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エンジェルスが3年3900万ドルで手に入れた先発投手は「本物」なのか。今年は防御率2.57だが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・アンダーソン Oct 2, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスが、ローテーションに新たな投手を加えた。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンらが、タイラー・アンダーソンとの契約合意を報じている。MLB.comのマーク・フェインサンドによると、契約は3年3900万ドルだという。

 今シーズン、アンダーソンは、ロサンゼルス・ドジャースで178.2イニングを投げ、ナ・リーグ5位の防御率2.57と9位のFIP3.31を記録した。6月15日には、9回表の1死から大谷翔平に三塁打を打たれるまで、エンジェルスを無安打に封じた。その数日後、7回表の2死からのエラーが内野安打に変更されたが、快投であることに変わりはない。

 それまで、防御率3.00未満のシーズンは、一度もなかった。メジャーリーグ1年目の2016年は114.1イニングで防御率3.54を記録したが、その後の5シーズンはいずれも4.35を超えた。昨シーズンは、ピッツバーグ・パイレーツとシアトル・マリナーズの計167.0イニングで防御率4.53。マリナーズへ移ってからの63.2イニングは、防御率4.81だった。

 また、今シーズンのスタッツは、与四球率もナ・リーグ4位の1.71――1.71のダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)と1.73のマイルズ・マイコラス(セントルイス・カーディナルス)の間――と優秀ながら、奪三振率6.95はワースト4位――ワースト3位はマイコラスの6.81――だ。来シーズンの年齢は33歳。来月、誕生日を迎える。

 ただ、ドラフト順位は、2011年の全体20位だ。32歳にしてようやく資質を開花させた、という見方もできる。鍵となったのは、右打者に多投するチェンジアップのようだ。スタットキャストによると、昨シーズンまでと比べて、今シーズンは落差が大きくなっている。もともと、奪三振率は高くなく、基本的には打たせて取るタイプだ。

 今シーズンの防御率は出来すぎにしても、3点台前半あるいは3点台半ばの防御率なら期待できそうな気がする。そうなれば、年平均1300万ドルの契約は、決して高くない。むしろ、安い。ちなみに、今シーズン、与四球率と奪三振率のどちらもアンダーソンと近かったマイコラスは、防御率3.29を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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