リーグワン1部・第1節・私的ベストフィフティーン【ラグビー雑記帳】
国内リーグワンは12月21日からの2日間で第1節を実施。6試合中4試合が10点差以内と僅差のゲームが目立った。前年度の順位が似た者同士の対戦ばかりだったという側面もあるが、ファンにはシーズン全体の激戦を予感させたのではないか。
三重ホンダヒート 23—21 リコーブラックラムズ東京
静岡ブルーレヴズ 15―13 コベルコ神戸スティーラーズ
東京サントリーサンゴリアス 12―33 埼玉パナソニックワイルドナイツ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 30―27 トヨタヴェルブリッツ
三菱重工相模原ダイナボアーズ 31―19 浦安D-Rocks
横浜キヤノンイーグルス 21―28 東芝ブレイブルーパス東京
ディフェンディングチャンピオンの東芝ブレイブルーパスは、昨季4位の横浜キヤノンイーグルスに28—21で勝利。試合中のレフリングへの対応や勝負どころにおけるコンビネーションで流れを手繰り寄せた。
かたやイーグルスは前半途中までを16―0とリードも、要所でスコアを獲り損ねたのが痛かった。敗れた沢木敬介監督は「ラグビーには色んな我慢比べがある。そこでうちが負けたことが、この点差に繋がった」と話し、こう続けた。
「ラグビーの強度的なプレッシャーは(コーチが練習で)同じ設計でできる。ただ、メンタル的なプレッシャーはひとりひとりが本当に意識して取り組まないと。(重要な)場面で落ち着きを保てるか、感情をコントロールできるか。これを『経験…(の差)』とは、むちゃくちゃ悔しいから言わないけど、これが、勝てる肝だと思っている。…まだ、伸びしろがあるってことで。伸びしろに期待します」
以下、第1節の私的ベストフィフティーンを紹介する。
1,稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…スクラム、パス、突進。久々の実戦においてらしさ示した。
2,坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…タックル、スクラム、接点への絡み、セービング、防御を引き寄せて味方を走らせるパス。フル出場で献身した。
3,オペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…後半7分に投じられるや突進、チョークタックルで流れを引き寄せるひとりとなった。同時出場の紙森陽太、マルコム・マークスと最前列に並んだことで、スクラムも有利に運べた。
4,エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ)…再三のキャリー。中央突破が効いた。後半26分頃、ノーサイド直前と、苦しい時間帯にビッグタックルを重ねた。
5,ブロディ・レタリック(コベルコ神戸スティーラーズ)…雨天下にあってひたすら地を這った。後半11分には自陣ゴール前でターンオーバー。防御を引きずる走りも披露した。
6,ビリー・ハーモン(横浜キヤノンイーグルス)…危険地帯への先回り、相手ボールラインアウトとそのデリバリーへのプレッシャー。
7,ラクラン・ボーシェー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…タックル、ターンオーバー。後半19分には自陣ゴール前で球をもぎ取った。コンビを組んだベン・ガンターも強烈な絡みとタックルが光った。ジャック・コーネルセンは高低のタックル、キャリー、ラインアウトが出色の出来。
8,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…再三のジャッカル。後半20分以降の厳しい時間帯にも2本、成功させた。
9,TJペレナラ(リコーブラックラムズ東京)…トライを防ぐカバーリング、相手防御の死角へオーバーラップした味方を走らせるパス。
10,リッチー・モウンガ(東芝ブレイブルーパス東京)…2度のトライセーブ、自陣からバックスペースの穴場を突くキック。得点に繋がる走りもあった。
11,木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…強烈なキャリーを重ねた。後半開始早々には、自陣22メートル線エリア左でタックルするや起立。カウンターラックを決めた。
12,ダミアン・デアレンデ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…タックル、接点への身体の差し込みで向こうのテンポを鈍らせた。攻めてはためを作りながら前に出て、周囲を活かす。
13,リカス・プレトリアス(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…アウトサイドのラインブレイクが際立った。鋭い出足のタックル。
14,ヴィリアメ・タカヤワ(横浜キヤノンイーグルス)…迫る走者やハイボールの捕球役に強烈なタックル。何度もパスをもらう意識と推進力。前半14分のファフ・デクラークのトライ時は、まず中盤からデクラークが蹴った球を追いかけてキャッチ。サポートに着く味方へ繋ぎ、件のフィニッシュを引き出した。
15,カートリー・アレンゼ(三菱重工相模原ダイナボアーズ)…ランニングスピード。国内公式戦デビューで貴重な勝ち越しトライ。