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49歳。離婚後の休日はNetflix見放題。今、哀しいくらい自由です~40歳からの婚活入門(40)~

大宮冬洋フリーライター
のんびりとした時間が好き。自由を謳歌しつつ寂しさを抱えています。(筆者撮影)

 40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。

***小川智美さん(仮名、49歳)の話***

毎日終電帰りだったあの頃。週末はぐったり寝ていたら、元気な夫が不満を募らせた

 3年前に離婚しました。最初の1年ほどは元夫との楽しかったことばかりを思い出してしまっていたんです。寂しくて仕方なくて、しょっちゅう実家に帰っていました。80歳を過ぎても元気でいてくれる両親には深く感謝しています。

 7歳下の元夫と結婚したのは36歳のときです。私たちは同じ会社に勤めています。彼は2年後に関西支社に異動になったのでそれからは週末婚をしていました。

 毎週、欠かさずに東京に帰って来てくれた彼は若くて元気な人でした。仕事にも遊びにもアクティブ。自分が何でもできるので、他人もできるはずと思い込んでいるタイプです。夫婦であっても男女平等で、頼りたくもないし頼られたくもないと思っていたようです。

 私たちが所属しているのはいわゆる大企業の系列会社です。2011年に私は親会社に出向することになりました。その職場がすごく忙しくて、毎日終電で帰るような毎日になったんです。私はとても疲れてしまい、土日はずっと寝ていたかった。でも、仕事もできて体力もある彼には理解できず、「せっかく家に帰って来ているのに、どうして寝てばかりなのか。何も一緒に楽しめない」と不満を募らせるようになりました。

 無理して働き続けたら、体が震えて出社できないようになってしまいました。いわゆる適応障害です。1年半、会社を休んだら回復しましたが、最初の3カ月間はとにかく体がだるくて寝てばかりでしたね。そのときに支えてくれたのは実家の両親で、元夫ではありません。むしろ彼からはモラハラをされるようになってしまいました。ひどく怒鳴られたり、1カ月も無視されたり……。怖かったし悲しかったです。1年間の別居後に離婚しました。その後、彼は再婚をしたようです。

独身サークルの40代男性は「普通」じゃない。余裕がある人でないと私は好きになれません

 最近は、穏やかな生活を過ごせています。親会社からもとの会社に戻り、残業なしで働けています。6時半に起きて会社に行き、18時までには退社できる毎日です。職場の雰囲気は良くも悪くも個人主義。朝の挨拶ぐらいはしますけど、仕事中はお互いにまったく会話がありません。近くに座っている人に何も言わずにメールするような雰囲気です。私は口頭でも説明したいのですが……。コミュニケーションが下手で暗い感じの人が多いんです。

 家の近くに、一杯ひっかけることができるビアバーを見つけました。お店の人や常連さんに顔を覚えてもらったので、軽く飲みながら会話することもできます。今では行きつけです。夜、会社から家に戻る前にワンクッションあると気持ちが落ち着きます。

 休みの日は、昼からビールを飲みながら延々とNetflixを楽しんでいたりします。誰にも何にも言われませんから。今が人生で一番、伸び伸びとしているかもしれません。哀しいくらい自由だな、と思います。

 このままじゃいけないと思って、独身サークルに入って婚活をしたこともあります。でも、40代の未婚男性は普通じゃない人が多いんですね。まったく目を合わせてくれないとか、私から話を振り続けない限り会話が続かないとか……。色気というか余裕がない人は好きになれない自分に気づきました。

 将来の不安はあります。定年後、親を見送った後に一人きりでどうしよう、とか思いますね。だからと言って、「誰でもいいので結婚したい」という考えにはなりません。

 ビアバーにも独身の客はいます。私からすると子ども世代ぐらいの若い子もいますけれど、一緒に楽しく飲んでいますよ。先日、バツイチの35歳男性と連絡先を交換しました。恋愛に発展するとは思えないけれど、ちょっと嬉しい出来事です。

取材場所は東京・西荻窪の喫茶店「ダンテ」。ビール党の小川さんはコーヒーも好きなようです。(筆者撮影)
取材場所は東京・西荻窪の喫茶店「ダンテ」。ビール党の小川さんはコーヒーも好きなようです。(筆者撮影)

***筆者より小川さんへ***

弱ったときは支え合えること、元気なときは晩酌を一緒に楽しめること

 離婚して寂しいと感じるのは、たわいもない話をしながら晩酌できる相手がいないから――。穏やかな笑みを絶やさず、ゆっくりと切々と語る小川さん。昼下がりの喫茶店でコーヒーを飲んでいるのに、一緒に酒を飲み交わしているような気分になりました。

 かなしいくらい自由、という表現もいいですね。取材後、律儀な小川さんから「竹内まりや『マンハッタンキス』の歌詞でした。念のため」というメールが来ました。いろんな人生経験をすると、ことわざや歌詞などが身に染みてわかることってありますよね。僕の場合は、前妻との別居直前に冷たいソファでふて寝していたらぎっくり腰になり、「泣きっ面に蜂」ということわざをしみじみと理解した思い出があります。

 男性の余裕と色気について一言。多くの場合、それらは仕事やお金と密接な関係があると思います。真剣に取り組める仕事があり、成果も出して周囲から認められて収入も上がると、特に男性は自信を深め、積極的かつおおらかになったりします。余裕と色気ですね。当然、周りの女性が放っておくはずはありません。その男性より10歳ぐらい年下の若い女性とも競合すると考えるのが妥当でしょう。

 では、どうすればいいのでしょうか。僕がおすすめするのは、失敗から学びながら自分だけの理想の相手を見つけることです。小川さんの場合、どんなに余裕があって魅力的な男性でも弱い人への理解がないとNGですよね。育ちも良くて挫折経験の少ないエリート男性にはそのようなタイプが少なくないので注意してください。逆に、会話がそれほど上手ではなくても、周囲への気遣いはできてお酒や食事を楽しめる男性は大いに有望ではないでしょうか。

 弱ったときは支え合えること、元気なときは晩酌を一緒に楽しめること。この2点に絞って婚活をし直してみるのもありなのかな、と思います。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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