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4-3-3ほぼ1本で戦う大岩ジャパン。森保監督の言説によれば賢く、したたかではないとなる。はて?

杉山茂樹スポーツライター
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 100%そうあってはいけない。引いた目が必要だと思いつつも、気がつけば日本贔屓になっているオリンピック。「ニッポン!」と叫ぶことができる団体戦は、個人種目より万人受けしやすいはずで、球技の団体種目にとっては人気を獲得する絶好のチャンスになる。

 なでしこジャパンの選手たちが、結果を残さなければ日本の女子サッカーの将来は危ういと、使命感を露わに臨む気持ちはよく分かる。普段、女子サッカーを見ない人にまでアピールするためには、五輪の舞台でメダルという分かりやすい結果を残すことが必要だと考えるのは当然だろう。

 しかし前回のこの欄でも触れたとおり、なでしこジャパンのサッカーは年々、守備的になっている。結果を求める余り娯楽性が低下している。これは監督采配に起因するもので選手に責任はないが、この勝利をなによりも最優先する結果至上主義、勝利至上主義は、結果を出せなかったとき何も残らないことを忘れてはならない。

 その象徴が日本のオリンピック報道だ。行きすぎたメダル至上主義とはこのことで、それが選手たちに悲壮感を背負わす結果になっている。なでしこジャパンの選手たちが口にする使命感も、別の価値観を提示できないオリンピック報道と深い関係がある。

 どっちが強い。これがスポーツを語る上での大きな尺度になるが、サッカーには、どっちが面白いという尺度もある。そのサッカーは面白いか面白くないかという視点だ。他の競技には珍しい、まさに非オリンピック的な視点である。

 男子の大岩ジャパンは十分、面白い分野に属すると筆者は見る。賛同者は多いものと推測される。日本のサッカー界のみならず日本のスポーツ界にとっても画期的な存在だ。パリオリンピックの舞台でも異彩を放つことができている。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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