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EURO2024。優勝したスペインをヨハン・クライフは天国から絶賛しているに違いない

杉山茂樹スポーツライター
写真:Shigeki SUGIYAMA

 ユーロ2008、2010年W杯、ユーロ2012とスペインはこの4年間で3度、ビッグ大会を制している。ユーロを連覇し、その中間年に行われたW杯でも優勝したチームはスペインしか存在しない。当時のスペインは強いチャンピオンだった。しかし筆者の見立てでは、今回のスペインの方が10数年前のチームより上で、なにより好チーム度で上回った。筆者にはスペイン史上最高のチームに映った。

 従来の中盤サッカーにウイングサッカーが加味され、総合的なバランスが整った。ロドリ、ファビアン・ルイス、ダニ・オルモ(ペドリ)の中盤もよかったが、ニコ・ウイリアムズとラミン・ヤマルの両ウイングもよかった。内もよければ外もよし、だった。展開がいっそう美しくなり、見栄えも増した。サッカーの理想を見た気がした。

 他方、よいサッカー、きれいなサッカーをしても結果を出さなければ意味はないと、よいサッカーを軽視する人を特に日本でよく見かける。監督やその予備軍であるテレビ解説者の言葉を聞いていると、指導者に結果至上主義者が多いことを実感する。

 よいサッカー、きれいなサッカー、見栄えのいい等々は、極めて感覚的な言い回しだが、サッカー評論が成熟した欧州で「いま欧州で一番いいサッカーをしているチームは○○だ」は、よく耳にする言い回しだ。2000年代初頭のセルタ・デビーゴ、1998年フランスW杯のオランダ代表、最近では数年前のナポリ等々が想起される。

 1998年のオランダがそうだったように、優勝したわけではない。準決勝でブラジルに延長PKで敗れている。運がなかったと言えばそれまでだが強力なチームと言うより好チームだった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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