている点に注目して下さい」と川中尚子ディレクターは語る。
高校時代にケビン・デュラントとチームメートとして全米ランキング1位のモントロス・クリスチャン高校でプレーして、NCAAディビジョン1のポートランド大学でもチーム・キャプテンを務めた伊藤大司が寝起き姿からユニフォーム姿に早着替えするバトン動画を選手間で始め、チアリーダーもそれに続いた。また、レイクスチアリーダーズはポンポンの代わりに化粧ブラシを使った『PassTheBrushChallenge』の動画にも挑戦しており、こちらもファンの間で好評を得ている。
仙台89ers
89ERSチアーズ:「インスタグラムを通じて個人、チーム問わず国内外で様々なバトンが行われていることは存じ上げていましたし、私もバトンを回していただき『#powerfulldancephotochallenge』や『#gamefacechallenge』に参加しました。Bリーグは2019-20シーズン途中での終了が発表となり、89ERSチアーズとしてどんなことが発信できるのか?メンバーのモチベーションを保つにはどうしたらいいか?と考えている際に、他チームの『Pass the Pom Challenge』動画を拝見し、見入ってしまいました。自然と笑顔になりましたし、いつもチームを応援してくださるブースターの皆さまに画面を通じて元気をお届けすることは今私達にもできることだと感じました。しばらく会えていないメンバーや球団職員からもやりたい!やってほしい!と声が上がったことも嬉しかったです」と参戦した理由を説明してくれたのは89ERSチアーズの佐藤綾音ディレクター。
「『実はある順番にメンバーを繋いでいます!』とインスタグラムでクイズを出したところ、すぐに正解した方が結構いらっしゃいました。答えは身長順だったのですが、いつも見てくださっている皆さんにはかなり簡単だったようです…。撮影はそれぞれ自宅で行ってもらいました。家族と住んでいるメンバーもいれば、一人暮らしのメンバーもいたりと環境は様々ですが協力してくれたメンバー、ご家族には感謝しています。メンバーからは、『自宅での撮影時、どうしても愛犬が入ってきてしまい何度も撮り直した』、『撮影した後お風呂に入り寝ようと布団に入ってから動画を見返すと、ポンポンを受け取る向きが逆だったことに気付き…着替えて、自分で投げてみても上手くいかず…夜中に母を起こしポンポンを投げてもらった』などの撮影エピソードを聞きました!13名のメンバーがいますが、繋ぎ方の相談を前後のメンバーとオンラインで話し合っていた為普段集まって撮影をするよりもタイムラグが生じたり、同じ動きに見えないよう工夫するのが大変でした。編集は初心者のディレクターですが、この動画は編集点がある分パフォーマンスの動画よりも繋ぎやすかったです。インスタグラムで他のパフォーマンス動画も公開していきますので編集技術はまだまだですがご覧いただけると嬉しいです…(笑)」との撮影秘話を教えてもらった。
「2019-20シーズンも仙台89ERS、また89ERSチアーズへのあたたかい黄援(*)ありがとうございました。ブースターの皆さまに直接感謝の気持ちをお伝えできず大変残念ですが、私達チアーズは89ERSと共に前進していきます。ツイッターやインスタグラムの更新はまだ続きますのでぜひチェックしてくださいね!一日も早くまた笑顔でお会いできる日が来ることを願っています」
*89ERSのチームカラーは黄色なので、応援ではなく黄援という。
サンロッカーズ渋谷
サンロッカーガールズ:「試合は2月2日の琉球戦、練習は2月中旬を最後に活動をストップせざるを得ない状況になりました。完結できないままシーズンが終わり、気持ちを消化するまで少し時間が必要で、それはメンバー達も同じでした。当たり前のように毎週試合、練習、地域活動で会っていたメンバー達と会えなくなり、実は私が1番サンロッカーガールズ ロスだったのかもしれないです。全員でリモートでも繋がりを感じられる事を形にできないか…と模索していました。そんな時にNBAチームのSNSでこのバトンを見て、スイッチオンのチアリーダー達の華やかさ、beforeのユーモアを見て、これだ!!とすぐにメンバー達にアクションを起こしました」と語る石井尚子ディレクターは、NBAのオクラホマシティ・サンダーでチアリーダーとして活動経験を持つ。そんな石井ディレクターの下で活動したいとサンロッカーガールズに加わるメンバーも少なくない。
「ポンポンでバトンを繋ぐのが基本ルールですが、サンロッカーガールズらしいユーモアも欲しいと思いました。繋ぐ方法をチームと関連があるものでアレンジOKとし、衣装は10パターン組み合わせました。撮影はもちろん個人で実施しており、前後のメンバー同士以外は他のメンバーは何をやっているのか、完成までお互いシークレットだったので私たち自身も楽しみながらできました。1人目がポンポンを豪速球でパスしていて、スタートから個性が炸裂(笑)。どうなって行くの?とハラハラしましたが、メンバー達がアイディアを出し合い、楽しみながら繋ぐ…まさに今シーズンのチームスローガンの『結』を形にしたパフォーマンスになりました!」とチームスローガンを体現した動画は3万回近く再生されている。
「オフの部分はなかなかファンの皆さんには御見せできない部分ですので、楽しんでいただけたのではないかな!と思います。私もメンバー達の元気な姿を見て、今は踏ん張って元気だしていこう!と涙が出てしまいました。私たちも日々「#StayHome」をしていて、また皆さんとアリーナで会える日までkeep smileしていこう!という気持ちをお伝えしたかったです!その気持ちも伝わっていたら幸いです。第二段のダンスバトンも先日SNSで配信しました。こちらも楽しんでいただけたら嬉しいです!」と石井ディレクターがアピールするダンスバトンでもメンバーたちが自宅で踊る姿を観られる。
もっと多くのチームに広がって欲しいポン・バトンの輪
ツイッターやインスタグラムでこれらのチームの『パス・ザ・ポン・バトン』動画を観た日本全国のブースターからは、自分たちが応援するチームのチアリーダーにもポン・バトンをやって欲しいとの声が数多く出ている。Bリーグだけでなく、Xリーグ(Xリーグではアサヒ飲料クラブチャレンジャースが参戦)やJリーグ、プロ野球のチアリーダーたちも参加してくれれば、スポーツの試合がなくて元気を失っているスポーツファンの顔に笑顔が戻るはずだ。