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常識を侵食する新色!!異次元の輝きを放つクオバディスの日本専用システム手帳バインダーを選ぶ意味とは?

舘神龍彦デジアナリスト・手帳評論家・歌手

 システム手帳の色と言えば、かつては黒や茶。それも革のものというのが決まりでした。いや、決まりはありません。ですが、1980年代後半のブームの時代には、そういうものが主流だったことは間違いありません。
 そして、最近のシステム手帳の盛り上がりの中心にいるのは、どうやら女性です。
 ビジネスパーソン向けだった商品が、ターゲットを女性にしたことで息を吹き返した。私は現時点でのシステム手帳の復調の一因をそんなふうに分析しています。
 そのためか、各社から新登場するバインダーも中間色やパステルカラーなど、かつてよりも華やかで鮮やかなものが目に見えて増えてきました。
 そして今回クオバディス・ジャパンの発表会で見つけたこの新色こそ、現在の日本のシステム手帳の市場、いや文具の市場の豊穣さを味わうために選ぶべきアイテムではないかと思います。

 こんにちは。デジアナリスト・手帳評論家の舘神龍彦(たてがみたつひこ)です。
 今回は、クオバディス・ジャパンの発表会で見つけた恐ろしくカラフルなバインダーを紹介します。

「L ZIP」バインダーとは

 まずこのバインダーの名前は、「L ZIP COVER」。
 このYahooJapanクリエイターズプログラムで、以前も紹介したクオバディス製のシステム手帳バインダーです。その特徴は、同社らしいスクエアなプロポーション。
 そして、ジップラウンド構造ながら、上方があいているところです。普通のジップラウンドタイプ(バインダーの外周にファスナーがあり、密封できる構造のもの)とはことなり、閉じた状態でもなにかを差し込んだり、また、取り出したりできます。
 プロポーションが特異なこともあって、普通のシステム手帳バインダーとはちょっと違う佇まいなのも特徴です。
 ちなみに、このシリーズ自体は2018年秋から日本市場向けに企画されたものです。つまり日本でしか手に入らないのです。

 そして2022-2023のコレクションとして新登場したのが、「スパークリングパステル」です。

その名も「スパークリング・パステル」

スパークリングパステルのバインダー。メタリックグリーン、メタリックブルー、メタリックピンクの各色
スパークリングパステルのバインダー。メタリックグリーン、メタリックブルー、メタリックピンクの各色

 その特徴は、なんといってもこの色でしょう。表面にシボのある本革の色は3色。どれも、まるでカラフルな甲虫(とはいえ玉虫色というほどめまぐるしくもない)を思わせる複雑な光沢をまとっています。金具は金メッキのクラウゼ、ファスナーはYKKのエクセラです。本当にキラキラしていて、その存在感は、文具っぽい地味さとは無縁です。
 上述のように日本市場専用のものではありますが、海外製品らしい華やかさと上品さは備わっています。ですが、例えばビジネスシーンで使っていたら良くも悪くも目立つであろう事は想像に難くありません。さらにいえば、とくに男性が使う場合は、いろいろなニュアンスをまとった他者からの視線を、受け流すだけのメンタル的体力の動員の必要性もありそうです。

日本の文具市場の豊穣さを味わう

 ともあれ、これが文具、いやシステム手帳というドメインの中に存在するのは、一種の奇跡みたいに思えます。

Timer14。いわゆるミニ6穴サイズ。クオバディスらしいスクェアなプロポーションと、上が開いた構造が特徴
Timer14。いわゆるミニ6穴サイズ。クオバディスらしいスクェアなプロポーションと、上が開いた構造が特徴

 このプロポーションや色が、システム手帳というカテゴリーっぽくない。
 これこそがこのバインダーの最大の魅力ではないでしょうか。
 同社には、L ZIPのバインダーがこれ以外にもあります。オーソドックスなブラウンやグレージュのもの、はやりのくすみパステル、そしてチャーミングなブランド「パピエティグル」とのコラボアイテムもあります。
 ただ、今このタイプを選ぶなら、このスパークリングパステルに飛び込みたい!
 その理由はひとつしかありません。
 それは、日本の文具市場の豊穣さを身をもって味わうためです。そしてこのアイテムが持つ存在感と違和感を引き受けることです。
 これだけだと何のことか分からないので、詳しく説明しましょう。
 日本の文具市場には、内外の製品が一堂に会しています。
 文具に関するこの状況の結果として、このバインダーは日本市場(のみ)に投入されています。つまり、このバインダーのこの色を選ぶことは、日本の豊穣な文具の市場を味わい尽くす手段のひとつだと思えるからです。
 数多くの選択肢の中から、一番特異なものをチョイスして使う。
 それは、そのアイテムを選択した人がその広さを把握し、その広汎な領域の最先端まで行ったことを暗示します。
 さらにそれを単に情報としてでなく、きちんと大枚はたいて自らの手元に置く。
 財布を開いたりポチるときは一瞬です。ただし、日々の中で常用するときには、自らの行為に対する内省や、他者からの視線・発言を受け止めることになります。それを考えるとこのバインダーを選ぶことは、一種勇気が必要とされる行為ともいえます。

日常に違和感をもたらし常識を問い直すバインダー


 ただしかし、その勇気を振り絞った先に、最先端のものを持つものだけが見える風景があるのではないかと思えます。
 それはオーソドックスなスーツとドレスシャツに、派手なネクタイを組み合わせてVゾーンを演出することに似ているかもしれません。
 日常に違和感をもたらすことで、自らとその環境が持っているムード、雰囲気、温度、空気、常識を問い直す。この色のバインダーの真価はそこにあるのではないかと考えています。 

Timer17。いわゆるバイブルサイズ。同社製バーチカル式リフィルのみ、予定記入用リフィルはバイブルサイズよりも横幅がちょっと広い。クラウゼ製の金の金具がこれほどにあうバインダーも珍しい。
Timer17。いわゆるバイブルサイズ。同社製バーチカル式リフィルのみ、予定記入用リフィルはバイブルサイズよりも横幅がちょっと広い。クラウゼ製の金の金具がこれほどにあうバインダーも珍しい。

 L ZIP COVER スパークリングパステル

 タイプ
 Timer14(ミニ6穴サイズ) 各色 17600円(税込み)
 Timer16(バイブルサイズ) 各色 22000円(税込み)

 各サイズとも メタリックブルー、メタリックグリーン、メタリックピンク あり

デジアナリスト・手帳評論家・歌手

デジアナリスト・手帳評論家・歌手。著書『手帳と日本人』(NHK出版新書)は週刊誌の書評欄総ナメ。日経新聞「あとがきのあと」登場ほか大学受験の問題に2回出題。『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)等著書多数。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)「HelloWorld」(J-WAVE)はじめテレビ・ラジオ出演多数。講演等も。手帳ユーザーを集めた「手帳オフ」を2007年から開催する等トレンドセッター的存在。手帳活用の基本をまとめた「手帳音頭」をYouTubeで公開中。認知症対策プロダクト「おぼえている手帳」は経産省オレンジイノベーションプロジェクト事業採択。

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