NGT48 デビュー2年目の春、大きな変革の時、メンバーは何を想う?
4月14日、朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターで卒業コンサートを行なった、NGT48キャプテン北原里英が参加した最後のシングル「春はどこから来るのか?」(4月11日発売)が、CDランキングの1位を獲得。本間日陽が初のセンターを務め、研究生(リリース当時)を含む1期生全員が選抜メンバーとなっていることでも話題のこのシングル。メジャーデビューから1年が経ち、グループがどう変わったのか、そして精神的支柱・北原を送りだした今、NGT48はどう変わっていこうとしているのかを、本間、荻野由佳、そして最年少メンバーの小熊倫実の3人に聞いた(取材日は4月2日)。
「あっという間の一年。全てが勉強で、アイドルとしてひと皮むける事ができたのでは、と思っています」(本間)
――デビューから1年経ちました。
本間 あっという間でした。デビューして、「総選挙」(「AKB48シングル選抜総選挙」)という転機もあり、個人的にもすごく忙しい毎日を送らせていただきました。初めての事ばかりだったので、全てが勉強で、アイドルとしてひと皮むける事ができたのでは、と思っています。そしてそのタイミングで、今回「春は~」でセンターをやらせていただくことができて、嬉しいです。
小熊 私もあっという間の一年でした。自分の中で一番大きかったのは、2ndシングル「世界はどこまで青空なのか?」のカップリング曲、「大人になる前に」で、初めてセンターをやらせていただいた事です。そして初めてソログラビア(「Platinum FLASH」)もやらせていただき、色々な経験ができた一年でした。
荻野 私は圧倒的に短く感じました。それくらい濃い、充実した1日1日を過ごせていたんだなと思います。私自身も、(本間)日陽も言っていた通り、総選挙で初めて選抜に入る事ができて、「世界は~」でセンターも務めさせていただいたり、今までの自分だったら想像もできなかった事が、次々と起こった一年でした。
本間 (北原)里英さんともこの話をして、里英さんは「盛りだくさんで、中身が濃すぎて三年くらいの長さに感じる」って言っていたので、それくらいNGT48は充実した一年を送る事ができたのだと思います。
「一人ひとりのキャラが確立してきた」(荻野)
「一人ひとりが目指す場所を持ってるので、全員のプロ意識が強くなっている」(本間)
――本間さんは「春は~」で、シングル曲で初のセンターを務めています。プレッシャーを感じますか?
本間 周りはそんなに気負わなくていいよって思うかもしれないですけど、自分から気負ってしまうというか。今回のシングルをテレビで歌ったのは今のところまだ一回で、その時はあまり緊張せずに歌えたのですが、1stシングル「青春時計」のカップリング曲「純情よろしく」で、センターをやらせていただいた時、テレビ収録で本当に緊張してしまって、カメラの前でセンターを張るというプレッシャーがすごくて、その時にセンターってこういう重みのある場所なんだと感じました。
――NGT48が一年前と一番変わったと感じる部分はどこですか?
荻野 毎日一緒にいすぎて逆に感じなかったりもしますが、例えば劇場公演のMC担当は以前は日替わりだったのが、最近は佐藤杏樹で定着してきたり、一人ひとりのキャラが確立してきたというのは感じています。
本間 (荻野)由佳ちゃんと(中井)りかちゃんは事務所に入ったりの移籍があったり、一人ひとりの環境と状況が変わってきていて、目指す場所もそれぞれが持っているので、全員のプロ意識が強くなっていると思います。
「「春は~」はシングル曲としては初めてイントロがあって新鮮で、王道のアイドルソング」(小熊)
――1月に行われた『AKB48グループリクエストアワー セットリストベスト100 2018』では、「世界はどこまで青空なのか?」が1位を獲得するなど、NGT48の作品が全曲ランクインし、改めてNGT48はいい曲が揃っているという印象がありますが、今回の「春は~」も聴いた時の第一印象を教えて下さい。
本間 私はイントロを聴いた時に、NGT48らしいなって感じました。メロディの感じとか、“楽器感”というか、バンドサウンドっぽいというか。
荻野 由佳もそれ思った。
本間 そういう感じがNGT48の表題曲は多いと思います。この曲にもNGT48らしい爽やかさを感じたので、24人全員で歌えるのが楽しみで、ワクワクしました。
小熊 私は最初「イントロがある!」って思いました。今までのシングルは、歌い出し、セリフから始まっていたので、イントロがあるというのが新しいです。それと明るい王道のアイドルソングって感じがしました。
「「春は~」は、NGT48はこれからもっともっと上に行けるよ、というメッセージが歌詞に込められていると思う」(荻野)
――徐々に盛り上がってきて、サビでスパークする感じですよね。
荻野 めっちゃ楽しいです、踊ってて。サビに向かってだんだん盛り上がっていくんですけど、歌詞も、総選挙とかリクアワとか色々経験して、NGT48はこれからもっともっと上に行けるよっていう、メッセージも込められてるのかなって、個人的には感じていて。だから普通の爽やかな春ソングじゃない感じがしていて、この曲を歌うのがすごく楽しみだですし、実際音楽番組で歌わせていただいた時も、みんなが笑顔で楽しそうに歌っていたのですごく嬉しかったです。この曲とともに、平成30年度、新しいスタートを迎えられたので、ワクワク感でいっぱいです。
――特にここは注目して欲しいという部分を、教えて下さい。
本間 一番好きなのは、二番の<恋はどう始まるのだろう?>というところから、<見上げた桜はいつも満開だよ 気づいたら恋>のところです。誰かや何かを好きになるきっかけって、これっていう決定的な瞬間を感じる事があまりないじゃないですか。だからNGT48がこの歌詞なような存在になりたいなって思っていて。新潟県で、地域密着型でずっとやってきて、それまで48グループに興味がなかった方も、何かのきっかけでNGT48を知ってもらえたと思っています。そこから、なんだかよくわからないけど、気づいたらNGT48の事をこんなに好きになってました、みたいな、そんな存在でありたいなと思うきっかけになりました。
荻野 私も<見上げた桜はいつも満開だよ>が、すごく素敵なフレーズだなって思います。
小熊 <制服の肩に 桜の花びらが乗っていたんだ 僕がそっと指でつまみ君にあげた>、ここが一番キュンキュンするポイントです。制服、桜の花びらというキーワードが、青春って感じがすごくします。
本間 動き出した感があるもんね。ここはメロディもいいんだよね。
荻野 大好き。本当に良い。<迎えに行って僕が連れてこようか>ってところが、この曲が私達を色々なところに連れて行ってくれると感じさせてくれます。里英さんが卒業する時にこの曲を出せた事は、新しいアクションを起こして、NGT48はこれから色々なところへ進出していきたいという、想いがこめられているはずです。最後にこの歌詞を持ってくるという事は、そういうことだと思いますよ。
「「春は~」のMVは、ファンの方の中の、NGT48の概念を、いい意味で壊す事ができたと思う」(本間)
――ミュージックビデオも斬新でした。雪の新潟の街を、まるで春を探して走り回っているような感じで。
本間 監督が暴れましたね(笑)。衣装も今までのNGT48の爽やか感じとは全然違うセクシー系で、前2作のイメージを壊して今回だったので、それを作品として残せるNGT48ってすごいなって、自分が出ているのに思いました。1月末に撮影したので、春なんて絶対来ないって思うくらい寒かったです。
――しかも酷寒の中、本間さん始め、みなさん網タイツで走っていました。
本間 私はグループ内では優等生って言われることが多いので、それをいい意味で裏切る事ができたと思うので、すごく嬉しいです。
小熊 私は、生まれて初めて網タイツを履きました(笑)。
本間 私も網タイツを履いたことないから、履き方がわからなくて履く時に破っちゃいました。
荻野 このMVは、ファンの方からの反響もすごく意外で、前2作の時は、「いいね」って感じだったのに、今回はいいねの前に、何かひと言ついてきます。
本間 ファンの方の中のNGT48の概念が壊れたと思うので、こういう見せ方、やり方もできるというのを、見せる事ができたと思います。
――ジャケットも雪景色です。
小熊 春の曲なのに、ジャケットが真冬というギャップがいいと思います。
本間 まさに「春はどこから来るのか?」って感じです。
「里英さんやゆきりんさんが引っ張ってくれてここまで辿りついた。次は私達が2期生に色々な景色を見せてあげたい」(荻野)
――この記事が出る時は、もう北原さんの卒業コンサートが終わっていますが、北原さんが卒業した後、NGT48として今年は絶対これをやりたいという事を教えて下さい。
本間 私は『ミュージックステーション』に出たいです。MステはNGT48では出たことがないので、NGT48の曲をMステで披露したい。そこからの「紅白歌合戦」。去年、AKB48グループとして出させていただきましたが、やっぱり年末にあのステージに立てる喜びは大きかったので、次はNGT48みんなで出たいなってすごく思いました。
小熊 今まで(北原)里英さんとゆきりん(柏木由紀)さんを見て、たくさん学ぶ事があって。その背中を見て、ついていきました。今度は2期生が入って来ますが、2期生に自分が里英さんのように、たくさん背中を見せていけるようにならなければと思っています。
荻野 私達だけだったら、ここまで来れていないと思います。総選挙やリクアワの大舞台でも、里英さんとゆきりんさんがパフォーマンス面で引っ張ってくださったり、それ以外のとこでも牽引してくれたから、ここまでたどり着けたと思っています。里英さんも卒業されて、ゆきりんさんも兼任で忙しいと思うので、やっぱり私達1期生がひとつになって頑張って、色々な景色を、2期生に見せてあげたい。私達だけで終わらせるのではなく、この気持ちを感じてもらって、また次の後輩に見せてあげたいって思って欲しい。
そんなNGT48の新しい章の始まりが、4月13日に新潟・朱鷺メッセで行われた、新潟では初の単独コンサートになる「NGT48 単独コンサート~朱鷺は来た!新潟から全国へ!~」であり、翌14日に行われた「北原里英卒業コンサート~夢の 1115 日 新潟の女になりました!~」だ。
『NGT48 単独コンサート~朱鷺は来た!新潟から全国へ!~』(4月13日/朱鷺メッセ)
インタビューで荻野が初の単独コンサートについて「1年前はまだ真っ白で、何もない状態だった私達の、今までのストーリーをわかりやすく表現しています」と語っていたように、オープニングで、色のない桜の絵を描いている加藤美南を、本間が“色を探す旅”に連れ出す映像からスタート。この映像に、これから起きる大きなサプライズのヒントが隠されていた。「緑」「青」「赤」など、色がタイトルに入った曲や、それを想起させる衣装で、“加藤画伯”が描いた絵に色が加えられていく。完成した絵はメンバーの個性を色で表現したことを説明し、同じ色でも濃淡をつけ、キャラクターが立ったメンバーが多いNGT48を見事に表現していた。AKB48の楽曲なども織り交ぜ、オリジナル曲を次々と披露していくが、改めてNGT48の楽曲の良さが伝わってきた。そして衣装のセンスの良さ。目にも鮮やかな衣装と、メンバーが汗を飛ばしながら懸命に踊り、歌う姿は、広い会場のどこから見ても、強烈な残像として心に入ってくる。
NGT48史上初の組閣では、加藤美南がチームNIIIの新キャプテンに就任。「AKB48がやった大きなドームのステージに立ちたい、そしていつかAKB48を超えてみせたい」
そしてコンサート終盤に、研究生8人が正規メンバーに昇格する事と、グループ初の組閣が発表された。チームNIIIとチームGの2チーム体制になり、卒業する北原に代わり、チームNIIIの新キャプテンに加藤が指名された。地元・新潟出身の加藤のNGT48愛は、人一倍熱く、地元密着の活動に強い誇りを持っている。ラストナンバーは「世界はどこまで青空なのか?」。終演後まだ興奮冷めやらぬ会場に加藤の影アナが響いた。「皆さんの力がなかったらNGT48は大きくなれないと思うし、キャプテンも務まりません。私達の目標は朱鷺メッセだけではなく、AKB48がやった大きなドームのステージに立ちたい。そしてAKB48を超えてみせたいです」と声を詰まらせながらも、力強く宣言。この日の“色を探す旅”は、NGT48が一年走り続けてきたその後にできた、轍を辿る旅でもあった。白いキャンバスだったグループに、一人ひとりのキャラクター=色が少しずつ加えられ、混ざり合い、他にはない“新しい色”を作りあげた。こうして、NGT48の初代キャプテンであり、精神的支柱でもある北原里英を送り出す準備は整った―――。
『北原里英卒業コンサート~夢の1115日 新潟の女になりました!~』(4月14日/朱鷺メッセ)
4月14日。会場の朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターがある、信濃川沿いの公園の桜が散り始めていた。でもまだまだ、見た人を惹きつける美しさを湛えていた――『北原里英卒業コンサート~夢の1115日 新潟の女になりました!~』は、2015年3月26日から初代キャプテンとして、1115日間NGT48を引っ張ってきた北原里英が、10年間在籍してきたAKB48グループから卒業する晴れ舞台。その、自身の晴れ舞台のセットリストや、ユニット曲のメンバーは、北原本人が決めた。「10年のアイドル人生で最高の1日にしたいと思います!」との言葉通り、序盤は10年間のAKB48人生を振り返る内容で、所属したチームBやチームK、派生ユニットのNotyetやチームサプライズ、兼任をしていたSKE48の楽曲と、北原にしかできないセットリストで、ファンを喜ばせた。指原莉乃やAKB48総監督・横山由依、向井地美音、峰岸みなみ、大家志津香、宮崎美穂ら、姉妹グループのメンバーが次々にステージに登場。台湾からTPE48の阿部マリアも駆けつけ、誰からも慕われた北原の人柄が伝わってきた。
「私を救ってくれたのは新潟。新潟に来て変われたし、成長できた。周りの人に恵まれて本当に幸せでした」
アンコールでは、北原がNGT48のチームカラーでもある深紅のドレスに身を包み登場。北原のための卒業ソングにして10年のキャリアで、初のソロ曲「私のために」を披露。歌い終わると「歌が心配で心配で仕方なかった」と安どの表情を見せた。北原を心から慕う荻野由佳は「一人で前を見て歌っている姿、素敵でした」と万感の思いで、惜別のメッセージを贈った。北原は「決して楽しいことばかりではなかった10年間、私を救ってくれたのはここ新潟です。新潟に来て大切な、好きだって思えるメンバーと出会えて、信頼できるスタッフさんにも出会えて、私は変われました。たくさん成長できました。今では第2の故郷だと思っています。今まで頑張ってこれたのは、みんなのことが大好きだからです。周りの人に恵まれて私は本当に幸せでした」と涙ながらに語っていた。
「私が卒業する事で、NGT48がガラッと変わるといいな」
ラスト2曲は「Maxとき 315号」と「草原の奇跡」。「「Max~」は、NGT48にとってすごく大事な曲なので、この歌に乗せて去りたいと思いました。「草原~」は、AKB48にいた7年間も大切に思っているので、AKB48にいたことをしっかり証明したくて」と語っていた。そしてトロッコに乗って会場を後にする北原を全員で見送った…かと思うと、北原を追いかけるカメラは会場外へ。待っていたのは2015年8月に行われた、NGT48のお披露目イベントの時に使用した同じ船だ。その船に乗り込み、信濃川へまさに“船出”。「自分が卒業する事で、NGT48がガラッと変わったらいいな」と、新キャプテン加藤美南へとメンバーへ、期待のエールを贈った。
北原は4月18日、新潟市のNGT48劇場で卒業公演を行い、AKB48の5期生として2008年3月1日にデビューして以来3701日、この日をもって10年間のアイドル人生の幕を下ろした。2月に公開された映画『サニー/32』(白石和彌監督)での演技が、各方面から絶賛されている北原。女優として大きな一歩を踏み出し、その前途は明るい。