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プロ0発男がなぜサヨナラ弾を打てたのか?ホークス藤井、飯田両コーチからの金言

田尻耕太郎スポーツライター
プロ初アーチがサヨナラ弾!「ホームランは高校1年以来」

「練習でも柵越えはなかった」

「打った瞬間に外野(の頭の上)は超えると思いましたが、まさか入るとは思いませんでした…。あの飛距離は自分でも驚いています」

 8月30日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(タマホームスタジアム筑後)で同点の9回に劇的なサヨナラ本塁打を放ったソフトバンクの曽根海成は、喜びの輪が解けると信じられないと言った表情を浮かべていた。

構えが変わった
構えが変わった

 プロ4年目の小柄な内野手。本塁打を放ったのはプロになって初めてだった。

「高校時代も通算1本塁打です。高1の練習試合で打って以来のホームランでした(笑)。今だって打撃練習を見てもらえれば分かると思いますが、柵越えなんてほとんどない。たぶん通算で10本くらいだったと思いますよ」

飯田コーチの助言「初めからトップを」

練習中、飯田コーチ(右)と会話も
練習中、飯田コーチ(右)と会話も

 その男が、どうして劇的一発を放つことが出来たのか。

「前の日のアーリーワークでまず飯田コーチからアドバイスを頂き、構えを変えたんです」

 飯田哲也2軍打撃コーチからの助言で、それまで頭に近い位置でバットを構えていたが、初めからトップを作るように引いて構えるようになった。まるで弓を引くように。その方が大きな力を放出しやすくなる。

藤井コーチの助言「体のルール」

「そして藤井コーチからは構えるまでのルーティーンを教わりました」

 藤井康雄2軍打撃コーチは「4スタンス理論」に造詣が深く、それを参考に選手にアドバイスを送ることが多い。自分の持つ力をより発揮するために“正しく立つ”こと。

 まず体(軸)の正面にバットを出す。藤井コーチいわく「それをすることで、構えて振りに行った時にも、また同じ場所にバットは戻ってくる」。それが体のルールということらしい。体の正面、つまり鼻先の延長戦が最も力の入る部分だ。たとえ“前さばき”になったとしても、そう見えるだけで体の軸の正面であることに変わりはない。

曽根は2人のコーチの言葉を素直に取り入れて試合に臨み、そして打ったのだ。

「藤井コーチと飯田コーチのおかげです。本当に感謝です」

 足を守備、肩の強さには定評があるだけに打撃力向上が一軍定着、そしてレギュラーを勝ちとっていくためのテーマだ。ホームラン打者を目指すわけではないが、自信の取り組みがすぐに好結果につながった自信は、曽根がさらに飛躍するきっかけとなるだろう。

 また、藤井コーチも飯田コーチは1軍での指導経験も豊富。将来の有望株たちをまた今後もどのような形で引き上げていくのか注目したいところだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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